04:副会長の隷属になった私
体が重たい……
何だか頭がガンガンして、とても不快な気分だ。風邪でも引いたのかな。
「ミミちゃん?」
あ、副会長の声……
朝から彼女の声を聞けるなんてラッキーだ。
「そう言えば……私、副会長のお部屋にお泊まりしていたんだっけ」
「ふふ、寝ぼけているの?可愛いわね」
「……何だか体が重いんです……」
「あらまぁ、無理をしてはいけないわ。まだ万全じゃないのかしら」
……万全? ……何が?
「そう言えば、個人差があるから、目覚めてから二週間くらいは様子を見なければならないんだったわね」
だから、何の話……?
「まぁ、でも成功したみたいだし、一安心だわ」
「あの……副会長……?」
「もう少し休んでいなさい。あなたの気分が良くなったら、話してあげるから」
戸惑う後輩に構わず、副会長は再び私を寝かしつけた。
※
結論から言うと……
私は人ではなくなってしまった。
今の私は吸血鬼と呼ばれるモノだ。
私は、副会長によって、そんなバケモノにされてしまった。
「私をっ……騙したんですか! ……ひどいですっ、あなたの事を慕っていたのに!」
副会長が私に真実を話してくれたとき、私は酷く混乱して、泣きながら彼女を責めた。
「ミミちゃん……」
「私はっ……あなたがっ……っ……!」
急に立ちくらみがした。慌てて駆け寄って来た副会長が、私を支えてくれた。
私は彼女を突き放そうとしたが、体に力が入らない。
「後でいくらでも怒られてあげるから、落ち着いて」
彼女は私を支えながらソファーへ移動すると、私の隣に座って上着を脱ぎ捨てた。
副会長の露になった首元が目に入る。
何故だろう……そこから目が離せない……。
「良い子ね、ミミちゃん」
彼女はそう言うと私の頭を抱えて、私の顔を彼女の首元に近づけた。
「噛んで……」
私は嫌々と首を振った。
どうすれば良いのか本能的に分かっていたけれど、私の理性が、人間の心が抵抗した。
「……頑固な子」
副会長はため息をつくと、懐からナイフを取り出し、首筋に当てた……。
副会長の首筋から真っ赤な血が流れ出る。
――限界だった
私は、副会長に覆い被さると、彼女の首筋に口づけた。
なんて浅ましいんだろう…………涙が出た。
私に血を吸われているのに、副会長は嬉しそうだ。恍惚とした表情を浮かべている。
「ふふ、今日から私があなたのマスターよ? あなたは私のもの。誰にも渡さないわ……ふふふふふ」
何故か彼女は上機嫌だ。何をこんなに喜んでいるのか分からない。
「……こんなの、おかしいです……副会長……」
私が抵抗の言葉を口にしても、彼女は全く気に留める様子が無い。
「これからは、私をユンナと呼んでちょうだい」
「……」
「ほーら、言ってみて……ユ・ン・ナ」
怖いくらい、いつも通りだ。
「いくら抵抗したって、あなたは私と一緒にいるしかないんだから」
彼女の言う通りだ。
人でなくなった私の居場所は、彼女の側しか無い。
「ユ……ンナ…………先輩」
「ダメ! 先輩は外して。私達は年齢という概念が薄いの。ほら、もう一回!」
副会長は私を急かす様に手を叩いた。
「はぁ……。ユンナ……様……」
流石に呼び捨ては抵抗がある。
貴族社会で育った私は、そういったことが気になるのだ。
「……はぁ、まあいいわ。徐々に慣れさせるのも楽しそうだものね」
私はしばらくユンナ様の元で、吸血鬼としての生活について学ぶ事になった。
そういえば、二学期から私、どうしたらいいんだろう……