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瀕死のポートと実は腕とか折れてたセクを薬で治す。ついでにHP、MP回復薬を6本ずつ持たせる。
「さあ。帰れ」
「え?」
「あの。これ、薬っていくらですか?」
主に自分たちが称号持ちだと言っても何の反応も示さず。
もしかしたら主は、名付きの人化した魔物で住んでいるのかもしれないとアック達は思い、あえて素性は聞かない事にした。
しかし、ポートがまだ目を覚まさないし、やっと人心地つけるとあって何とか滞在時間を稼ごうとしている。
「ああ。自作だ。だからさっさと帰れ。気付け薬は、」
「あああ、あの。えっと。雑談、そう。お話しましょう?」
まださっきまでのポートが死ぬという恐怖みたいのが残っているのか安全地帯を出たくない様子。
「空き巣のお前達と?」
「さっきは、」
「さっきは助かった!すまん!薬の対価は払う。それから、頼む一晩泊まらせてくれ」
さすが状況の分かるアック。機嫌の悪そうな主に言い訳では無く、言葉は乱暴だが感謝と謝罪と要求を告げる。
「……」
さすがに、感謝された後に帰れとは言いにくいのか話を聞く姿勢をとる主。と、大人しくなる冒険者達。なんとなくアックに任せる流れがスムーズである。
「……俺らは、……いや。治ったとはいえ大怪我を負い一人は死にかけた。精神的な疲労も有る。今から帰ると今度こそ途中で死ぬ。だから、頼む!一晩で良い。休ませてくれ!」
持たせた回復薬が有れば即死以外で丸1日は持つのだが、性能を知らない冒険者と一人過ぎて冒険者の強さが上手く測れない主。
「「お願いします」」
ここぞとばかりに頼み込む他の面々。
アックは思っていた。
(家の中は普通の人が住んでいるようだ。家の主も見た目は完璧な人に見える。これなら町に住んでもバレないだろうし、元々魔物でも冒険者としても稼げるはずだ。なのにわざわざこんな所で。それに、俺らを追い出そうとした。つまり、家の主は人と関わるのは嫌なはず。それでも!わざわざ軽傷の俺まで薬で治してくれたその優しさにつけこんででも!頼み込む。じゃないとパーティーは全滅……!)
「(まあ、せっかく助けたのだから)仕方ない。ただし、入り口からすぐの部屋以外には入るな。(高々200歳なら冒険者でもそんなものか)」
部屋は玄関からすぐのリビング。ここで食事するのでキッチンもあり、テーブルとイスが置いてある。
「!ありがとう」
「助かる」
口々に感謝を述べる冒険者達。主はすぐ外へ歩きだした。
「どこへ?」
「外。裏口が有る。キッチンは自由に使って良い」
しばらくして、リビング、キッチンから家の中に通じる戸の鍵が閉まった。実は、昔罠作りにはまった主が練習に全ての戸に鍵を付けた事が有った。
「……」
「人が嫌いなのか好きなのか」
「おそらく名付きの魔物でしょうけど、ここまで人らしい生活をして居るのに……」
「私達に良くしてくださいましたし」
「だが、鍵をかけて拒絶か。全く信用はされてねえなあ。明らかにこんなところに住む向こうの方が強いのにな」
いや、元魔物とは言えプライベートは有るだろうが。とはアックは言わなかった。
「……う。ううん……。ん?」
「あ!ポート」
「何が?知らない部屋……?無事に戻れたのか?」
「いえ。まだ調査地点の森です。今日はここに住んでいる方に泊めていただきました」
そしてリカが説明を。
「そうか」
「……すまん。きちんと足止め出来ていれば」
「いや。セクのせいじゃない。見積りが甘かった」
「そうね。私達の実力不足だったのよ。この幸運を喜びましょう」
それから、主がどの名付きか予想し始める。
「あれじゃねえか?ドッペルの。数十年前町に溶け込んでいたのを確認されただろ?」
「いや。あれは男の姿だったはずよ」
「ドッペルだから姿を変えたとか」
「なるほど。でも、それなら回復薬じゃなくて魔法の方を使わないかしら。確か、あのドッペルは魔法のスペシャリストってきくわ」
「なら、'天邪鬼'!」
「あれって実在するのか?絵本じゃねえか」
「ああ。孤児院で読んだなあ。騎士を目指させて良い人材発掘用の貴族から贈られたらしいやつ。実際正々堂々やら騎士道やら流行ったな」
「ええ?知らないわ」
