1話 異世界へ
俺たち3年4組は危機の淵にいた。
対向車のトラックが居眠り運転していたらしく、避けようとしたバスの運転手によりガードレールを突き破り崖下に落下していた…
ああ、これは死んだな。
覚悟を決め目を瞑ったおれだったが、一向に衝撃がこないことに不思議に思い目を開けると、そこはバスの中ではなくだだっ広い神殿のような場所にいた。
「な、なんだここは」 「あれ?確か崖から落ちて、それからどうなった?」 「どうなってんだよ!」 「はは、俺たち死んだのか、はは、」 「嘘でしょ!し、死んだなんて!」……
3年4組はパニック状態だ。
周りを不安そうにキョロキョロ見ているもの、泣きそうなもの、騒ぐもの、色々いた。
とそこへ、
「皆さま、混乱してるとこ申し訳ないのだが、落ち着いてくだされ。事情を説明いたします。」
現れたのは7、80代くらいの白髪で長髪、仙人みたいな髭を伸ばした老人だった。
「な、なんなんだよあんたは!」 「ここはどこなんだよ!」 「早く説明しやがれ!」……etc
3年4組の生徒達は冷静ではいられないのか、現れた老人に次々と質問を投げかけた。
いや、説明するって言ってんだから一旦落ち着けよと数名の生徒は思うのだった。
この数名の生徒、所謂ヲタクだ。
小説によくある異世界召喚だと予想したのだろう、顔がにやけていた。
「説明いたす!勇者殿達よ静まれ!!」
あちらこちらから飛んでくる質問に耐えかねたのかだだっ広い神殿に響くほどの大声で怒鳴られあたりは静まり返った。
怖いセンコウに騒がしくしてたら怒鳴られた感じだ。
「命令口調になってしまってすまない」
そう言い老人は頭を下げた
「あなた方が混乱するのも無理もないとこちらも承知です。しかし説明できなければ先には進めません、質問は都度伺うのでまずは私から事情を説明します。よろしいですね」
静まり返ったところで老人が一から説明をしてくれた
老人曰く、老人は王様で、この世界リゼリアの一部の国リアーズと言う国の王様らしい、そしてここは俺たちのいた世界、地球とは別世界で、所謂異世界という事。そして剣と魔法、魔物に魔族、エルフや獣人、ドワーフ、精霊がいる世界だと言うこと。
そして俺たちがここにいる理由は魔族の王、魔王を倒して欲しいからだと説明を受けた。
「さて、ここまでに質問はありますでしょうか?」
説明し終わった王様が周りを確認するように俺たちを見た
「あの!これは所謂異世界召喚、勇者召喚をあなた方がしたという事でしょうか?」
質問をしたのは、丸メガネにワカメみたいな髪、ぽっちゃり体型のザ、オタクという感じの生徒だ
「そちの言っている通り、我々はあなた方を勇者召喚と言う儀式によりあなた方勇者様を召喚いたしました。そして、先も言った通り、あなた方勇者様方には!魔王を倒していただきたいのです」
「それは、私たちにこの世界を救い平和にして欲しいと言う事でよろしいでしょうか?」
ここで割って入って質問したのは、運動神経抜群、成績トップ、俳優ですかってぐらいのイケメン、一 正義だ
「うむ、そなたが言った通りじゃ、我々の力では魔王は愚かその部下である魔物ですら手を焼いており、このままでは我々人類が滅んでしまうと話し合いの結果になりまして、あなた方を召喚させていただきました。」
「なるほど、しかし僕たちは争いのない平和な世界からやってきたので戦う術を持っていません、そんな僕らにどうしろと?」
「それはこれから説明します。まずあなた方勇者様には特殊なスキルがつくようになっているはずなのです、なのであちらの水晶に触れていただき、あのように光ます、そして水晶の中にあなた方が持っているスキルが表示されます」
王様が説明している最中、頭以外全身フルプレートの騎士が説明に合わせて水晶に触れた、すると中には『身体強化』と文字が現れた
「あのようにしていただければ、勇者様方のスキルが出るようになります。こんな老人がこちらの世界には関係のないまだ若いあなた方に酷なことを言うようで申し訳ないのですが、どうか!この世界を救ってくだされ!」
いきなりの行動に3年4組は呆然とした。なんせこの国で一番偉いはずの王様が土下座をしたのだ、周りの騎士や文官達は慌てて王様を起こそうとするが、
「ええい!やめよ!こうでもしないと、勇者様方に示しがつかん!お前らも、頭を下げるのじゃ!」
王様を起こそうとした騎士や文官達は王様に習い土下座をした
「そ、そんな!頭を上げてください、王様!それに周りの方々も!そんなことしなくても、な!みんな!やろうぜ!この世界の平和のために、俺たちの力を使おう!」
正義は3年4組のみんなを見て言い放った
「そうだな!やろう!」 「ええ、やりましょう」 「やってやろうぜ!」 「魔物だかなんだか知らんが、ぶっ潰してやるぜ、」 「自分たちの力がどこまで通用するかわからんが、世界を救うためだ」……「この世界を救うために!」……etc
こいつら馬鹿なのか?死んだと思ったら別の世界にいてこの世界を救って欲しいだって、救って欲しいって、魔物とか魔族とか戦うんだぞ、戦争やるってことなんだぞ!死にに行くようなもんじゃねぇかね
一部の生徒は正義の熱意に当てられてか、それか、あの王様の必死さを見てなのか魔王討伐を掲げた。
一部の生徒以外はただただ騒いでる奴らを見てるしかなかった、まじで言ってんのかこいつらと言う顔で、
と、まぁそこに正義がやってきて
「君達ももちろんやるよね?困っている人たちがいるんだ!助けて当然だろ?」
「あ、ああ、そうだな」「困ってる人を助けるのは当たり前だもんな」「や、やりましょうか」「よし!やろう!」
と、まぁマジかと顔をしていた奴らも魔王討伐に参加することになった。