挿話01:鬼さんコチラ
<未推敲>
鬼さんコチラ
; 視点: 一人称<幸>
; 場所: (仮)広い空間
召喚魔法が私にも使えるという。だから試す。
;――中略
美人さんだったら、仲間にの彩り華やかでいいね。
しかし現れたのは無骨な筋肉盛りだくさんのマッチョマンだった。
…………
「覇王様、ご召喚いただき、誠に感謝申し上げます」
この方は見たことがある。まさに絵本で見たような和製の鬼だった。しかも緑色。
「貴方は?」
「某、覇王様に忠誠を誓う者です。
覇王様が長い眠りに入る際に、某は時の停止した異空間で、復活の時をずっとお待ちしておりました。
某、感動しております。またこうして、覇王様の従者となり、仕えることが出来る喜びで……」
鬼さんは涙をこぼした。
「なぜ私が覇王だと思うのです? 貴方から見れば、ひよっこの冒険者少女ではないですか?」
「某の目は節穴ではございませぬ。どのようなお姿になろうと覇王様の覇気に気付かぬ訳がございません」
私には自覚できないが、覇気が出ているらしい。
どうにかしてコントロール出来ないだろうか。
「とりあえず、私は名前はコウです。それと、記憶は失っているために、先代の覇王さん? のことは存じません」
「コウ様……と呼んだ方がよろしいですか」
「はい。覇王様と呼ぶのはやめてください」
「はっ、かしこまりました、コウ様」
*
「そういえば鬼さん」
「某の名前は、鬼、でありますか?」
「えっと……そういえば、貴方の名前は?」
「ありませぬ。であるからにして、命名していただれば感謝に絶えません」
「じゃあ名づけます。貴方は『鬼』と名乗ってください」
「ははっ! 身に余る光栄です……!! 某、今より、鬼と名乗らせていただきます!」
*
「それで鬼さん、ちょっと気になりましたが、先代の覇王さんは、どのような姿だったのですか?」
「先代の覇王様と申しますと、某が異空間で待機する前に仕えていたときのことですか?」
「そうです。恐らく私は、そのときの覇王と別人です。あるいは覇王の生まれ変わりと云ったら良いかもしれません」
「コウ様は覇王の生まれ変わり……、しかし確かに、その覇気は覇王様と相違ございませぬ」
「…………」
私は黙って先を促す。
「ハッ、ええっと、先代の覇王様のお姿ですね。はい。
覇王様は、変幻自在であり、誰も正体を知りませぬ。
と申しますか、そもそもの正体があるのかどうかも、分かりませぬ」
鬼さんはアタフタして答えてくれた。
「ありがとうございます」
変幻自在……?
ということは私も姿を変えられるのだろうか?
だとすれば、この少女の身体を手放し、無難なおじさんの姿を得られるだろうか。
* 試合
戦闘に関わる話題で――
「そういえば鬼さんは戦えますか?」
「はい、多少は、ご期待に添えると思います」
「その盛り上がるほどの筋肉を見ますと、相当な腕力があるのではないですか?」
「某、腕力には自信がございます。ですがコウ様を前にしては、それも霞んでしまいます」
鬼さんの丸太のような腕っぷしを見た後で、私は自分のか細い腕を見た。
「明らかに、鬼さんの方が怪力ですよね?」
「トンでもございません! コウ様はご自身を過小評価してなさいます!」
両手をジタバタさせて、鬼さんは答える。
「以前の覇王さんに仕えていたときは、どのようなことをなされたのですか」
「魔族との交戦の際に、覇王様の命で、魔王サタンの相手を務めさせていただきました」
「魔王……ですか」
部下に魔王の相手をさせるなんて……
「大丈夫だったのですか?」
少なくとも生き延びてはいるようだが。
「何とか始末することが叶いました」
「倒したんですか!? 魔王相手に?」
「はい…… そうなりますが」
困惑して答える。
「だって、魔王相手ですよ? 魔王に勝てるほど強いなら、鬼さんが覇王で良いじゃないですか」
「コウ様、魔王サタンと云うのは、魔神の手下の一人に過ぎませぬ。
そして、もし覇王様が直々にお出ましなられたら、魔王ごとき一ひねりだったでしょう」
「魔王の上に魔神がいるのですか……。名前からして危なっかしそうですね」
「ええ。未だかつて魔神を打ち負かしたのは、覇王様お一人だけですから」
「え!? 打ち負かしたんですか、魔神も?」
「もちろんです。覇王様に敵う相手などおりませぬ」
買いかぶり過ぎでは……。私には無理だと思った、そこまでの最強伝説の当事者など。
*なぜか戦うことに
「お手柔らかに頼みたいですね」
「いや、コウ様、それは某から願い申したい……」
私は石を放り上げる。
「石が落ちた瞬間に勝負が始まります」
「はい……!」
ターンッ。――石は、落ちた。
「え、え、え、なんと」
鬼さんは相手を見失ったらしい。
そして私は、鬼さんの背後から押す。
「ぐげがっ!!」
一瞬間に背中を押しただけだ。押しただけ……
鬼さんは床に倒れている。
「大丈夫ですか?」
近づく。が、鬼さんの姿が消える。
「コウ様、油断はなりませぬ」
声が反響する。
そして鬼さんは、私の首を絞める体制で、そこにいた。いわゆるヘッドロックだ。
「コウ様、今回は某の勝ちのようです。負けを認めていただけますか?」
「とは云っても……」
鬼さんの首締めは力不足……
私の首を絞める、鬼さんの腕に対し、私はアゴを押し当てた。
「ぬぉううぉうう」
鬼さん、苦痛の声を漏らす。
次に私は、自分の後頭部を、鬼さんの顔にぶつけた。
「うぬがぁぁぁ」
鬼さんは背後に転んだ。
「あのー、鬼さん。勝負っていうのは、いつ決着するのですか?」
「…………某の負けで、良いです……」
■要約
・鬼を召喚する。
・戦ってみる?
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