「男向けだしな。ん~。人化してるから元の形は関係無いよな。むしろ人に憧れてとかで、全然人っぽく無いのとか」
「やっぱ、薬だよなあ。あんな高Lvの薬、多分自分で作ったんじゃないと揃えられないって」
「薬作りねえ。植物系とか?」
「ああ。ニンジン」
「マンドラゴラですね」
「ぶっ。言うなって!だってマンドラゴラってニンジンと似ているだろ?」
「あのなあ、いくら似ているからってサイズと強さが違うだろうが。しかも、マンドラゴラは根、ニンジンは槍だろうが!」
この世界のニンジンは人の型の植物に付いている槍のような部位。ちなみに、ゴボウ、ジャガイモバージョンも有る。
「でも、元がマンドラゴラなら確かに薬草類の扱いは上手いよなあ」
「いやいや。確認されたマンドラゴラ種の名付きは確か人化しない主義だ」
「じゃあ、~」
~
「~その名付きの記録では1000歳だっけ?もう老衰してるって!」
「……!」
ニコニコと会話に混ざっていたポートが突然何かに気付き、身体を強張らせる。
「ポート、どうした?」
「いや。ちょっと思い出した事が」
「何よ」
「魔物って言うかさ。主って、創造の魔女じゃないか?」
「……」
「そう言えば、そんな噂が有ったな」
「酒場で話半分に聞いていたのでしょ?確か、」
「……壁の外の一軒家に一人」
「……迷った称号持ち冒険者のパーティーだけが辿り着く」
「……怪我人には薬」
「……空腹ならば料理」
「……戦えなければ武器防具」
「……困っていれば魔道具」
思い出しながら一言ずつ声に出す。
「「〈解析〉不能の超高Lvの生産品の作者は'キリ'」」
「「理を棄てた魔女。不老不死の"棄理"」」
ハモった。
「……薬、解析出来た?」
「無理」
「ていうか、解析不能の癖に作者は分かるのかよ」
「あんた知らないの?その、洗脳で真実だと思い込ませて無理矢理〈解析〉する方法は有るのよ」
「〈解析〉や〈鑑定〉はレベル足りなくても事実を知っていれば知っている部分は視れるからね」
「……おい。誰か〈鑑定〉してみろ」
主はご丁寧に6本ずつHP、MP回復薬を置いていった。
「たぶん、皆さん信じているので作者の所、キリって書いて有るか、視えないか、のはずです」
「……せーの。……でいくか」
「おおい!視ちまったじゃねえか!」
「アック、何て?」
5人がアックに注目する。
「……!知らねえ!勝手に視ろ!」
「「!」」
セクとポートが視たようだ。
「セク、ポート、何てあった?」
「フェン。止めなさい」
「反応でわかりますよね……」
「~!」
斧アック
剣フェン
魔法マーシャ
回復リカ
索敵セク
支援ポート
家
家の中央、つまり結界の魔道具が置いてあり一応鍵がかかっている。
3×3のマスを思い浮かべ中央の部屋の周りに下3つがリビング、キッチン、右が薬倉庫、左が武器防具倉庫、右上が寝室、左上と上が解体場兼生産部屋。
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┃ 解体場、生産部屋 ┃寝室┃
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┃武器防具┃結界魔道具┃薬 ┃
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┃ リビング、キッチン ┃
━━━━━━玄関━━━━━━━
一応。理。
一応。
街に行かなくなって数百年。
人は開拓を続けるので今回のように冒険者と家付近で遭遇するたびに場所を移動。
大体、ランク4がうじゃうじゃ居る所に住むのでたまたま迷い込んだ強い称号持ちしか遭遇出来ない。
迷い込んだのも困っている事が多いので何だかんだお節介を焼くキリ。そこから伝説に。
若干、自分の伝説を聞いてニヤニヤしているかもしれない。
とりあえず。きりの良いところで。
これから修正作業へ。
元々趣味で始め、作者は器用では無いので設定、主人公は変えずに続きは書く予定。
最終に。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
一応。修正は話の流れは変え無いが、最初の方は設定ごと変わる可能性が有ります。
改訂版として、新しく始めた方が良いのかな?




