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異界郵便局  作者: 翠雨
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第二十一話 こわれもの

年明けの忙しさも過ぎ、桃羽も俺たちの日常になじみ始めた頃、一つの荷物が届いた。

「ユキーなんかきた」

「なんかって。荷物だろ?」

「そうだけど……なんか書いてある」

「え?それ読めるか?」

「うん。えーと、ワレモノ注意?かな」

「は?そっち行くからちょっと待ってろ。出来るだけ触るなよ」

「はーい」

その返事を聞き、俺は急いで自分がしていた作業を終わらせ桃羽のもとに走った。

「おつかれユキ。早かったね」

「そりゃどうも。で、これだよな」

「うん。ここに書いてある」

そう桃羽が指した先には確かにワレモノ注意のシールが貼ってあった。とりあえず伝票は必要なんだけどこれ持ち上げて大丈夫だよな?なんて思い少しビビりながら持ち上げた箱は想像の何倍も軽かった。持ち上げたのと同時に落ちてきた伝票はいつもより分厚く、俺は荷物を一度置き急いで伝票を拾い上げた。触って分かったがこの伝票は二枚重なっており、一枚目はいつも通りの伝票、二枚目は注意書きの紙になっていた。紙にはこう書かれていた。

『この荷物はこわれものです。中身の安全性を保つ為、中は緩衝材で固定されています。しかし、絶対に安全という訳ではないので十分に注意しながら配達するようお願い致します。』

「なるほど」

「なんか分かった?」

「ああ、というかあんまり触るな。壊れるかもしれないから」

「え!そうなの?じゃあやめとく」

「うん、とりあえずやめとけ」

「で、何が書いてあったの?」

「この箱の中身はあんまり強くないから大事にしてくれっていうお願い」

「そうなんだ。じゃあ、ぼくは今回何も出来ないかも」

「なんでだ?」

「一人で持つと落としちゃいそうだし、僕が触って壊したりしたくないから」

「そんなに気にする必要無いと思うけどな。気をつけようって思ってるなら桃羽が壊すなんてことは無いと思うし」

「そうかな……」

「そうだよ。それに手伝って貰えるなら俺は助かるんだけど」

「本当に!なら僕頑張るね」

「ありがとう。じゃあ準備始めるか」

そう言って俺たちは準備を始めた。中身の確認を終えたカバンを持ち、帽子を被ったところで俺の手は止まった。荷物どうしよう。いつも通り運ぶのは流石に危ない気がするが、他の運び方を知ってる訳じゃない。どうすれば良いだろう……なんて考えているとリアさんが帰ってきた。

「ただいまー」

「おかえりー」

「おかえりなさい。お疲れ様です。どうでした?」

「ちゃんと渡せたよ。二人はこれから配達?」

「はい。そうなんですけど…」

「どうかした?」

「あの、実はこの荷物こわれものみたいで。十分に注意しながら配達してくれってお願いがあったんです。それで、運び方どうしようって思って」

「あーなるほど。ユキくんこわれもの運ぶの初めてだったね。ちょっと待ってて」

そう言うとリアさんは奥の部屋の方に行ってしまった。しばらくして台車であろうものを持って戻ってきた。

「一応こういうのはあるんだけど…」

「それは台車ですよね?」

「うん、こわれものとか大きい荷物を運ぶ為のやつ」

「こわれものも運べるんですか?」

「一応ね。ここにベルトがあるの分かる?」

「はい。分かります」

「これが固定する為のもので、長さとかも変えられるようになってるんだよ。ただ、荷物の大きさによっては台車が大きすぎて邪魔になっちゃうんだよね。だからオススメする訳ではない」

「この荷物だと…大きさ的に台車は邪魔になりますかね?」

「そうだね。届けるまでの道のりも分からないし、大きな荷物にして持ち歩くより荷物含めて身軽な状態で入れる方が私は良いと思う」

「ですよね。じゃあこのまま運びます」

「了解。台車は今後必要に応じて使ってもらって良いから」

「分かりました。ちなみに運ぶ際に気をつけたい方が良いこととかありますか?」

「そうだな、当たり前だけど荷物から目や手を離さないこと。後は出来るだけ水平に保って両手で持っておくことかな」

「水平にですか?」

「うん。変に傾けたりすると形が変わっちゃうものもあるし、中身が液体だったりすると溢れる可能性もゼロではないから」

「あ、そっか。そうですね。気をつけます」

「はい。そうして下さい」

「まあ桃羽くんもいて目とかは倍ある状態だから大丈夫だとは思うけど、二人とも頭の片隅には気をつけるってことを置いておいてね」

「はーい」

「分かりました」

そう言って俺は荷物を持つと、桃羽と一緒にステンドグラスの扉の部屋に向かった。部屋にある装置に伝票を置き、座標が映し出されたの確認して円の中に入った。

「桃羽、どんな場所に出るか分からないからあんまり油断するなよ」

「分かってるよ。ユキこそ荷物の安全気にしてよ。任せてるからね」

「ああ、分かってるよ」

そう話しをしていた俺たちは光に包まれた。



気持ちの良い風が体に当たり目を開けると、原っぱが広がっていた。どこかで水の音が聞こえる。見た感じ水の音がするものは見えないが近くに川でもあるんだろうか?空気が澄んでいて凄く息がしやすい。というか、ここに着いてまだ少ししか時間が経っていないのに驚くほど居心地が良いと感じている。自分が知らなかっただけで俺こういう場所と親和性高いのかな。

「なんかユキ楽って感じだね」

「ああ、なんかこの場所良くないか?綺麗だし息しやすいんだよな」

「確かに。ここなんか良いよね」

「桃羽も思うんだ」

「うん。なんか緊張してたけど落ち着いた」

「俺も。じゃあ届けに行こうか」

「うん」


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