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お姫様と魔物少年  作者: あしあと
1章 出会い
10/29

初一人散歩は難航中

色々と詰め込んで駆け足気味な彼視点。

 なんだろうなあ、この状況。


 新たにやって来た厳つい男の人は俺に疑わしいとばかりの視線を投げつけてくるし、断りきれず名付けさせられた狼親子のカーラさんとタリムは俺を守るようにその前に立ちはだかっているし──名前の件が終わった辺りでカーラさんの痺れは抜けたらしい──で、険悪でめんどくさい空気な今に関わりたくないなあと俺は少し現実逃避したくなった。

 視界の端では黄色さんが我関せずとばかりに砕いた魔石をのんびり食べてるのが見えるから余計に。

 なんで、こうなったんだっけ……?


 そう考えて、ここに来る要因になった傍らに立つミリアと名乗った女の子に視線を向ける。

 金髪碧眼の白い翼が生えた女の子。この子に会ってから俺の初の一人散歩はおかしくなった。

 いや、この子の予測不能でアホっぽい所──それは無知からくるものみたいだからまだ救いようはあるけど──が今まで身近にいたひとを連想させて、でもあれと違って力を持たないから危なっかしくてついつい世話を焼いてしまった俺が悪い、のかな?


 そもそもは俺が散歩に出なければこんなことにはならなかったんだろうけど……そこはそれ、色々と我慢の限界だったししょうがない。

 物心ついたときから散歩に明け暮れた生活してたからかじっとしてるのってちょっと苦手なんだよね。

 起こったことはどうしようもない。仕方がないんだけど……でも、溜め息はついてもいいよね。

 何もするつもりはないんだから突っかかって来ないでほしいなあ。魔物と人という関係上、それが難しい話なのだとしても。


 俺の家はのんびり空を飛んでおよそ半日、四方が見渡す限りの海に囲まれた孤島にある。そこから今までは一応の保護者と同伴の散歩生活をしていた。


 けど、今は一人。

 何故かと言うと、その保護者がめでたく子を迎えることになったから。

 そのひとは子育てに専念することになり、まだ幼い俺の一人散歩は危ないからとここ一月ほど散歩自体がおあずけになってしまった。

 これが我慢要因の一つ目だ。


 二つ目は、一緒に暮らすひとに問題があった。

 まずは子育てに奔走する奥さんと、ろくでなしの旦那。

 ろくでなしの旦那は、一言で言うと我慢を知らないはた迷惑なお子さまがまんま大人になった感じというのか……それが実は散歩時の俺の保護者なんだけど、戦い以外ははっきり言ってトラブルの塊で良いところがないから"ろくでなし"呼ばわり。

 そして、その奥さんにもちょっと、難があった。

 生真面目で、それ故にキレやすくもあって、物理的な方でとても喧嘩っ早いひとだったのだ。

 属性に性格が沿うのかは知らないけど、相性で言えば火と水であまりいいとは言えない組み合わせの二人。

 なので旦那が無邪気に奥さんの神経を逆撫でしてはカッと暴れられて喧嘩はもう日常茶飯事。奥さんが水属性なのもあって住処がまるっと水没したことは数知れず。

 で、それを未然に防ぐための仲裁役にと名を挙げられたのは何故か、俺でした。

 たぶん俺がろくでなしとの付き合いが長かったからなのかなあ……けど子供に押し付けるとかないよね普通。それに、他にも一緒に暮らしてる大人はいるんだよ?

 ただもうすぐそっちも子供が生まれるそうで、なかなか自分達の世界から戻ってこない二人だったり、独り身だけどそれが長過ぎたせいか頭が双頭のそのひとは一人の世界を繰り広げてたりと個性的過ぎるひとたちで宛にならないんだけど。


 他にも一緒に暮らしてる人はいるけど、おじいちゃんに当たる人──血の繋がりは無いけど相手の年的にそう呼ばせられている──は島の纏め役をやってるから発言力は抜群なものの家にかまける時間が少ないし、もう一人同じ家に暮らしているなかで唯一年の近い兄っぽい人──この人以外はみんな軽く数十歳は離れている歳の差──は基本大人しい人だからあの強烈な奥さんに勝てるわけがない。……俺も勝ててないけどさ。


