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大賢者の弟子ステファニー  作者: 楠ノ木雫


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■74 後日


 目が覚めた。



 ……いや、自分が眠っていた事に気が付いた。



 外から入ってくる陽の光がとても眩しい。




「……ルシル?」



 私の眠っていたベットの枕の隣で腰を降りしていた彼女は、私が目覚めたことを喜んでくれているのが頬ずりをしてくる。



「ししょーっ!!!!!」



 ドアが開かれ同じく喜んだ顔で走ってきた弟子ジョシュ。



「おはよう」


「うんっ!! おはよ!!」



 それからすぐに急いでサマンサが来てくれて。目が覚めて良かったです、と泣き出しそうだった。なんだか嬉しくて心がポカポカする。



「え、私3日間も寝てたの……!?」


「はい」



 ルシルの背に、目を回していた私とバートン様が乗せられ戻ってきた。血相を変えてスティーブン達は私達をベッドに寝かせ大至急で医者を呼んでくれたのだとか。マナ切れだったらしく、安静にしていれば回復するでしょう、と。


 まさかこんな事になっていたとは。と言っても、リザードマンとの戦闘でマナを半分使って、湿地帯を浄化する為にもう半分、しかも沢山マナが蓄蔵された鉱石も4つ使ったのに。それでこれか。



「バートン様は?」


「まだ、目を覚ましておりません」



 そっか、無理をさせてしまったか。巻き込んでしまって申し訳ない。


 あぁ、後で湿地帯がどんな状況か聞かなきゃ。



「ししょー」


「ん?」


「こーしゃく様、マナが安定してなかった」


「マナが?」


「うん」



 体内の経路に沢山傷がついてしまったのか。いきなりあんなに持ってかれたんだから、悲鳴を上げるのもおかしくない。



「今すぐ行かなきゃ、着替え手伝ってくれない?」


「いけません!! たった今お目覚めになられたばかりです!!」


「大丈夫、いっぱい寝て完全回復した!!」


「ステファニー様ぁ……」




 サマンサに、彼の部屋を案内してもらった。ジョシュの言っていた通りに青い顔でうんうん唸ってマナが不安定だ。申し訳ない、これも全て私が無茶させてしまったせいだ。


 そう思いながら彼の両手を取り握る。



『展開』



 以前、ジョシュの両手の甲に直接出口を開かせていた陣を治したみたいに、私のマナを彼のマナの経路を通り循環させる。通り道である経路が傷ついてしまっているから、少しずつではあるけれど癒していく。


 もうちょっと時間がかかるとは思ったけれど、流石のエキスパート。もう殆ど治っちゃった。



「ししょー!! どうやったの?」


「んー、ジョシュの時と同じことをしたの。これはまた後で教えてあげるね」


「うん!!」



「師匠!!!!」



 あ、また来た。私の弟子のもう一人。



「ローレンス、しー」


「あ、ごめんなさい。師匠が目覚めたと聞いて部屋に行ったらいなかったので………」



 侍女さんに一人に聞いてこっちに来たわけか。そんなに急いで来てくれるなんて嬉しいな。


 さ、起こしちゃいけないから退散しようか。そう言い聞かせ静かに部屋を出た。



 因みにその後スティーブンに捕まりベッドに強制連行。結構怒られた。領主たる貴方様がそんな無茶を云々言われて3時間。お腹が鳴ったのでとりあえず食事をという事になったのだ。私のお腹グッジョブ!




「男爵様が眠っている間第二騎士団の方々が湿地帯の調査に3回ほど向かいましたが、報告によるとモンスターと一度も遭遇する事はなかったそうです。


 湿地帯の状況ですが、汚染されていたことが嘘のように輝きを取り戻していました。水は澄んでおり、いくつかの傷ついた場所は自然に再生を始めている事も確認済みです」



 おぉー! 頑張った甲斐があった!! 良かった、これで何とか少しは領民の皆さんが安心して暮らせる。あとは色々と検討していって、暮らしを豊かにするために方法を考案していけばいい。



「ダルベルト団長さん達は?」


「村や町周辺の警備に当たっています。団長様から、男爵様が気が付かれたら呼んでくれとの事だったので、恐らくご報告だと思われます」


「そっか、分かった」





「いやぁ、成長ぶりを見せてもらったわい」





「…………」


「…………」


「…………」


「…………」




 知らず知らずに開いていた窓。そこから入ってきたのか、誰かが座って、そう言ってきた。



「侵入者だ!! 捕まえよ!!!」


「えっ!?」


「ちょちょちょちょっと待つのじゃ!! 怪しいものではない!!!」


「窓から侵入しておいて何を言う!!!」



「ストォォォォォォォォップ!!!!!」



「「「!?」」」



 いきなりの来訪者に驚きを見せたスティーブンと、彼の声で呼ばれた警備兵。だがしかし、この人は違う。ちゃんと私の知っている人だ。



「お久しぶりです、メルディアース大賢者様(・・・・)




「「「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」




「はっはっはっ!」


「スティーブン、お茶の準備を。貴賓室にお連れしますね」



 スティーブン達は、口が塞がらず目が飛び出しそうな程目を見開いていた。


 はぁ、全く……確か、最初にお会いした時も杖を向けられてませんでした? まぁ、向け他の私なんですけど。それだからお師匠様にあんな遺言を残されちゃうんですよ。




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