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11. 伝説の配信

俺は最近二人の配信を見ていると、彼女たちは実は昔からの知り合いなのではと思い始めていた。

身始めたのは数ヶ月前くらいのはずだが、毎日配信を見ているうちに、

毎日側にいる、そんな存在に思えてきたのだ。


そんな風に思うのはおかしい、とは冷静に考えると思うのだが、

毎日会って、会話(コメント)しているのだがら、そんな気がしてしまうわけだ。


その日は、サーラの雑談配信だった。

いつものようにサーラがおっとりしたような声で話していた。

エルナの誕生日が近いから、その日に二人でオフしてコラボ配信する、という話だった。

オフコラボとは、インターネットから離れて、実際に会ってコラボ配信をするということだ。

普通のコラボ配信でも楽しいのに、二人の距離が縮まって話す内容のことを想像するだけでワクワクが止まらない。


「プレゼント何にしたらいいかなぁ。」

サーラは悩んでいるようだ。


"指輪"

すかさずメッセージを送ってしまう。


「指輪って、フフッ。そんなまだ早いよ。」

拾って貰えた。


"まだ?"

とさらに送ってしまう。がこれは流されてしまった。


「リスナーさんもプレゼントあれば、事務所に送ってくださいね。」

とサーラは最後に話して配信は終わった。

そして、俺もプレゼントすることを決めた。

二人の所属する事務所宛に送れば、当人に届けてくれるようだ。


でもプレゼント。何にするか迷う。

以前に描いた夢の絵をプレゼントすることを考えた。

SNSで二人から反応もあったし、二人の仲をさらに深めるためにも、最適に思えたのだ。

さらにせっかくなので額縁に入れようと俺は画材店に向かった。


そして、エルナの誕生日オフコラボ配信が始まった。

いつものようにエルナとサーラは楽しそうに二人で談笑している。


「久しぶりに見たけど、やっぱりサーラちゃんはかわいい。」

「エルナちゃんのほうがかわいいよ。」

と二人は仲睦まじく話している。

コメント欄もいつもの数倍加速している。


誕生日配信ということで、配信中にプレゼント開封がある。

まずはサーラのプレゼントということで、それはどこかで見たことがあるようなブレスレットだった。


「ありがとう、これ前に見たことある。ずっと欲しかった気がする。」

とエルナは嬉しそうに話す。

そして、リスナーからのプレゼント開封に移る。


エルナの好きなキャラクターのぬいぐるみや、変わった置物などが出ていく。

描いた絵も出てきたらいいなと思いながら、俺は見ていた。

さすがに何千となくプレゼントがありそうだから、ないんだろうけど。


プレゼントは配信前に、サーラが事前に確認して選んだものとというだけあって危険なものはなかった。


「で、次のプレゼントなんだけど、絵なんだ。」

「その前に、エルナちゃんって、私と初めて会った日のことを覚えている?」

「初めて会った日?配信だと去年の始めましてのコラボのはずだけど。」

エルナは笑いながら、返す。

俺は去年のことを思い出し、懐かしむ。あぁ、あの配信はよかった。あのときはエルナちゃんもサーラちゃんも……

と俺は古参らしく昔を懐かしむ。

質問したサーラはというと少し寂しそうな表情を見せたが、すぐにいつもの表情に戻る。


「配信だと去年にはじめましての配信コラボだったよね。でも実際はそれより前にあってるよね。」

「え、リアルの話しちゃう?」

エルナは笑いながら満更でもないように言う。


「実は、私が記憶を失って困ってたときに、サーラちゃんに助けてもらって。

サーラちゃんの家に居候してた時があるんです。」

「あの時は大変だったね。二人してどうやって暮らしてこうって。」

「そうそう。で流行りのVTuberにってことで、事務所に応募しにいって。

二人で採用ってなったときは本当にほっとした。」

エルナとサーラは笑いながら語っている。


「でも本当はそれより前に会ってたらどう思う?」

「え?どういうこと?」

サーラの意味深な発言にエルナは驚いた表情をしている。

俺も同じことを思って驚いた。


「そうだよね。ごめん戸惑わせて。」


「プレゼントはこの絵です。いつもコメントくれるカフェオレさんが私たちの絵を描いてくれたました。」

そして、俺の描いた絵が出てきた。

絵には、エルナとサーラがソファに仲良く腰掛けて微笑んでいる絵だ。


え!?

俺は気づけば声が出ていた。

二人の足元に、茶色い猫のような生き物が描かれていたのだ。

二人のそばで安らかに寝息を立てていた。

それは俺が描いたものではなかった。


「この絵は?」

「エルナちゃんと私が談笑しているね。

 なんだか懐かしい感じがしない?」

「このブレスレットって、」

エルナが絵の中のブレスレットを見て驚いていた。

それはサーラがエルナにプレゼントしたものとデザインが非常に似ていたからだ。


「昔、この星ではないところでプレゼントしたものだよ。

今日のプレゼントはそれに似せたもの。」

「どういうこと?」

エルナはサーラに尋ねる。


「もしかして、私たちって、」

エルナがサーラに向く。

サーラは優しい表情をして、エルナを見つめている。


「徐々にでも、いつか、思い出して。あなただけじゃなくて、この子も。」

「それって。」


「この絵ってね、このテレビのそばにいたあの子が見ていた姿が描かれているんだよ。

ほら、いつもテレビのそばに立ってこっちを見てたでしょう。」

エルナとサーラは絵の猫をじっと見つめる。


「だからね、私がこの子も入れてあげないといけないって思って、足元に描いたんだ。

あの子は気づいていなかったと思うけど、いつも足元にで安らかに眠ってたね。」

「あの子、私たちの側にいるのが好きだった気がする。」


エルナとサーラは笑っていた。

エルナは完全にではなかったが、一部過去の記憶を取り戻したのだった。

しかし、それでも十分だった。二人はもう一度結ばれ直したのだった。


その後、伝説と称されたその配信は気づけば公式から消えていた。

でも、あの日の出来事を裏付けるように、二人は仲睦まじいコラボ配信を頻繁に行うようになった。

その空気感は同居していることが誰にでもわかるのだが、それは未公表になっていた。


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