66代親
「こんな時間にこんな場所に呼び出す何てよお」
「ここは路地裏にしては衛兵がよく通るようだからこれから会う相手を考えれば妥当じゃない?」
「代わりに俺が連行されかけたけどな。アーディは俺の妻だ!」
「ふふふ」
来た。
手紙には会って欲しい子供が居る。と時間と場所を書いた。他人には言うなと。
相手が子供となればまあ、情に流されるだろうなと予測。実際ギルドにも行かず、宿を出てからは真っ直ぐ来たようだ。
声をかけてみる。
女の子らしい庇護欲そそる口調って何だろう?
「ねえ」
「「!」」
「えっと?」
「本当に居た」
「ええ。赤髪赤目の女の子」
「来てくれたの」
「あ。ああ。君は奴とどういう関係だ?」
「そこらのおじさんに呼び出してってお願いしたの。あなた達をみかけてワタシが勝手に期待したから」
「そこらのおじさん……」
「あなたは私達に何を期待したの?」
「ワタシの親の振りをしてほしいの」
「親?」
「本当の親は居なくて、私に学校に行ってほしいみたいだったの」
地球の頃ね。良く言われた。良い大学行けって。
何か、嘘では無い言い回しが癖に。
「居ない……」
「……だが、」
「学校行く遺産?お金は十分有るの。ただ、ワタシが子供だから、このお金は重たい」
当然インベントリが有る以上重たくは無いが。
「……金は有るが、子供だけで金を持っていると知られたくはないか」
「普通は親が居るものね。ここまで来てそれを考えられるって、さぞや自慢の女の子でしょうに」
よし。同情気味。学園に通うお金はそこそこ大金だ。ここでお金に目が眩めばうっかり殺しちゃったかもしれないけど。
よかったヨカッタ。
「……」みつめる
「う。ま、まあ。親の振りな。それくらいは良いぞ」
「……振りじゃなくて養子にしましょうか?」
「「え?」」
「振りってさみしいじゃない。本当の親だと思っていいのよ?」
「そ、そうだな。ルディ、息子も兄妹が出来て喜ぶ」
……それは面倒?……いや。とりあえずそれで良いか。どちらもそんなに変わらないなら親役の心象は良くしておきたい。
否定するより良いはず。
「いいの?」
「良いのよ。さあ帰りましょう?……お名前は?」
「……サニー」
「サニーちゃん私はアーディよ、夫のルベルト。息子は6歳でルディって言うの」
「サニーはいくつだ?」
「……6歳」
「……小さいな」
うそ。6歳ってこれくらいじゃ無かったっけ?
「(ガンッ)大丈夫よほら6歳何ヵ月で差は大きいから。これから成長するわ。誕生日はいつ?」
ルベルトさん。大丈夫だろうか?HP結構削れてないか?
「誕生日……」いつだっけ?
多分ステータスに有る年齢を毎日見れば分かるけど。200歳超えて誕生日何て数えないって。まあ、200歳超えて6歳児の振りをするんだけど。
「……」
アーディが可哀想なものを見る目をしているが、誕生日にわざわざ数えるのは裕福な家の子供だけだぞ?大体は年始にまとめて1年の無事を祝ったりする。知らないのか?
「アーディ、あのな……ゴニョゴニョ」
「まあ……」
もしかして、アーディの親も金持ちか?余程の箱入りか一般家庭と縁の無い貴族か。
「ごめんなさいね、じゃあ今日が誕生日のお祝いの日にしましょう。家の子になったお祝い」
うへえ。
「いらない」しまっ……
「え」
「着いたぞ。じゃあ俺は宿の人に増えたこと伝えて来るから先行ってろ」
失敗した。とっさに本音が出た。そもそも誕生日何て地球でも祝った覚えは無い。
これ、〈記憶〉でも思い出せないって本当に覚えていないぞ。
年齢変わるタイミング的に冬……。あ。1月1日だ。召喚時で0歳。
そうか、思い出そうとしたのは地球の頃の誕生日か。
と言うか、何処かで視線切って【キャラクター】の設定し直さないと。キャラクターの性格……。
サニーはどんな女の子?あざとい程に素直な性格?いや、素直だと周囲に受けやすいかもしれないが素直に自分の情報渡してしまってもまずい。
サニーは……
両親がサニーを鍛冶師にと望んだ。鍛冶師に成りたい。
もっと小さい頃から勉強してた。頭は回る。
両親は死んだ。無表情無口。
これは、可愛くない子供だ。
拾われた(親役)から。人には親切に。
うん。これでいこう。自分にはこれ以上は無理。
無口ならうっかりも減るかな。
宿に着いてからは、夜なこともあって早々に寝かされた。
全員一つの部屋で寝るので眠れもしないし動けない。6歳設定で仕方ないが本当時間の無駄。
夜中。
しっかり寝入っているのを確認して一応〈隠密〉で気配をゆっくり消していく、
「……ん?」
ピタッ。
「サニー?」
スッと気配を戻して寝た振り。自分の〈演技〉は高い、大丈夫、大丈夫。
「……寝てるか」
「……」
「……ぐぅ」
……さすが高Lvの冒険者か、なめてた。アーディはLv97の、〈魔力操作43〉〈風属性51〉〈空間属性11〉持ちの完全な魔法使い。今飛び起きた問題のルベルトはLv92の、〈体術43〉〈短剣38〉〈速度35〉の短剣使いで、〈気配感知17〉だから自分の〈隠密58〉は感知出来ないはず……だと思っていた。
実際は今日は特に出会ったばかりのサニーを警戒していたのだろう。しかし、新しい気配が現れたならともかく、ゆっくりと消える気配に違和感を持って起きるとか。感知出来ない方に違和感を持つのは難しい。
自分は……消える気配には気付ける。でも多分寝ている時に飛び起きる何て芸当警戒していても無理だ。寝なくても大丈夫だから危険な場所で寝る何て事はしない。
安全ばかりとってきたからいざというときの経験の不足。
それでも……わざわざ訓練するかと言えばそんな無防備な事はしたくない。何があっても大丈夫なようにもっと強くならないと。
とりあえず今動かないで出来る事って有るかな。
感知系鍛えよう。常時発動はしているが、意識してMP消費してもっと正確に気配や魔力、音、視線を把握する。これこそ〈隠密〉を駆使してスキルの気配みたいなものを隠すから初めから気づかれないように。
これだけしっかり使うとMPもジリジリ減ってくる。HPも使って朝まで維持。レベルが低めの〈音感知〉は1つレベルが上がった。MP減るからここまで長時間意識して使ってこなかったが、夜寝た振り中にちょうど良い。
朝はルベルト達が起きそうな気配に先んじて身体を起こす。




