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37 皇太后様との一幕

 カバンから文字の表を取り出すと、照らし合わせながらゆっくりと読む。マーサさんが、読んであげようか?と言ってくれたが、それではいつまで経っても上達しないので、自力で頑張ってみた。

 要約すると、無視したいけどできない内容でした。

 ピッチェでの活躍を耳にした皇太后様が、化粧をして欲しいとリエス様をお待ちです。後日お迎えに参ります。

 女帝の次は皇太后とか……ガクブルです。

「迎えがいつ来るかとか、何か言ってましたか?」

 と、マーサさんに聞くと、

「明日だったと思うよ。昼ごろ来ると言っていたよ」

 急だよ!急!

 なんだか、胃が痛くなってきた。しょんぼりして、小屋に帰ると、しょんぼりしたラトがいた。

「どうしたの?」

 しょんぼりの理由を聞いてみる。

「なかなか会えないんだ」

「誰に?」

「薔薇のヒト」

 まだ、覚えてたのか!

「ぼくも、見かけたら教えるよ」

 と、いい加減なことを言ってうどん食べさせてさっさと返した。

 明日は皇太后様に会うなんて緊張する。失礼をしては大変だ。あーあ、気が重い。就職の面接よりも気が重い。

 オークションは、全部落札された。良く考えれば、明日は王都に行けるんだ!歩かなくていい!馬か、馬車だよね。

 出品用の品物入手のチャンスだ!

 そう考えたら、王都行きが楽しみになってきた。資金はある。

 金貨入りの革袋のほかに、銀貨だけの袋を分けておく。あまり大金を手にしているのを見られるとトラブルの元だもんね、きっと。

 金貨が売れれば楽なのになぁ。金って今グラムあたりいくらだろう?金貨一枚で結構な値段になるよねぇ。でも、純度分からないし、だいたいオークションで本物の金かどうかも分からないもの買わないよね?

 銀貨ならどうなんだろう?ちょいと調べてみる。ネットオークションで銀貨はそこそこ取引あるみたい。値段は、コインの種類によってピンきり。どうも、銀相場とは連動してないみたい。それなら、逆に売りやすい?

 試しに「銀貨 グアマキ コスプレ 小道具」と出品してみた。

 それから、明日、街で買うものをリストアップしておく。出品用のもの。生活用品。食料。その他。


 翌日、早めにマーサさんの店に行き、2階の部屋を借りて薔薇のリエスに変身!

「何度見ても、魔法のようだね!今度また、私にも化粧しておくれよ!」

 マーサさんの言葉にうなずく。

「もちろん!今度化粧の仕方を教えますよ!」

 と言えば、ルーカがいつの間にか来ていて、言葉を挟んだ。

「えー、ずるぅい、私にも教えて!」

 と、女子トークを繰り広げていたら、迎えが来た。

「我が、女神はいらっしゃいますか?」

 この声、トゥロンだ。

「残念ながら、いないわよ」

 と、顔を出す。

「リエス殿、あなたがいれば、女神も必ず近くにいらっしゃるはず!」

 相変わらずだわ。トゥロン。

 でも、知らない人よりも知っている人のほうが私も気が楽だから嬉しい。

 日程はかなり強行で、ミリアから王都まで馬で疾走。薔薇のリエスだから、トゥロンの操る馬に横座り二人乗りです。

 王都に着くなり、お城へ。控えの間?らしきところに案内され、まったく心の準備をする時間もなく、サマルーが1人の女性を伴って入室。

 皇太后様ですと紹介される。

 いきなりすぎ!

 深く頭をたれ、しどろもどろに挨拶。

「頭を上げて、細かいことは気にしないで」

 歳は50近くだと聞いているが、声はまるで少女のように弾み、涼やかだ。

 お顔も、40半ばと、若く見えるだけでなく、少女をそのまま歳を取らせたようなかわいらしさがある。

「リエスさん、今日は来ていただいてありがとう。シャルトの誕生日会の噂を聞いたときから、一度お会いしたかったのよ」

「光栄です」

「早速、お願いしてもいいかしら?こっちに化粧品を用意してあるのよ、さ、リエスさん来て!来て!」

 なんと!手を捕まれ引っ張られました!

 皇太后様、気安すぎやしませんか?大丈夫ですか?まるで、友達にするような態度ですけど。

「うわー、すごい量の化粧品ですね」

「そうなのよー。マーゴの話を聞いてうらやましぃと言ったら、なんだかいっぱいプレゼントされて」

「えーっと、今まで使っていたものは、どちらになりますか?」

「どれかしら?」

 皇太后様が首をかしげると、すぐさま控えていた侍女が来て、化粧品の一部を別のテーブルへ載せる。

「こちらでございます」

「ありがとう。では、皇太后様、こちらの化粧品を使って、メイクをさせていただきます」

「あら?これだけでいいの?せっかくたくさん貰ったのに?」

 これだけといっても、充分な量がある。なんせ、テーブルにびっちり並んでいるのだ。

「一度も使ったことのないものは、肌に合うか分かりません。その点、今まで問題なく使っていたものであれば安心できます」

「そうね、リエスは頭がいいのね!肌に合わないなんて考えたこともなかったわ!どうしましょう、せっかく貰ったのに……」

「使いたいものがあれば、腕の内側などにつけて試してみてください。赤くなったり痒くなったら、使うのはやめた方がいいでしょう」

 皇太后様は、見た目だけではなく、中身も少女のようだった。もうとにかく好奇心が旺盛で、おしゃべり。ただの庶民の私にも、楽しい話をいっぱい聞かせてくれた。

「できました。どうでしょう?」

 侍女2人が、鏡を皇太后様の前に掲げる。

「うわー、すごいわ!話に聞いていた以上ね!どう、どうかしら?」

 興奮して、侍女という侍女に感想を聞きまくる。

 侍女も、お世辞ではなく「すばらしいです」「とてもお若く見ます」「おきれいです」と心から賛辞を述べていた。

 どや!

「ありがとう、リエス!嬉しい。そうだ、ねぇ、リエス、息子の嫁にならない?」

 はい?


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[一言] どいつもこいつも恋愛脳でいい加減ウザいよねw
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