表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
零の愛寵  作者: Lilly
59/59

56話

「やめて、もう……それ以上、何も言わないで」

 有心の懇願に、陽一は首を傾げた。

 他人の心が分からない彼は、どこまでも残酷だ。

「どうして?自分の思いを、伝えちゃダメなの?」

「僕が今まで見ていた陽一は、いったい誰だったの?」

 有心の問いに、陽一は朗らかに答えた。


「君を、自分のモノにするために偽ってた姿!」


 零には、どこまでもどこまでも陽一の気持ちが分かっていた。だからこそ、嫌悪した。同族嫌悪というものだ。

 零や陽一のように、どこか心が欠けているものは、他人の心情を推し量ることができない。それゆえに自分勝手に行動する。他人も自分と同じ感情を持っていると勘違いする。自分と仲良くしてくれると自分だけのモノにしたくなってしまう。独占欲が出てしまう。そして、その相手も自分に独占されたがっていると、謎の思考回路をして、迷わずに独り占めしようとする。

 零は思いとどまった。寸前のところで気づけたのだ。でも、陽一は気づけなかった。それが、零と陽一の違いだ。

「陽一、話を変えようか」 

 零の提案に、陽一は首を傾げながらも、頷いた。

 今後、彼が自分の感情の欠落に気づくことができる日は来るのか、それは彼自身にかかっていることは、零のみが知っていた。


「え?あ、うん」

「ボスを倒したい、陽一は協力してくれるんだよね?」

「もちろんだよ」

 陽一は妖艶に微笑む。先ほどの無邪気さから一転した表情は、陽一の雰囲気をまた別のものにした。

「じゃあ、用意して欲しいものがある」

「何?」

 零は指を3の形にした。

「人とほぼ同じ機能を備えた人形を3体用意して。自分の頭で考え、自分の意思で動く人形。見た目は、こっちが指定する」

「分かった、いいよ」

 陽一はあっけらかんと答えた。

「じゃあ、用意したいから、解放してくれる?」

「もちろん」

 零は縄を解きながら、小さな闇の結晶をこっそり陽一に貼り付けた。闇の結晶は、陽一の体内に吸い込まれていき、見えなくなった。


 解放された陽一は、零を見る。

「ありがと、零ちゃん」

 そう言い、陽一は扉の方へと言った。

「じゃあ、用意できたら、連絡したいから連絡先教えて?」

 零はメモ用紙に電話番号を書き、手渡した。

「一応電話番号渡すけど、ボスにバレないように教えてよ」

「そんなの当たり前だよ」

 爽やかに笑った陽一は、意気揚々と扉を開けて出ていった。


「陽一って……あんな性格だったんだね」

 有心が絶望している姿を見て、零は素っ気なく言う。

「瑞花のこと頭の中で整理ついたのか、それとも新しく欲しいものでもできたのか、こっちが拍子抜けするぐらい、清々しそうにされたね」

 菊も頷く。

「こっち、としては、衝撃的な、話なんだけど、ね」

 零はため息をこぼしつつ、お湯を沸かし始めた。紅茶を飲むために。

「とりあえず、ボスを倒すための作戦会議をしようか」

 人を殺すための会議が始めるとは到底思えない空気感で、零は言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