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【書籍化】無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記  作者: 杜間とまと


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44 日本にあってはいけない物

『ユータではない。過去の出品物にも、キュベリアの物があるようだな?ピッチェ兵のものもあるようだが?どんな方法で異世界の物を日本に送っている?』

 ユータさんじゃないんだ。

 でも、はっきりメールに「異世界」って書いてある。

 確実に、今私がいるこの世界のことを知っているんだ。キュベリアだけでなく、ピッチェの名前まで知っているなんて。

 何故この人は知っているの?

 ユータさんみたいに、昔この世界に居た人?

 何と返信したらいいのか、少し迷っている間に、またメールが届いた。

『異世界の品をむやみに日本へ持ち込むことは関心しない。コスプレ道具として見られているうちは良いが、研究者に目を付けられれば困ったことになるだろう』

 苦言メールだった。

 ぐんっと、心臓をつかまれたようだ。

 異世界の品を日本へ持ち込むことの問題について、私はまったく考えていなかった。

 こっちに、日本の物を持ち込むことには『オーパーツ』にならないようにと慎重だったのに。

 私、金のために盲目になってた?

 金の亡者っていう言葉が頭をよぎった。恥ずかしい。

 この世界と日本、非常に良く似ている。似ているから油断したけれど、別の世界だ。私が出品した革製品。

 何の革?もし、DNAでも調べられたら、地球にいる何かの動物と一致するんだろうか?

 私が出品した銀貨。

 成分を調べたら、地球にない鉱石が出たりしないだろうか?

 もしも、地球に存在しないものが出たらどうなる?異世界のことが知れ渡ったらどうなる?

 こちらの世界はどうなっちゃう?侵略されない?

 あっという間に第二の地球扱いにならない?資源が採りつくされ、環境が破壊され……。多くの人が移住し、もともとこちらに住んでいた人たちが追いやられたりしないだろうか?

 駄目。そんなのは駄目だよ。私みたいに、迷い込んじゃった人がいるのは仕方がない。だけど、何かを目的として故意的に人が行き来するのは違うと思う。

 急いで、出品していたものを取り下げる。幸い出品して間がなかったので入札者はいなかった。

 クレーマー(仮)さんには何とメールをしていいのか迷ったままだ。

 謝るべきか、お礼を言うべきか。さくっと苦言のことはスルーすべきか。と考えている間に、またメールが届いた。

『日本の物をこちらに送ることもできるのか?』

 うわー、これってもしかして、またまた苦言の前振り?オーパーツを異世界に持ち込むなとかいう?

『オーパーツになりそうなものは、紙切れ一枚といえど持ち込んでいません』

 ああ、言い訳めいてるよね。アラフォーにもなって恥ずかしい。

『持ち込んでいないということは、持ち込めると言うことか?』

『ある程度の大きさのものまでなら』

 そこまでは、ほとんど間をあけずにメールが行き来していた。

 しかし、ぱたっと返信が止まる。

 何だろう?もしかして、何かオーパーツが持ち込まれていて、その犯人に私が疑われてるのかな?

 違うって言わなくちゃ。

 ところが、5分経っても、10分経ってもメールが来ない。

 もう一度、やり取りしたメールを確認する。私、何か変な文章送ったかな?

「あ!」

 読み落としてた。クレーマー(仮)さんからのメール『日本の元をこちらに送ることもできるのか?』と書いてある。

 『こちら』は当然異世界である『こちら』だろう。

 クレーマー(仮)さんは、私と同じ、異世界にいるんだ!

 だから、キュベリアとかピッチェのことも知っていたんだ。ユータさんのほかにも、この世界に来た人がいるんだ。

 そして、今もまだ、この世界に留まっている……。

 どうすればいいんだろう?

 敵?味方?

 合流すべき?

 何で、メールが来ないんだろう?こちらから何か送るべき?

 何を?鞄を通して物を行き来させてること?

 待って、もし……悪い人なら、鞄を奪われてしまわないかな?

 それは困る。

 鞄のことは内緒にしよう。会うのも、相手のことがはっきりしてから。そうしよう。情報は小出しにしたほうがいい。居場所すら明かさない方がいいかもしれない。

 結局、待てど暮らせどメールは来なかった。私からメールしようにも、何を書けばいいのか分からなくて、墓穴を掘るのも怖いのでやめた。

 グランラへの旅は順調だった。

 アジージョさんが急に若々しくなったということを、もう1人の侍女が言うので、色々と美容アドバイスをした。すると、あっという間に、休憩時間に縄跳びをする人の姿が増えた。

 縄跳びは、上手く飛べるようになると楽しいらしく、美容目的以外でも流行っている。2,3回しか成功しないけれど、二重跳びを披露したら、護衛の人たちは先を競って2重跳びの練習を始めた。後ろ二重や、二重あやとびといった技もあると教えてあげた。 他にどういった跳び方があるんだ!とあまりに熱心なので、大縄跳びも教えることになった。

 最近では、曲芸めいた跳び方をする人が出てきている。運動神経の良い人は進歩のスピードが半端ない。

 

 その夜、メールチェックをすると、クレーマー(仮)さんからメールが来ていた。

『携帯の電池がすぐに切れる。手動でフル充電に時間がかかる。それ故、すぐに返信できないことがある。文面も簡素になるが、理解してくれ。どれくらいの大きさの物なら持ち込める?』

 とあった。今日の朝方の時間帯になっていたので、昨日の夜は充電が切れて、一晩かけて手動充電してすぐにメールをしてくれたんだろうか?

『ティッシュケースを3つ重ねたくらいの大きさの物までなら』

 まぁ、私も顔文字ふんだんに使った、長文メールは苦手なので、簡潔にメールを返す。

 送信ボタンを押した後に、慌ててもう一通メールを書く。

 オークションで落札された銀貨を送ったのは確かに日本だ。それは、どうなったんだろう?別人なのだろうか?

『山下さんとお呼びすればよろしいですか?』

 いつまでもクレーマー(仮)では失礼なので、名前を確認。

『頼みがある。日本と唯一の繋がりである、携帯を維持したい。しかし電池の寿命がもう長くはない。新しい携帯電話が欲しい。予備も含めて10個ほど、入手できるか?』

 送信と同時に、向こうからメールが来る。ほぼ同時に送信したらしい。

『吾妻だ』

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