お茶会
ごく身内だけのお茶会だ。
その参加者はルーレシア様と自分の他に、ルーレシア様の父でパイシーズ侯爵家の当主の妻、その側近である2つの伯爵家の妻とその孫、政務官や身の回りの管理する執事、侍女を輩出するいくつかの子爵家、騎士を輩出する男爵家から数人。の十数人のお茶会だった。
目的は、練習の他に将来のお友達や配下との顔合わせ。
今回は令嬢としてお茶会に参加する。
しかし、所詮は主人を引き立てる取り巻きに過ぎない。
深い青のドレスを纏うルーレシア様。に淡いピンクのヤウ。
ちなみに、忘れて居るかも知れないが、ヤウは見えないステータスの理由に魔道具をしているので首元は上手に隠したドレス。
そうしてお茶会は始まったが、
「ねえ。ヤウ、このお菓子美味しいわ?」
「はい。良かったですね。ルーレシア様」
「ねえ。ヤウ、あの飾りが綺麗ね」
「はい。奥様がモンド王国から取り寄せられた物で、最も大きな石はラピスラズリ、ルーレシア様の色です」
「そうなのね。ねえ、ヤウ。あの花瓶は耐久回復効果で花が枯れないんですって」
「はい。更に、耐久が0になる前なら摘みたてのような瑞々しさにまで回復するようです」
「……ルーレシアちゃん?他の子ともお話ししましょう?お母さまもヤウちゃんと話したいのだけど」
「……お母さま」
微妙な雰囲気のお茶会。ルーレシア様が何故か自分にばかり話し掛けていた。ああ。練習で良かった。いや、良くないけど。
それから、ルーレシア様の母、奥様がヤウを引き付ける間にルーレシア様は他の子と無事交流した。元々、コミュニケーション能力は高く、人の機微に聡いのですぐに仲良くなったようだ。
「まあ。本当に綺麗ねえ」
「ルーレシア様が羨ましいわぁ」
「ヤウもまだまだ学ぶ事が多いけれども、たまには先輩ではなく母と呼んで欲しいわ」
「ありがとうございます」
「そうね。いつもルーレシアをありがとう。ヤウちゃん。今日は身内しか居ないのだからもっと気安くしてくれていいのよ。貴族だからっていつも気を張って居るのは疲れるもの」
「はい。奥様」
「まだ堅いわね。私の事はルーマと呼ぶ事を許すわ」
「いえ。もったいない事です。奥様」
「私が良いと言ったのよ。あ」
「お母さま。私のヤウを困らせないで下さいませんか」
「あら。ルーレシアは新しいお友達と話して来なさいな」
「はい。お友達にヤウを紹介しますわ。ヤウ」
「はい」
「待ちなさい、ルーレシア」
それから、結局ルーレシア様と奥様はヤウを取り合いながらもお茶会は進んだ。
「先生。昨日のお茶会に意味は有ったのでしょうか」
延々と人形の取り合いをする子供の様だったが。
「……一応、他の子との顔合わせは出来ましたし、忙しくてめったに会えないお嬢様と奥様の交流も出来ました。大変……有意義だったのでは……」
「そうですか。では、私ばかりが気に入られる事による弊害、私自身の今後の扱いはどうなると思いますか?勿論、自身の立場は理解しています」
ただのお人形だ。だが、ルーレシア様の配下と仲違いするのは情報収集の観点等からあまり良くはない。
「そうですね。賢い者はあなたからお嬢様に取り入ろうとするでしょう。愚かな者はあなたを排除するでしょう。そして、元孤児で、侯爵家の人のお気に入りであるあなたの立場は固いが脆い。あなたは頭が良いですから、分かりますね」
「……はい」
立場を上手に使えと。だが、元が元だけに失敗すればどうしようもない。
「それから、勘違いしてはいけませんよ。侯爵家はただの綺麗なだけの人形をいつまでも側に置くような存在ではありません。あなた自身の価値を良く見極め利用しなさい。あなたは自己評価が少々低いようですから」
「はい」
自分の価値が高い事位分かっている。でも、価値など所詮決め方は人それぞれだろう。自分は自分の価値が高いと思っているが、他人が自分をどう思うかなどそれぞれでしかない。
自分は綺麗に見えるだろう。
自分は優秀に見えるだろう。
自分は努力家に見えるだろう。
実際、自分のLvは高く、努力しているつもりだ。だが、容姿や成績、努力に価値を見出ださない人は多いだろう。
ではそれ以外で自分の価値はどんな物が有ると言うのか。