 全く、家に居て休まる日がないとはどういうことか。

 どうにか散歩の権利をもぎ取って羽を伸ばしに来たというのに、この状況はまたどういうことだ。

 ああ、とてもめんどくさい。


 現実に耳を傾けると、俺に不快な視線を投げてくる男の人に対しこの村には唯一っぽい大人の女の人──最初魔物姿の時に応対してくれた人が説得をしている所だった。


「グライセ、話を聞いて」

「ええ、聞きました。子に化ける魔物の言を信じるなどと、正気ではありませんよ、レイミア殿」

「だって、この話が本当だとしたら手掛かりよ? リーナは誰かに陥れられたのかもしれないわ」

「仲間割れするよう騙そうとしているのではないのですか?」


 はて、仲間割れさせてどうするんだろうか?

 あ、まあ身内での殺傷沙汰はやりきれないもんね。そういうことを言ってるのかな。

 でもそういう痛々しいのは俺も嫌だからしないです。むしろ遠慮する。


「グラーセおじちゃんっ、おにいちゃんは悪いまものさんじゃないよっ?」


 内心そう思いながら成り行きを眺めていたら、先程から女の人の影にずっと隠れていた小さい子が前に出て来て舌足らずながらもなんと俺の擁護をし出した。


「サリナ様、そう簡単に魔物を信用してはいけないのですっ」

「しんよーじゃないもん、わかるんだもん! このおにいちゃんは良いまものさんだよ? 悪いことしないよ!」


 ほぼ初対面なのに何故か良い魔物と断言されている。

 確かに悪さをする気は無いけども、かと言って良い魔物と断言されるのは悩むところだなあ。いたずらするのは嫌いじゃないし。

 能力なのか勘みたいなものなのか、なんにせよ人の中にもこんな力を持つ子もいるんだな。


「いくらサリナ様の言葉でも聞けません。魔物は排除すべき存在なのです。何かあってからでは遅いのですよ!」

「むう~、ききわけのないグラーセなんかきらいーっ!」

「き、きらっ?! そっそんな、サリナ様っ」


 冷静に考えれば語呂数少ない子供の最後の癇癪みたいなものだろうに、男の人は目に見えて狼狽えだした。

 あの男の人は特別その小さい子を気にかけてるらしく、そうしてあわあわとご機嫌とりをし始める。


 またそんな様子を眺めていると、隣にいたミリアって子がそっと内緒話をするように顔を寄せて来たので視線を向ける。


「ああいうの、ロリコンって言うのかな?」

「ロリコン?」


 知らない言葉に振り向いて尋ね返す。


「知らない? 小さい子が好きな大人の人を言うんだよ」

「なっ? 誤解です! サリナ様は仕えるべき大事な御方であって、そのような目で見たことなどありませんっ!」

「強く否定するとアヤシイって言うよね~」


 何気に容赦なくたたみかけるミリアって子。思ったことそのまま口に出るタイプってこういうとき容赦ないよなあ。

 男の人はもう絶句して固まっている。事実がどうであれ、ちょっと憐れ。


「そういえばコウはいくつなの? 見た目通りの歳?」

「見た目通りって言われてもピンと来ないけど、今は7歳」


 脈絡のない質問にひとまずは答えを返す。

 外見を比べる相手が近くにいなかったのもあってそう言うと「三つ下っ?」と驚かれた。

 というとこの子は3を足して10歳なのか。年上、ねえ。


 そうしてまじまじと見ていたのはお互い様なんだけど、次の一言は少しイラっときた。


「だから私より低かったんだ、納得~」


 今まで身長を気にしたことなんてなかったんだけど、この子の言動はそもそもろくでなしを思わせる。

 馬鹿にしたのはやつではないんだ。自制、自制……。


「大丈夫、私より年下なんだから今は小さくてもしょうがないんだよ」


 なにかしらそう言わせてしまう感情を表に出してしまっていたのか、そんな慰めの言葉をかけられる。

 しかしその言葉はどうだろうか、かえって相手を追い詰める発言に聞こえるんだけど……でも悪気は無さそうだからなあ。肩ぽんぽんとか非常に不服ではあるが振り払うことも難しい。


