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第一話
「おいレオナルド! お前のような畑仕事しかできんハズレスキルの持ち主は、我が公爵家に不要だ!黒砂の谷に去るがいい!」
義兄の嘲笑と共に、鉄の門が重々しく閉ざされた。
レオナルド・フォン・バルト。
かつて日本のブラック企業で年間残業1200時間を誇った男の転生後の姿だ。
異世界に転生した際、神から授けられたスキルは――【水耕栽培】
魔法と剣が支配するこの世界において、「土を使わずに水で植物を育てる」という概念はまったく理解されなかった。
誰もが「土の精霊の加護もない軟弱な農法など役に立たない」
「攻撃力ゼロのゴミスキル」と蔑み、レオナルドは無能の烙印を押されて追放されたのだ。
だが、地平線まで広がる赤茶けた乾いた大地を見渡し、レオナルドはニヤリと笑った。
「……ハズレスキル? バカめ。ブラック企業時代に俺が趣味で極めたベランダ水耕栽培の威力を、何ひとつ分かっていないな」
この黒砂の谷は、土壌に強い毒素が含まれており、どんな作物も育たない死の土地。
しかし、「土を使わない」水耕栽培ならば、土壌の毒など100%無関係なのだ。




