後任探しに奮闘!
帰還の旅は3ヶ月後に決まった。ナハト国や道中立ち寄る国々に先触れを出さなければならないし、旅の一行は王子や大臣などなど結構な規模になるので旅の準備にもそれなりに時間がかかる。3ヶ月は長いようで、短いのだろう。王宮ではすでにバタバタモードである。もちろんそれでも王宮内を走り回ったりはしていないけどね。王宮に仕える方々は優秀な方ばかり。走り回ったりしなくても、普段の2倍速くらいで働けるのだ。きっと…?
旅の準備は任せてくれて良いと言われたので、そこは甘やかせてもらうことに。王宮での準備は、私が手伝っても足手まといになりそうだしね。私は私物をまとめるくらいで大丈夫だろう。で、たいして私物も多くないので荷造りはそうかからないはず。
私がその3ヶ月の間に最優先で行わなければならないことは後任の治癒術師探しだ。私が働き始めてから、当初の宣言通りジーンさんが外回りに力をいれたことによって上級薬液が揃うお店として周知されたので、後任の治癒術師さんにも上級治癒魔法が使える人を探したいところだ。中級治癒魔法までなら、ジーンさんも使えるわけだしね。
ジーンさんはお店の名が売れれば後任探しも難しくはなくなると言っていたけれど、上級治癒魔法が使える人はたいていどこかに囲われているのが現状。
(本当に3ヶ月で見つかるかな?)
後継探しを始めた時はそう思っていた。けれど意外と…。王宮へ出向くようになった私を通じて、王宮の関連施設にも販売ルートを広げていたことが幸いしたのか、私が思っていた以上にジーンさんのお店は優良就職先になっていたようだ。
後継探しを始めたら、思った以上に希望者が現れて。そうなると…今度は面接が大変なわけで。一応希望者全員と面接することになったのだけど、お店の営業の合間にだから、全員を面接し終えたのはなんと1ヶ月後…。
たしかにお店の名が売れたから、後任探しは難しくはなかった。だけど名が売れたからこそ、お店の忙しさも結構なものだったのだ。それくらいかかってしまったのは仕方ないと思う…。
ちなみに面接はジーンさんとミーナさん、そして私の3人で行った。ジーンさんとミーナさんだけでも良かったのではないかと思うけど、私の後任を探すのだから私にも見極めてもらいたいとの2人からの強い要望で。
見極めれるかどうかは分からないけど、自分なりに頑張ってみました。就職試験を思い出しながら、いろいろ質問してみたりね。上級治癒魔法が使えるかどうかは、実際に行使してもらえば、すぐに分かることだ。だから、あとは人柄が採用基準なのだ。
全員の面接を終えた私達。1日の仕事を終えたあとで、相談タイムだ。それぞれが良いと思った人物を数人程あげていき、なぜその人を選んだのか理由を述べていく。
そして、その中から最終的に1人に絞り込めたのは…翌日のこと。徹夜とかしてないよ? 夕食もとったし、睡眠もとった。朝起きて、朝食後に相談再開したのだ。本当に優秀な希望者さんが多くて、甲乙つけがたかった…。
相談の結果、採用することになったのは40代の女性。治癒術師としての経験は長く、薬液の研究にも精通しているということで、ミーナさんとも話が合いそうだ。その女性に採用の連絡をし、1ヶ月後から仕事を始めてもらうことが決まった。
今の職場を退職するまでに1ヶ月ほど。(何人も治癒術師が雇われているそうで、引き抜いたことでのトラブルはなし)
私が旅立つまでの1ヶ月は引き継ぎも含めて一緒に働くことに。といってもベテランの治癒術師さんだ。そんなに引き継ぎに時間もかからないだろうから、その期間で自分の旅の準備や、忙しくて王宮へ通えなかったことでご機嫌を損なわれているらしい…王女様へのご機嫌伺いなどをさせてもらう予定。
そして、その期間に…。ジーンさんやミーナさんはもちろん、マーシャさんやリックさん、シーラにも恩返しをしたい。本当にお世話になったもの。私に出来ることは限られているだろうけど、その中で目一杯ね!!
さぁ、旅立ちまであと2ヶ月! フル回転で頑張っていこう!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。「次話以降はまた数話書き溜めてから投稿します」と前話後書きに書かせてもらいましたが、まだ1話しか書けておらず…。前話から10日経過してしまったので、書けた話だけ投稿させていただきました。次話以降はまたもう少しお待ちください。