第十話 四人、初めての現代ホテル 改訂版
夕食を終えた四人は、テレビ局のスタッフに案内され、宿泊先のホテルへ向かった。
「皆さん、今夜はこちらのホテルに泊まっていただきます」
スタッフが説明した。
「四人一緒のお部屋ですか?」
マルコ・ポーロが尋ねた。
「はい。今回は特別に、四人でお使いいただけるお部屋を用意しました」
「一つの部屋に四人か!」
ルスティケロが笑った。
「旅の途中で、仲間と同じ部屋に泊まるのは珍しいことではない。だが、どんな部屋なのだろう?」
ホテルのエレベーターに乗り、客室のある階へ向かう。
扉が開くと、スタッフが一枚のカードを取り出した。
「こちらがカードキーです。これを使ってお部屋に入ります」
「カード?」
マルコ・ポーロは、手渡されたカードを眺めた。
「これが鍵なのか?」
スタッフはカードをドアの読み取り部分にかざした。
ピッ。
ドアの鍵が開いた。
「おお!」
四人は顔を見合わせた。
「鍵穴もないのに、扉が開いたぞ!」
部屋に入ると、スタッフが入口近くのカードホルダーを指さした。
「こちらにカードキーを差し込んでください」
カードを差し込む。
パッ!
部屋の照明が一斉に点灯した。
「なんと!」
ルスティケロが声を上げた。
「カードを入れただけで、部屋が明るくなった!」
イブン・バットゥータは、カードを抜いてみた。
しばらくすると、照明が消え始めた。
「おお、今度は暗くなった!」
イブン・ジュザイイは、カードとホルダーを交互に見た。
「このカードが、部屋の電気を管理しているのか」
「そうなんです。カードを抜くと、一定時間後に照明などが消える仕組みです」
スタッフは笑顔で答えた。
四人は、部屋の中を見回した。
大きなベッド。
窓の向こうには、夜の街。
壁には大きなテレビが設置されている。
「これは何だ?」
マルコ・ポーロがテレビを指さした。
「テレビです。遠くの場所の映像やニュースを、ここで見ることができます」
スタッフが電源を入れた。
画面にニュース番組が映った。
「人がいる!」
ルスティケロが驚いた。
「この箱の中に人がいるのか?」
「いいえ。映像ですよ。遠くで撮影したものを、ここで見ることができるんです」
「遠くの人間が、目の前で話しているように見えるのか……」
マルコ・ポーロは、画面に近づいた。
続いて、スタッフは冷蔵庫を開けた。
「こちらには飲み物が入っています。冷たいまま保存できるんですよ」
イブン・バットゥータは、中を覗き込んだ。
「火も氷も使わずに、冷たさを保てるのか?」
「電気を使って冷やしているんです」
「電気というものは、本当に不思議だな」
その隣には、空気清浄機が置かれていた。
「こちらは空気清浄機です。部屋の空気をきれいにするための機械です」
「目に見えない空気まで、きれいにするのか!」
ルスティケロは、機械の吹き出し口を覗き込んだ。
イブン・ジュザイイは、表示パネルを確認している。
「この数字は、空気の状態を示しているのですか?」
「はい。空気の汚れ具合などを表示しています」
「なるほど。目に見えないものを、数字で確かめられるのか」
四人の質問は、なかなか終わらなかった。
今度は浴室である。
スタッフがシャワーの使い方を説明した。
「こちらで温度を調節できます。レバーを動かすと、お湯が出ます」
マルコ・ポーロがレバーを動かす。
シャワーから温かい水が勢いよく流れ出した。
「うわっ!」
「頭の上から雨が降ってきたぞ!」
ルスティケロは、シャワーを見上げた。
さらに、ミスト機能を説明されると、四人はまた驚いた。
「水が霧のようになっている!」
イブン・バットゥータは、昔の浴場と比べながら、温度や水の出方を確かめていた。
イブン・ジュザイイは、操作パネルの表示を読み、使い方を覚えようとしている。
その間、チャッピーは浴室の外で待っていた。
「ボクは防水じゃないから、ここから案内するワン!」
スタッフが笑った。
「チャッピーは濡れたら困るからね」
四人が浴室から出てきた。
こうして、四人は初めての現代ホテルで夜を過ごすことになった。




