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【書籍化】無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記  作者: 杜間とまと


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110/303

110 作戦の第二幕

「さぁ、残りも頑張って焼いちゃいましょう!」

 タネはまだ残っている。わざわざたくさん用意したのはこのためだ。

「もう食べられないですよ?」

 兵の1人がお腹をさすりながら言う。

「あなた方2人だけ美味しい思いをしたと知られたら、困りません?」

 2人の兵が顔を見合す。

「内緒に……というわけにはいきませんね」

 白薔薇宮の周囲を警護している兵からも、この庭での食事風景は丸見えだ。羨ましそうな顔もあれば、恨めしそうな顔もある。

 せっせと残りのタネを焼く。ランちゃんとメイヤさんも練習を兼ねて、一緒に焼いてくれた。1枚を4等分して、たっぷりのバターとメープルシロップをそれぞれにかけた。

「さぁ、皆さんにも少しずつですけれど食べてもらいましょう」

 私には見張りの兵が付くことになっているので、その兵に皿をいくつか持たせる。

 ランちゃんとメイヤさんには、城の中で働いている人たちに配ってもらう。

 こちらは作戦とは関係なく、単なる自己満足。栄養失調みたいな顔をした人たちに掃除させるのが心痛むから。いつもありがとうの差し入れ。

「お口に合うかどうかわかりませんが、どうぞ」

 配って回る。

 そして、やはり様子を見に来ていた調理場の1人を見つけると

「材料をありがとうございました。本職の方の前ではお恥ずかしいですが、よろしければ皆様でどうぞ」

 と、残ったホットケーキを乗せた皿を渡した。

 さて。朝食での作戦終了。

 次は昼食だな。

 やっぱりうどんかな。米食べたいけど。

 ラトに好評だった、ペペロンチーノ風うどんにしよう。

 ピッチェの美味しいオリーブオイルの出番だ!


 幸い、小麦粉は調理場から一袋も持ってきた。うどんを打つための色々なものはないけれど、そこは仕方がない。色々代用する。

「もう食べられませんよ?今度は何を?」

 すっかり気を許した男子高校生兵(仮)は、私の見張りを兼ねているので傍にいる。

「お昼ご飯の準備です。今度はちょっと下準備に時間がかかるんですよね。そうだ、また手伝ってもらえますか?」

「もちろん!」

 いいお返事。また食べさせてもらえると思ってるな。これは……。

 うどんの生地は、足でふみふみしてこしを出すのが一番なんだけれど。人によっては足で踏んだ物を食べさせるとは!と憤慨しそうなので、元気の余っている男子高校生兵(仮)木で叩いてもらうことにした。

「次は何をすればいいですか?」

 頼むまでもなく、自分から次の作業を求めるとは!

「もう、しばらくないですよ」

「じゃぁ、出来上がったんですか?」

 目がランランとしてるけど、仮に出来上がったとして、まだお腹すいてないよね?多分2時間目が終わったくらいの時間だよ?

 え?早弁タイム?

「これから、生地を寝かせるの。パンとかでも、しばらく置いておく時間あるよね?ああ、でもどこで寝かせておけばいいかな?誰かに触れられるとまずいんだけどなぁ……」

 とぼそっとつぶやくと、

「僕が見張っています!誰にも近寄らせません!」

 とか、言う男子高校生兵(仮)。

 おいおい、私の見張りはいいのかい!と思ったら、ドア前に立つもう1人を手招きで呼び寄せる。

「交代してくれ、僕は不審人物からコレを守る必要ができた!」

 と、私の見張りをバトンタッチした。

「わかった」

 と、もう1人の兵。

 ゆるいわ~。いいの、こんなにゆるくて。こっちの兵も顔を見れば実年齢二十歳いくかいかないかって顔だね。

 こんな兵ばかりで、いざというとき対処できるの?って心配無用か。

 キモエロ陛下のことだ。いざ私の身に何かあったら、トゥロンの責任を押し付ける気なんだろう。はなから護衛の役目など求めてはいないはず。

 そして、トゥロンが加担して私が逃げ出すということも想定していないんだろうな。人質がいるしね。

 私1人で、逃げ出すということ、ただその警戒のための見張り役なんだろう。小娘1人、経験の浅いゆるい兵士でも対応できると踏んだか。もしくは、宮殿を抜け出せてもその先に居るであろう、王城の敷地を囲む塀を越えることはできないと踏んだか。流石にそこにはもう少し屈強な兵がいるはずだ。


 昼食の時間、庭が見える位置にちらほらと見慣れない顔があった。

 おや?

 結構早く噂が広がっているようだわ。しめしめ。

 兵士達からか、調理場の人からか、男にも結構噂好きもいるもんね。

 朝食同様、自分達が食べ終わると、白薔薇宮で働く人たちや兵におすそ分け。それから、今回は遠巻きに見ていた人たちにテーブルを薦める。

「余ってしまいましたので、よろしければどうぞ」

 ま、余るように作ったんだけどね!

 すると、1人、2人、それにつられるように5,6人の人がテーブルに座る。

 ペペロンチーノ風うどんを出し、ついでにサラダとパンもつける。

 ちょうどそのとき、調理場の人間がやってきた。

「朝はありがとうございました。とても美味しいと評判でした」と、皿を返しに来たのだが、王城でも今は食事の時間のはず。調理場忙しいよね?なんでそんな忙しい時間にわざわざ皿を返しにくるかな?

 にやり。

「よろしければ、こちらも皆さんでどうぞ」

 今返してもらった皿に、ペペロンチーノ風うどんをたっぷり乗っけて手渡す。

「ピッチェ特産のオリーブオイルを使っています。ピッチェのオリーブオイルはとても風味があって美味しいですよ。サラダにも合います」

「ありがとう」

「あの、夕飯に使いたい食材があるのですが、少し分けてもらいに行ってもいいですか?」

「ええ、もちろんですよ」

 にっこにこ笑顔で返答をもらう。

 あ、でも夕飯の時間は外は暗いからメイサさんの家で食べるけどね!おすそわけないからね!

 さて、キモエロ陛下はどう出るかな?

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