■33 後処理と原因解析
「ポイズンスネークとガーゴイル各2匹仕留めました」
「ありがとうございます。全て研究材料にしますので収納しましょう」
あれから、水晶から出ていた毒霧で狂ってしまったモンスター狩りが大急ぎで行われていた。私も参加して、モンスターを回収している。
この代物は、分からないことだらけ。だから、王様直々に捜査依頼が出ていたのだ。
あの王太子殿下がおっしゃっていた〝アズライト〟という人物についても何かわかるかもしれない。
……というのは建前で、
知らないものが目の前にあった時の好奇心って抑えられないに決まってるよね。
王宮術師の仕事部屋を使っていいと王太子殿下に許可が出たので、この後持っていくつもり。
私の家では全部を取り出すのには無理がありすぎるからね、ありがたい。
「そういえば、ルシルさんは?」
「ジョシュアと家でお留守番です」
「あぁ、成程」
出かける時も、色々とあった。あんな悲しそうな顔されたら行きづらいよ。それでも、休養中のジョシュアをこんな所に連れてこれないからやっとの思いでお留守番させてここに来れたのだ。
けど、これから王宮に行って解析もしなきゃいけないし……これからちょっと寄ってルナンさんにお願いしようかな。この前何かあったら頼ってと言ってくれたし。
「ステファニーさん、もうここは大丈夫ですので一足先に王宮へ」
「ありがとうございます、ではよろしくお願いしますね」
あれから、一旦家に帰りジョシュアに説明した。
いやぁ、泣かれそうになってしまったよ。大丈夫、ちゃーんと帰ってくるからね。そう何度も言い聞かせて王宮へ。
「おや、デイム・ステファニー」
後ろから、以前聞いたことのある声がかけられた。
「久しぶりだな」
え……王太子殿下の叔父様!?
「ごっご機嫌麗しゅう……」
「そんなに硬くならなくてよい、忙しい所を引き止めてしまっただろうか」
「あ、いえ……」
「そうか。ラファール領のモンスターの件、聞いたぞ。現状はどうだろうか」
「え、えぇと、モンスターの処理は粗方片が付きまして……後は原因の解析です」
「そうか、上手くやってくれているようで安心した」
え、えぇと……これはどうしたらいいのだろうか。
そんな時、
「ご機嫌麗しゅう、太閤様」
「あぁ、アスタロトの嫡子か。いや、もうアスタロト公爵か」
「はい、先程」
「そうか」
「……?」
あら? この人、どこかで……? でも、黒髪に赤い瞳の人って初めて会ったかも……勘違いかな。
凝視していた事に気が付いた時には、ニコリと微笑んできた公爵様。失礼だったか。
「では私は失礼しよう、ではまた」
「はい」
「は、はい」
太閤様は私達に一言残してその場を去り、この場には私と公爵様の二人となってしまった。
公爵様になったって言ってたけれど、見た目17、18あたりの若い男の人だ。珍しいけれど、貴族の事情というものか。
「初めまして、いや、初めましてというべきではないだろうが……」
「……??」
「バートン・アスタロトだ」
「あ、ステファニーです。公爵様」
「公爵様、と呼ばれるのはあまり好きではないんだ。先程なったばかりだからな。まぁ、そんな事を言ったら君は困ってしまうか」
「え、と……」
「バートン、と呼んでくれると嬉しいよ。では失礼する」
いえ、そんな訳には……と言わせてくれずに颯爽と行ってしまった。次に会ってしまった時にはどうすればいいのだろうか。
「……どこかで、見たことがあるような……」
あっ、早く術師部屋に行かなければ!!




