安生正「ゼロの激震」
安生正「ゼロの激震」
これは日本が辿るかもしれない、最悪の未来の一つ。
大規模な土砂崩れや原因不明のガスの噴出といった災害に見舞われる北関東。
そんな折、元大手建設会社で技術者だった木龍のもとに、大学の恩師である氏次からの連絡が入る。
彼の紹介で出会った奇妙な男、奥立から告げられたのは、関東全域に迫る未曽有の危機だった。
災害の原因は、関東の地下で鳴動するマグマの活動であり、それの解決の助力を奥立は木龍に求める。だが、彼はかつて作業中の事故で同僚を亡くしており、それ以来精神疾患を患っていた。
参加をためらう木龍だったが、同じ頃、群馬県富岡市で噴火活動が起こり、富岡市が壊滅する。
政府は対応を急ぐべく、秩父市にマグマを逃がすバイパスを構築する工事を計画、それに木龍たちが協力する。
だが、マグマの速度は彼らの予想を上回り、秩父一帯がマグマによる炎熱地獄に包まれてしまった。
一刻の猶予もならない状況の中、木龍たちは解決の手段を探して奔走する。
南下するマグマ、激動する環境、暴動を起こす民衆――その中に秘められていた、政府の隠匿していた秘密。
パニックは加速し、炎熱の地獄が東京に迫る。木龍たちは東京を救えるのか。
未曽有の危機に技術者たちが立ち向かう、パニックサスペンス。
ゼロシリーズ第三弾、安生正氏は作中でこれまでもさまざまな場所を壊滅させてきたが、今度は関東が舞台だ。
描かれる惨劇は、まさに想像を絶するスケールで描かれる。また、彼自身、工学部出身で建築会社に勤務しているため、理論が理路整然と語られ、その危機感が具体的に感じられる。
また、立ち向かう男、木龍はトラウマを抱えながらも必死に状況に立ち向かい、どんな状況にも絶望せずに懸命に足掻く。
彼らの仲間も誰一人としてあきらめない。一丸となり、どんな困難であろうと打開しようと立ち向かうのだ。まさに、技術者の生きざまを体現したようで、思わず胸が震えた。
神の怒りを表すような、大災害。事実、これは実際起こり得る災害の話だ。今後、我々はその災害にどう立ち向かっていくのか。思わず考えさせる作品だ。




