■13 瘴気
ウガルルムを倒した次の日、朝から北の森に訪れていた。訪れていた、と言っても上空で全体を観察しているわけだけれど。バレちゃうかな、とも思ったけれどたぶん大丈夫かな?
あのウガルルムは、この前討伐したオークの群れと同じように瘴気に侵されていた。という事は、あの時見た瘴気を出している原因であるものがあるはずだ。
上から見てみると所々に木々の隙間から以前オーク達の群れで目撃した黒いものが見える。
早くしなきゃ。そんなことを思いながら、収納魔法陣を開く。取り出したのは、私のマナをたっぷり込めた翠水晶。
国が嵌めた橙鉱石では弱くて外に漏れ出してしまっているから、強化するためにこれを使う事にした。
「ルシル」
その声に反応した彼女は、森の東の方の端まで移動。翠水晶を落とした。それを同じように北、南、西に。
「よし、ルシルは上空で待ってて」
『展開』
『Ventus』
風魔法で降りて森に降り立つ。そして調査を開始した。
この瘴気はこの北の森全体に広がっているのが先程上空から見て確認できた。
人間が瘴気を浴びると、ビリビリとした痛みを肌が感じ、息苦しく重くのしかかるような圧力がかかる。昨日は北の森の入り口程度だったから騎士団の皆さんは大丈夫だった。まぁ、体が多少重かっただろうけど。
それだけ、瘴気が濃いということだ。
でも、これくらいなら私は耐えられるし、何とかなると思う。と言っても、こんなに広いのはちょっと骨が折れそう。
「……今日、帰れるかな」
さっさと終わらせよう、とは言いたいけれど……こんなに広いんだもんなぁ。
あぁ、お師匠様だったら一瞬で森の中を掌握するんだろうなぁ。まだまだ未熟だ。
それから、日が落ち真っ暗闇となって。ちょっとこんな瘴気たっぷりの夜の森に一人は色々と怖かった為に一度宿に帰ることにしたのだ。
「あぁー! やっと帰ってきた!!」
心配してくれたのか、ルナンさんが声をかけてくれた。
「もうっ、中々帰ってこないから心配しちゃったじゃない!」
「あはは、すみません」
「笑い事じゃないからね!」
本当にごめんなさいと手を合わせた。
「あ、昨日と今日、アルともう一人のイケメンさんがステファニーちゃんを訪ねてきたよ?」
えっ。ポーション納品日じゃないし……もしかして、ウガルルムの件!?
「明日また来るって」
「あーっと、明日は朝から……」
「えっ、また? どこ行くの?」
「あははー……」
「まぁたそうやってはぐらかす! 女の子なんだから危ないことしないでね!」
「はい、分かりました」
「もう」
本当にごめんなさい。でも、早くこの案件を終わらせたいんです。
すぐにあの北の森の瘴気を消さなくちゃ大変なことになってしまうから。




