↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記  作者: 杜間とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
177/303

177 ユータさんに電話をする

『 日程が決まり次第お電話いたします。

 連絡先 090-××××ー××××

 日本を離れ、電話が使えない場所にいることが多いため繋がりにくい状態ですが、何かあればお電話ください。

 今後は1ヶ月と間を空けずに母に連絡を取るようにしますので、緊急時は実家にご連絡ください。

 実家の電話番号は次の通りです

』

 あれ?

 この携帯の番号?

 もしかして、何日も前に、知らない番号から2回電話があったことがあったけど、あの番号じゃない?

 携帯電話を取り出し、着信履歴を調べる。

「やっぱり……」

 出られないだけでなく、折り返しの電話もしていない。ユータさんからすれば、手紙で電話をする旨を伝えたにも関わらず、電話に出てもらえなかったわけだから……。

 あれ?もしかして、会うの拒否られてる?と思ったりしてないかな?

 どうしよう、気を悪くしていたら……。ラトから聞いたユータさんは、仁義礼智信を重んじる人物だった。礼を欠くと思われてないだろうか。

 ごくん。

 唾を飲み込む。

 就職活動で、会社に電話するときよりも緊張する。

 ユータさんの番号を表示させ、通話ボタンを押す。

 通じるだろうか?もう、通じない場所にいるだろうか?

 トゥルルル……

 あ、電波が届くところにいる。

 トゥルルル……

 呼び出し音の1回が長く感じる。

 トゥルルル……

 7回目の呼び出し音。出ないかな。留守電に切り替わるかな。

 留守電……。何を吹き込もう。まず、前に電話をもらったときに出られなかったことを謝罪して、現状の説明をして、また電話をする旨を伝えよう。

 カチャッ。

「木元です。佐藤さんですか?連絡ありがとう」

「あ、佐藤です。こちらこそ、ありがとうございます」

 カバンの中に頭を突っ込みながら、ぺこりとお辞儀。

 いや、電話しながら頭下げちゃうのって、デフォだよね?……まぁ、頭にカバンかぶってお辞儀するのはデフォじゃないけど。

「せっかくお電話いただいたのですが、これから飛行機に搭乗するので、時間がなくて……。今度、改めてゆっくりとお話できればと思うのですが、一つだけお尋ねしても宜しいですか?」

「はい」

 そうか、時間がないのか。色々と聞きたいことがあったけれど、また今度でいいか。

 とりあえずは、ユータさんが気を悪くしていなかったことが確認できただけでも良し!

「佐藤さんが異世界から帰った出入り口は、何処にありますか?」

 あっ。

「ごめんなさい。私の言葉足らずで誤解させてしまったようですが、私はまだ異世界に居ます。ユータさんに……木元さんに帰り方を教えて欲しいと思って連絡したんです」

「まさか?本当に?異世界にいるのに、どうやって手紙を?この電話も……」

 ユータさんが信じられないという声を上げる。

 そうか、ユータさんは私が持っているカバンのような繋がった物を持たなかったんだ。吾妻さんはまだ、携帯だけは使えるようだけれど、ユータさんは携帯さえ使えなかったのだったら、信じられないのも無理はない。

「人が通れない大きさの、異世界と日本の繋がっている場所があって、そこを通じて電話や手紙のやり取りをしています」

「そうなんだ」

「私、ユータさんに日本への帰り方を教えて欲しくて……帰りたいんです!」

 耳に神経を集中する。聞き逃さないように。

 ユータさんが、帰り道を教えてくれるのを、忘れないように。

「僕の帰ってきた道は、無理だと思う……」

「!」

 絶句。

 ……。

 頭の中が真っ白になって、言葉が出てこない。

 どうして、何故?

「ごめん、もう搭乗の時間だ。また、連絡します。では」

「あ、はい……では」

 反射的に返事を返し、震える手で携帯を耳から遠ざけようとした時、ユータさんの声が続いた。

「佐藤さん、今、僕は地球側そっちに繋がる道を探しているから」

 それだけ言って、電話は切れた。

 真っ白。

 ユータさんの帰った道は無理?

 どういうこと?

 カバンの向こうの繋がりのことを思い出す。

 空間に浮遊している繋がり。少しの刺激で、すぐに場所を移動する……。

 ユータさんが使った道も、すでに移動している可能性が高いということだろうか?

 ユータさんと連絡が取れさえすれば、帰り道を教えてもらえると思っていた。それは甘い考えだったんだろうか。

 一喜一憂って、こういうことなのかな。

 帰りたいから、帰っては駄目になり、帰ってもいいから、帰れるに変わり、帰るのは無理になった?

 もう、訳が分からない。

 帰れないの?

 いや、ユータさんだって、一人で何年もかけて帰り道を探したんだもん。私だって、探せば見つかるかもしれない。

 それに、私は少なくとも一人じゃない。ユータさんがいる。先人がいるのだ。

 そして、ユータさんも地球側で道を探していると言っていた。

 え?

 何故、ユータさんが道を探しているの?

 ユータさんのお母さんは、日本に戻ってからユータさんは数ヶ月単位で家を空けることを繰り返していると言っていたよね。

 ずっと、ユータさんは探してるの?こちらへ繋がる道を。

 何故?

 異世界へ戻りたいの?誰か、会いたい人でもいるのかな?思い残していることでもあるのかな?

 ……。もし、何か忘れ物があれば、大きなものでなければ届けてあげられる。誰かに伝え忘れた言葉があれば、伝えることができる。

 今度、ユータさんと電話をするときには、私に出来ることを教えてあげよう。

 そして、帰り道を教えてもらうのが無理なら、帰り道の探し方を教えてもらおう。旅の注意点とか、色々と教えてもらいたいことがある。

 諦めない。

 諦めるものか。

 元々、一人で帰り道を探さなければ行けないと思っていたんだ。アドバイザーであるユータさんがいるだけでもラッキーだと思わないと!

10月11日にアリアンローズから「無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記 1巻」が発売されます。皆様のおかげです。本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] 書籍化かー。 そりゃあ、面白いからね。 [気になる点] なぞがなぞをよぶー。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。