第八話
時間を空けての投稿、すみません。
これからも亀更新となりますがよろしくお願いします。
エレベーターが止まったことに、気付けないぐらいに静かにエレベーターは動きを止めた。
俺が、エレベーターが止まったんだ、と気付いたのはドアが開いてから。
ドアが開いた目の前は、暗い洞窟だった。
だが、縦横ともに広さは十分にあり、車がゆうに10台ぐらいは通れるだろう広さだ。
そして、天井に、蛍光灯が、延々とついていた。
俺は、思わず「すげー。」と呟き呆然としてしまう。
へー、この会社の地下には秘密通路があったんだ・・・。
俺が思わず感心していると、エレベーターのドアが静かに閉まってしまった。
・・・って
俺、帰れねーじゃん!!!
え?
どうやって帰んの??
エレベーターのボタンはどこ?
そういやこんな、秘密の通路だなんて、確実にボス達の仕事だよね?
俺、なんか危ないことに首つっこんでません???
・・・いや、もう、だいぶ首を突っ込んでしまってきたようなきがするんだけどさ
更に首を突っ込んでしまったような・・・。
すこし、というかかなり後悔をしながらも、俺は前へと進んだ。
なぜなら、恐怖心もあったことはあったのだが、それは今までの経験ですでに慣れてしまって・・・
むしろ、好奇心が上回っていたから。
俺は、この先、どんな光景を見ることになるのだろうかと胸を期待に躍らせて足を進めていった。
***
「・・・う、そ。」
「うそじゃないよ。 本当のことだよ?」
俺は、愕然と目を見開き、小さく呟く。
だが、俺よりも年下の10歳ほどの子供に俺の呟きは完全に否定される。
夢であってほしい。
俺がいくらそう願おうが、叶わぬことであるのは、分かっている。
分かっているのに、願わずにはいられない。
現実であってほしくない、と。
しばらく呆然としていた俺は、ハッとした。
はやく、はやくボス達に報告しなければ・・・っ!!
中国の人口激減の原因は・・・
原因は・・・っ!!
俺は、ボス達に重大な報告をするために、この場を走り去っていった。
「逃げても無駄。 絶対に逃がさないから。」
自分よりも年下の男の子の声を背中に聞きながらも、俺はそれを無視して走り続けた。
俺しかいない!
今、この事実を知っているのは俺しかいないっ!!
・・・ボスっ!
無我夢中で走る俺は、この地下へと来た道を走り抜けた。
人がいないことを祈って。
人と出会わぬことを祈って・・・。
***
『・・・っ。』
俺が30分ほど歩いた頃、ただでさえ広かった洞窟が更に広い空間へとつながっていた。
そして、信じられないような光景が広がる。
俺の眼に映ったもの。
それは、都市。
そう、広がった空間の中には、大きな都市があったのだ。
車があり、ビルがあり、人口太陽が天井高くに輝く。
人が、普通に行きかいしていて・・・。
俺の立っているところは、いわばその都市を見渡せるようなバルコニーのような場所。
あまりにも圧倒的な光景に、俺は息を飲み込んだまま動くことができなかった。
これは・・・、一体なんなんだ?
・・・地下都市、とでも言うものなのだろうか。
SFにでも出てくるような・・・。
だが、俺の見ている光景は、小説などの空想の世界でなく、間違いなく現実の世界。
巨大な洞窟とでもいおう空間の向かい側の壁が見えないほどの空間。
この空間は一体どれほど広いのだろうか・・・。
俺は、どこか靄のかかったようなぼんやりとした頭で考えた。
考えたところで答えが出るわけもないのだが、疑問に思わずに入られなかった。
『・・・すごすぎ。』
ようやく言葉を搾り出せたと思えば、俺の口からこぼれたのは感情がこもっているのかもよく分からない
感想。
もう、すごい、としかいいようがなかった。
いや、すごい、などでは到底言い表せないほどにすごいのだ。
なんなんだ、この光景は。
この空間は一体なんなんだ?
靄が頭からだんだん引いていけば、次に浮かぶのは答えの分からない疑問の数々。
とめどない疑問を次々と思い浮かべ、俺は呆然と眼下に広がる都市を眺める。
天井の壁は、高さがハンパなく・・・
見上げていて、首が痛くなるほどだ。
どれほどの時間を俺は呆然として突っ立っていたのだろうか。
俺は、頭を左右に振って、両手でパンッと頬を叩く。
『よしっ、考えるよりも行動しようっ!』
とりあえず、なにもしないのもよくないと思い、俺はどうすれば下の都市に降りられるのか、
すこし周りを探索してみる。
すると、ロープを発見した。
・・・いやいや、ちょっと待て!!
俺にロープで、こんな高さから下に下りろとでも言うのか・・・?
っっふざけんな!!
無理に決まっているだろうが!?
あぁ、どうせ俺はビビリでチキンだよっ!
つか、怖くねーヤツ、ぜってーいねーっつの!!!
俺は、手にしたロープを元の場所に投げ捨てる。
つもりだったのだが、手が滑ってしまい、ロープはそのままはるか眼下に広がる都市をめがけて落ちていく。
・・・あぁ、やってしまった。
俺は、スパイ(囮ではあるが、仮にもスパイだからなっ!)として、やってはいけないことをしてしまった。
物的証拠を残してしまったわけだ。
すくなくとも、ここに俺が来たという足跡をな。
あとで、誰かが来たときにロープがないって事に気付いたら、きっとヤバイだろーなー。
あは、あははは。
俺は引きつり気味の笑みを浮かべた。
やべ。 ボスに殺されるわ。