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大賢者の弟子ステファニー  作者: 楠ノ木雫


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■88 大きな卵


「お、おっきぃ……!!」



 タウンハウスに戻り、持ち帰ってきたリヴァイアサンの死骸を収納魔法陣から取り出した。ジョシュ達はこれを見て大喜び、使用人達は驚きを隠せず近づけないようだ。



「これ!! 師匠が倒したんですよね!!」


「うん、そうだよ」


「すごいっ!! 僕も戦闘で使えるようになりたいです!!」


「そうね~、もうちょっと錬成が早くならないとね」



 頑張ります!! と気合いの入ったローレンスに、ジョシュも便乗してきた。もうちょっとしたら小さいモンスターを倒せるよう訓練させてみようかな。経験して損するようなことは無いからね。



「さてと」



 手袋をして、親方に作ってもらった硬いナイフを取り出した。今日は解体しようと思っていたのだ。と言ってもこれを室内に出すのには無理があったから、今日が晴れて本当によかった。


 さてと、実は気になっている事があったんだよね。とリヴァイアサンの腹の部分の鱗を剥がし始めた。


 手伝います!! とローレンス、ジョシュ、あとは使用人達も手伝ってくれて剥がした鱗をどんどん渡して並べてもらう。中々に難しかったけれどやっとの思いでこの部分は全部剥がれた。


 そして、ゆっくりとナイフを入れていく。くり抜くように動かして……あ、あった!!



「やっぱり」


「これは……卵ですか」


「うん」



 そう、何だか動きがおかしいなと思ったらこういう事だったんだ。さ、引き抜くよ。と血が付いてしまいますと言うサマンサ達に大丈夫と答え手を突っ込んだ。男性の使用人にも手伝ってもらい引っこ抜いた。



「結構大きいですね」


「そうだね、ここまで育っているとは」



 さてどうしようか、私一応卵は扱った事はあるけれど……海のモンスターなんて自信がないなぁ。あ、因みに卵とはグリフォンだけどね。ルシルちゃんのお友達の卵を一緒に育てた事あったの。


 リヴァイアサン、だなんて初めて会ったし……でもこれを討伐したのは私だ。



「ジョシュ」


「……」



 眉が下がっているジョシュ、君の気持ちは分かるよ。でもね、これは仕方のなかったことなんだよ。リヴァイアサンは私達人間を脅かした。だから対抗したまでだ。



「これは、責任をもって育ててあげないとね」


「お手伝い、して、いい?」


「もちろんだよ、よろしくね」



 私達も手伝わせてくださいっ!! と皆やる気があるようだ。ありがたいね。


 卵の件については如何いたしましょうか、とサマンサが。とりあえず私の部屋に運んで、明日は王宮に行こうかな。王宮の中にある大図書館に何かヒントがありそうだ。


 さ、解体の続きをしてしまおうかな。






「あら、これはこれは賢者殿ではございませんか」



 王宮に赴いた時、少ししてご令嬢に声を掛けられた。相手は、



「ご機嫌麗しゅう、モストワ卿」


「えぇ、お久しぶりですね。ターメリット嬢」



 まさかいきなり出会ってしまうとは。私達はあまりいい関係ではないし……殿下と一緒にいるとすごく鋭い視線で見られるし……それにマギーさんの妹だっけ。だからあまり関わりたくなかったけれど……



「モストワ卿は一体どんなご用件で? 実はわたくし、フレッド殿下に呼ばれまして。つい先ほどまでお茶をしていたのです。ご多忙の中わざわざ時間を作ってくださったのですよ」



 とっても自慢してくるな、やっぱり目を付けられてしまってるのか……面倒な。



「おかしいな、私これから国王陛下と王太子殿下にお茶に誘われているのですが……」



 これはほんと。王宮に来た時侍女さんに言われたのだ。この時間にお迎えに上がりますので、と。私が今日王宮に来ることを何で知っているのかと聞きたいのだけれどね。


 そう言った私を睨みつけて、そうでしたかと話を強引に終了させ去っていってしまった。



「……ま、いっか」



 さ、早く大図書館に行かなきゃ。何とかあの卵をちゃんと孵化させてあげなければいけないし。







「ハッハッハッハッ、リヴァイアサンの卵と来たか!!」


「陛下、笑い過ぎです。殿下も」


「ククッ、悪い悪い」


「いやぁ驚いた、まさか卵を持っていたとはな」



 それで、きちんと育ててやるのだろう? と聞かれて、もちろんと答えた。まさかこのサーペンテインでリヴァイアサンの卵が孵るとなるとまたまた社交界での話題が回ってしまうだろうな。と。


 産まれたら見せてくれ、と言われたけれど……見せられるだろうか。まぁ、それはその時に考えよう。



「ステファニー殿は、まだ首都にいるのだろう?」


「えぇ、モワズリー卿から新しく入る王宮術師達の講習をしてくれとお願いされたので」



 って陛下知ってましたよね。殿下も。けど、その日までずっとここにいるかどうかという事か。


 ではまたお願いを聞いてくれないか、と陛下が提案を持ち出してきたのだ。そのお願いに、私は口を閉じることができなかったのである。




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