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大賢者の弟子ステファニー  作者: 楠ノ木雫


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33/110

■32 ジョシュア


「ジョシュア!」


「!?」



 それから、すぐさまいつもの服装にチェンジした。またあのご令嬢に出くわすのは危険だからね。殿下にフォローしてもらってもあれだったんだからもう無理。


 そして、着替えに手伝ってくださったいつもの侍女さんに案内してもらいジョシュアのいる部屋へ。


 部屋を開けると、膝を抱えて部屋の隅っこで縮こまっている彼がいた。


 そして、私を見た瞬間に泣き出しそうな顔をし飛び込んできたから、驚きながらも思いっきり抱き締めてあげた。


 ここまで喜んでくれるなんてとても嬉しい。



「元気だった?」



 とってもニコニコ顔だ。


 中々心を開いてくれないと言っていた。侍女さん達と上手くいっていなかったのか。



「じゃあこれから、私のお家に行こっか」


「!!」



 凄く喜んでくれている様子。良かった。



「よし、じゃあ行こう」


 

 抱き上げて、王宮を後にした。








 あの屋敷から出た時もそうだったけれど、もしかして外に出るのは苦手なのかな。ずーっと顔を埋めてる。極度の人見知り、奴隷だったみたいだから分からなくもない。



「さ、ここが私の家だよ」



 気に入ってくれたかな? でも、降ろすとすぐに嬉しそうに入っていったから喜んでくれたらしい。


 さて、ジョシュアの部屋を準備しなければだなぁ。


 今日はとりあえず私の寝床を使わせよう。どうせ私は研究室のソファーを使うだろうし。


 幸い部屋は余ってる。私の部屋の近くのを彼の部屋にしよう。そしたら少しずつだけど彼に必要なものを揃えていけばいいか。



「そういえば、ジョシュアは文字は読める?」



 フルフルと頭を横に振った。そしたら、文字も教えてあげないといけないね。少しずつだけれど、錬金術と一緒に教えてあげなくては。


 さて、その前に。


 手を出して、とジョシュアの両手を取り、手の甲を上にするとあの陣が痛々しく見える。


 これは、無理やりこじ開けて引っ張り出すよう組み込まれている陣だ。


 そんなものを使い続ければ身体がボロボロになってしまう。


 幸い、短期間でしか使用していなかったらしい。少し時間はかかるけれど少しずつ自力で回復していくだろう。



「まず、この陣を閉じるよ」


「閉じ、る?」


「そう、無理やり開けたものだからね__『展開』」



『__聖水』



 〝聖水〟とは、大地の女神ガイアから受けられる祝福の雫である。それは、この世の生き物を癒す力。


 それは、彼の傷を飲み込み無理やりこじ開けられた穴を少しずつ、確実に閉じ始める。



「あった、かい……」



 そこから、私のマナも彼のマナの経路を通り循環されていく。出口である陣同様、通り道である経路も酷く傷ついてしまっているから、少しずつではあるけれど癒していく。


 あとは、定期的に注いであげればいいわね。



「はい、これで終わり」



 もう!? そんな顔をして自分の手を見渡している。痛いところはない? と聞くと笑顔で頷いてくれて安心した。



「これから、私が許可するまで錬金術を使うのは禁止ね」


「えっ」


「身体を休めなきゃ。だから、錬金術の実践は治ってからだよ」


「……」


「そんな顔しないの、それまで文字とかも教えてあげるから。ね?」


「……うん」


「うん、偉い」



 笑顔を向けてくれるジョシュアは、こっちまで笑顔にしてくれる。


 初めて出会った時とは違う、元気な様子で良かった。




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