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天使が揺らぎを感じ取った時、サーカスの幕が上がり、観客の声が耳から脳へと伝達された。
放たれすぎて辺りすら白くする華々しい灯りたち。もう当に慣れたと思っていた光が、今日はやけに眩しく感じた。
「……あの日、私は、地上に降り♪」
天使の歌声がテント内に響くと、沸いていた観客たちがサッと静まり返った。
純白の長い髪の毛からちらりと見せる琥珀色の瞳が、天使の魅力を掻き立てるようで誰もが息をのむ。
「すべて、消える、魔法ごと♪ そうよ、私が……♪」
そこまで歌い終えると、ふっと灯りが天使に集まり、そこ以外は漆黒となる。
あまりの間に観客たちのざわめきがぶり返す。「演出か?」「事故か?」などと言う言葉たちもこだまして、その声はだんだんと大きくなる。
天使はそんなこと慣れたものだった。
ただ今日はやけに空気が揺らぐようで、もしかしたらこれで最後かなんて幻想を抱けるほどだった。
邪念を振り払い、静かに呼吸を整えると、ぐおんっと空気を切り裂いた。そして天使は自身の背中に携えた片翼のみを拡げ歌を続ける。
「……天使、だから♪」