「そういえばそちらの少女は……その髪色に瞳の色は、もしや?」

「ええ。これは私の下の娘よ」


 俺がミリアって子の扱いに悩んでる間に男の人は気を持ち直したらしい。

 何かに気が付いたようで女の人に確認をとるとまた何かを探すように辺りを見回している。


「……御付きの者が見当たらない様な気がするのですが?」

「正式な外出じゃないからね。一人で城を飛び出してきたらしいわよ? そもそも、ここにあの彼がいるのはうちの子が大いに関係してるの。魔物相手に交渉持ちかけてここまで連れてきてもらったっていうんだから呆れちゃうわよね。ま、でもそのお陰でここも助かったんだし悪いことばかりじゃないけれど」

「成る程、噂に違わぬお転婆姫なのですね。"シルヴァニアの姫"は幼少でも例に漏れぬようで貴女様を彷彿とさせますな……ぁいいえっ? 私が言いたかったのは大変元気でよろしいと……消して深い意味はございませんよっ!?」

「ああらぁそぉお? とてもそうは聞こえなかったんだけれど~」


 よくわからないが何やら女の人の癪にさわる発言だったらしい。

 とてもいい笑顔で詰め寄られて男の人は目に見えて焦り出した。

 どこの種族でも女の人は怒らせると大変なことになるんだなあ。


 そんなこと思いつつ、ふと二人の話に疑問も過る。

 目線からして二人は俺の隣にいるこの子の話をしていたと思うんだけど……城とか姫とかってたしか、人世界の上に立つのの住処や呼称じゃなかったっけ。

 城は家よりもでかい住処のことで、姫はそこに住む頭の王様ってやつの娘、だったはず? 王女ってやつの違う呼び方がそうだったような覚えがある。


「君は、王女なの?」

「え、うんそうだよ。あと姉様も王女だけど。で、あそこにいる私たちのお母様は王妃様ね。療養中ってことでここにいるけど。お父様が城で王様してるよ」


 思いきって確認してみるとそんな返事が返ってくるが、後半はあまり耳に入ってこなかった。

 だって、弱くて力量に差の無い人世界の頭の姫ってそれはもう大切に守られて生きる人のことじゃないの?

 それが一人で森に飛び出したとか、男の人に追いかけられて危ない目にあってたとか、あげく迷ったとか……。


 自業自得だけど、周りにものすごく心配させてんじゃないの、これ? でもってけろっとした感じから察するに全然わかってないよね。

 一人で乗り越えられる力量も無い癖になにやってるんだこの子──!


「お姫様、ちょっとそこに座れ」


 そうしていつの間にか、気が付いたらお姫様に説教をし出している自分がいたのだった。



 * * *


 今いるここは、王族とその護衛さんたちというわけありの人たちが暮らす場所だったらしい。

 死んだ人を生かしているから隠れ住んでいる。国を纏める頭がそんなことをしていたと下々の人バレたら荒れそうだもんねえ。


 今は話が色々と脱線したこともあって、改めて集落の人たちによる話し合いが視界の端で行われていた。


 俺はカーラさんが復調したわけだし、お姫様だと判明したけどまるで姫らしくないその子を送り届ける当初の目的も果たしてるわけだからもうここにいる理由はないんだけど……もう少し居てほしいと引き留められてしまって居残っていた。

 次の行動を決めてなかったのもあって断るに断れず。


 お陰で狼親子は人と打ち解けてしまった感があるかなあ。

 タリムは森歩きを共にしていたお兄さんとじゃれあってるし──お兄さんは確か監視役を任されていたはずだが──、カーラさんも子供好きなのかいつの間にか不思議な力を持つあの小さい子に構ったりしてて。


