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【書籍化】無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記  作者: 杜間とまと


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81/303

81話 ただいま

 王都に着いてすぐに使節団と別れてミリアの街へ送ってもらった。

 残念ながら、今回はトゥロンじゃない。

 なんだか知らないけれど、道中もなかなかトゥロンと顔をあわせる機会がなかったんだよね。旅の話とか聞きたいことあったんだけどなぁ。

 これまでが、よく顔をあわせすぎてたのかな?

 ん?顔をよくあわせたのは、女神のとき?リエスのときはそれほどでもなかったっけ?

 どうだったかなぁ?もう私自身よく分からない。2人きりで行動を共にしたのは女神姿の方が多かったのは間違いないけれど。

 今度はいつ会えるだろう?使節団に参加しないと、会えない?

 しまった!お別れくらいしっかりしておくべきだった。色々なお礼も満足にしてないよね?

 最後に女神として会ったのは……ああ、酔っ払って送ってもらった時だ。

 酔っ払って……

 ……吾妻さんからのメールの一文を思い出した。『酒の飲み方はもう少し考えた方がいいぞ』

 ああ、トゥロンに何か失礼なことしたっけ?どうも態度が変だった感じだし。

 お礼どころか謝罪もしてない!

 マーサさんのお店につくと、送ってくれた人に待っていてもらい、トゥロン宛に手紙を託した。

 女神からの伝言ということで。

『トゥロンさんが女神と呼ぶ人物より伝言を預かっています。

色々と本当にありがとうございました。是非お礼がしたいので会える機会があれば是非ともお会いしたいです。私への連絡は、ミリアのマーサさんにリエス宛てに伝言を残してください。

以上、リエスより』

 ちょっと内容的に味気ないとも思ったけれど、何せ文字がまだ充分書けないため、これだけの文を書くのにもとても時間がかかった。

 紙に書き小さく折りたたんで、別の紙に包んで宛名を書いて託した。

 手紙を書いている間、マーサさんたちは『紙』に興味津々だったが、手紙の内容を見ないように気を使って遠巻きにしてくれていた。

 使節団の人間が帰ったのを確認すると、2階の部屋を貸してもらい薔薇のリエス終了~!

 マーサさんたちに、お土産を色々と渡す。一番喜ばれたのが『紙』だった。

「いいのかい?こんなに珍しいものもらっちゃって」

「ええ。これから各地で生産され、珍しくもなくなると思います。それに、作ろうと思えば自分でも作れるらしです。グランラではお祭に使ってました」

 自分から作り方を教えることは、もうしない。目立たないためにはそれがいい。

「だけど、お土産なんて、気を使わないでもいいんだからね?」

 マーサさんが優しい言葉をかけてくれた。

 でも、これからも連絡の仲介とかお世話になることもある。お世話になりっぱなしじゃぁ、私の心が苦しいのデス。お金は受け取ってもらえないだろうし、理由のないプレゼントよりはお土産というほうが角が立たないよね?

 土産話はまた今度と約束して、山小屋に向かう。

 

 ぜー、ぜー、ぜー。

 久しぶりの山登りは、きついです。

 ほら、鍛錬は1日休むと、取り返すのに3日かかるとか言うよね。

 何日も馬車で揺られるだけの生活だったから、体力落ちまくってます。

 そして、筋肉痛は2日後に来るんだろうな……凹。

 やっとの思いで登り終わり、道の先に懐かしの我家が見えてきた。まぁ、仮の住みかの山小屋だけど。

「ひっ!」

 山小屋のドアの前に人が倒れてる!

 え?何で?誰?

 ちょっと近づくのを躊躇する。

 うつ伏せに倒れている人物の服は薄汚れてよれよれ。泥まみれだ。髪も肌も、もともとの色が良く分からないほどドロドロ。

 何で、そんなところにいるの?遭難するほどの山でもないんだけど?

 山賊?……も違うよね?やっぱり、行き倒れかな?山で怪我でもして、小屋を見つけて必死にたどり着いたのかな?

 恐る恐る、音を立てないように近づく。

 パキッ

 ひっ。

 な、なんで、人間って音を立てないように歩くと、木の枝とか踏んで音を出しちゃうかなぁ!

 音に反応して、ドア前に倒れていた人物がゆっくりと顔をこちらに向ける。


 生きてる。

 目が合う。


「あ!」


 見るも無残なほど、やつれた顔。

 いったい何があったんだろう?どうして、こんなにやつれてるのかな?

 大丈夫かな?病気?

 次の瞬間、とても病気とは思えない反射神経で泥まみれは動いた。

 サッと立ち上がり、全力で駆け寄ってくる。

「しょうねーーーーーーーーーーーんっ!」

 何の躊躇もなくがばっと、抱きつかれた。

 げっ。

 泥まみれ、私も、泥まみれになる!

 身をよじってみたものの、少しもびくともしない。

 泥まみれは、顔を私の肩にうずめて、すりすりしてる。


「しょうねん、しょうねん……」

 喜びが、全身から伝わってくる。


 これだけ、帰宅を歓迎されるのは悪い気はしないね。

 待っていてくれたんだ。


 確かに、私にはキュベリアに待ってくれてる人がいたよ。


「ただいま、ラト」

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