 で、俺は俺で貰った地図をお姫様と一緒に眺めてたりする。

 お姫様はちゃんと反省してたんだけど、字を読めても理解できない部分があったりして訊ねてるうちにうやむやになっちゃったみたいだ。


 それにしても、みんなして警戒心どこに置いてきたんだか。

 なんだろ、この共生してるかのような平和な光景。

 そもそも人間って異質なもの嫌うって聞いてたのにこの現状はなんか不思議だ。例外はあるにしても、ねえ。


 そしてさっきからちらちらと視線を寄越すお姉さんも気になる……。

 物言いたげで、纏う空気もすんごく暗くて。存在を否定する言葉を言っちゃったわけだし、一回謝っただけじゃやっぱ言葉の傷はぬぐえないかな。


「さっきの事は本当にごめんなさい。失礼なこと言って」

「えっ? あ、えと、それは、別に。それは大丈夫です……」

「? じゃあどうしてそんな暗い顔を?」

「それは……わ、私の魔力も調べて貰えないかなって、思って……。貴方、魔力を調べることが出来るんでしょう?」


 お姉さんはどうやら別件で用があったらしい。

 先程のカーラさんを調べてた様子や魔石を調べていた件で思うところがあったそうだ。

 黒い翼は不吉だと言われてきたそうで、今回のこと──俺があんな発言したことも含めて──もあり、自分にはわからない災いを呼ぶ力でもあるのではないかと更に不安になってしまったんだそうだ。本来は隣にいるお姫様みたいに白い翼、それ一色の種族なんだという。

 だから不自然で邪魔そうにも見えるのにこの人は布を背負っていたのか、と納得もした。


 見目が違ったくらいで大袈裟だとは思ったけど、これが本来ある人間の差別なのかもしれない。

 少しでも憂いを払拭してあげられるなら、と俺はその用件を受けることにした。

 そもそも一つとして同じ姿や属性を持たないのが俺の種族であり家族なんだ。

 たかが外見の違いで除け者だなんて気分が悪い。


「じゃあ調べてみますね。あ、これからするのは治癒魔法とか身体強化みたいな類いのもので、出来れば魔力に身を委ねてくれるとやりやすくて助かります」

「あ、はい。魔力に身を委ねる、ですね」


 そうしてお姉さんの手を取り、魔力を巡らせて波長を合わせる。

 その結果あの魔石にこもってたような魔力は感じられず、特に異常もなさそうだった。

 しいてあげるなら、翼を覆う布が魔力の流れを悪くしていたのがわかったくらい? あれじゃあ満足に魔法を扱えてなかったんじゃないのかな。

 それを言うとお姉さんは困った顔をしたけど、一緒に暮らす周囲の人たちの励ましもあってその布は取り払われることになった。


 解放された黒い翼は、日の光を受けて王妃様たちの白い翼とはまた違った気品ある輝きを放つ。

 それを見てなんとなく、だけど。やっぱりお姉さんは悪いものだったり、良くないものに染まっているものではないと思えた。その人そのもの、本来のお姉さんの翼だ。

 感覚的なものでなんの根拠もないけど、でも変なものとか危険察知には不思議と勘に障るし、それを感じていない今に少しほっとした。


「そうだわ、良いことを思い付いた!」


 この一連の流れをいつの間にか傍で見ていた王妃様は何かを閃いたらしく、ポンと掌を合わせてそう言い放った言葉に振り返る。

 関わりあったこの人たちが少しは生きやすくなればいいなと聞いていたが──でもまさか自分を巻き込む話になるとは思ってもみなかった。

 王妃様はなんと、事件解決の糸口として犯人探しを俺に求めてきたのだ。


 先程のお姉さんとのやり取りで、魔力を探れば犯人がわかるのではないかと思ったらしい。

 そうなるとつまり人の中心地に行くことになるわけだけど、そんなところに得体の知れない子供を招き入れられるものなのかと確認すると、王妃様権力でごり押しすると猛々しくも宣言された。

 思わず周囲の人たちを窺えば、諦めの滲む苦笑いをしている。

 その様子に、こんな無茶ぶりはいつものことなのかもしれないとなんだか察してしまって、日々振り回される方々には同情する……って思ったけど、承諾しちゃったら俺も巻き込まれる側になるわけで。どうするかなあ……というか俺魔物なんだけど、それはいいんだ??


「ある程度の身元や設定は必要ね。こんなのはどうかしら?」


 そんな内心の疑問を余所に、話は着々と進んでいく。

 はっきりとした答えを返してない俺も悪いかもだけど、もう行くことは決定してますか?


 その話では、俺は森で生活する森の民ってことで、迷子のお姫様を助けたお礼に少しの間城に招くとのことだった。

 森の民って何? って思ったけど、草原の民の森版らしい。こっそり後でお兄さんに確認してみると、草原のは草原で暮らす遊牧民という旅人を指すらしいけど、それの森版はよくわからないとのこと。……色々と心配になってきた。

 でも城とやらに行くことになれば人の生活(用品←が本命)を見られるわけだし、何よりろくでなし似のお姫様が住む家や、こんな破天荒そうな王妃様のいる国ってどんなだろうって興味にも負けて、最終的には引き受けた。


 その後お姫様の出奔はシュレイアという伝書鳩──好奇心と何より警戒心の強い偵察鳥スパイバードを飼い慣らしていたのには驚いた──越しにその無事を伝えていたらしいけど、王様達が心配しているだろうから早く送り届けてくれと頼まれて、話が纏まるとすぐに空の旅となった。

 一日もお姉さんといられなかったことにむくれるお姫様と、それを宥めるお兄さんを乗せて暗くなっていく空を駆ける。

 夜は人目を気にせず飛べるからいいな。

 誰かを背に乗せて飛ぶのにはこの短期で随分慣れたけど、明るいうちは不可視の結界も纏わなきゃいけないから夜はとてもありがたい。


 そうして明かりが消えて人が寝静まった頃合いに、王様と口裏を合わせに寝室にとお邪魔した。

 時間を考えれば迷惑極まりない話だけど、そこは空でシュレイアに似た鳥のククイット──やっぱりこれも偵察鳥だった──が手紙を寄越してきていたので問題はなし。

 いや、もうお姫様寝惚けてたし良くもなかったか。


 話を終えた後は、翌朝に帰城でという段取りから森で夜を明かすことになった。



 * * *


 お姫様の家であるその城は、案の定というか、でも一国の中枢として考えると随分と緩過ぎな雰囲気の所だった。

 想像してた堅苦しさなんてまず王様からして無いようなものだったけど、勤めてる人達もわりと気さくな人たちばかり。

 守衛のトップらしき人に至っては俺にお姫様の騎士にならんかって勧誘までする始末だった。

 この国、これでいいんだろうか……。


 頼まれた件については、相手が眠っている間にこっそりと調べて回ってみた。

 その相手は、王様の片腕のアドアって人と、守衛のトップのハーレイって人と、侍女長のリリエラって人と、料理長のオリバーって人の四人。なんでも王様の幼馴染と旅仲間だった間柄だとか。

 詳しい話は聞かなかったけど、王様は元は王様になるような立場の人じゃなかったらしい。


 初見でもある程度わかるものだけど、確かめたその人たちはやっぱりそこまで魔力の高くない人たちだった。

 お疲れの様子だなとは思ったけど、特に引っ掛かりも感じないから無関係だと思う。

 数日診ていたけど変化はないし、他に城に勤める人達を見て関わってみても、それらしき人はいなさそうだと感じている。

 そう王様に報告すると進展がないことに落ち込まれたが、帰る日まで楽しんでいってくれと言われた。


 俺が帰ると決めた日は、本来の自分の所の門限である次の新月の前日だ。人の暦では一月の最終日にあたるらしい日。

 今は月が変わってまだ数日目、20日以上は優にある。

 ひとまず人の職場体験に勤しむつもりではいるけど、でもただの居候してるのも申し訳ないからもう少し周囲にも足を伸ばしてみるべきかなあ。


捕捉として、狼親子さんは集落周辺の森の監視をする役としてついていきませんでした。

人に対するフレンドリーさに関しても、名付け主である彼の、目の前の人たちに対する敵意の無さを無意識ながら感じ取って警戒心が薄れてああなりました。


黄色さんは彼についてってるので後程また出てきます。

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