52墨染の名
「おはよう。ライさんですね?少しお話ししましょう」
いきなりそんな事言われた。
「誰……」
おぉ。美人と美丈夫と美少女。真っ黒な指輪を身に付けて居る。
「……墨染か」
ああ、勧誘ってやつ。噂で聞いてから3日経ったから忘れそうだった。どうして3日前には噂が……わざとか。牽制やら。
「おや。ご存知でしたか。では、こちらへ」
代表して美人が話す。
「どうして、付いていく必要が?」
「……申し遅れました、私は墨染の"隷佳"です。墨染への勧誘にここでは何です、ギルドの個室を借りましたので移動しましょう」
称号を名乗られると、要するに喧嘩売る気?っていう脅し。それはそれで面白そうだが、どうしよう。
「……分かった」
まあ。向こうは3人だし。それに、隷、は確か調教師をさす。面倒かな。
「……ふん」
美少女が無駄な時間とらせてみたいに鼻をならす。
「単刀直入に、ライさん墨染の名に入りませんか」
「入らない」
「何故?山吹じゃなくて墨染よ?名誉なことじゃない!」
美少女が騒ぐのを美丈夫が宥める。
「……おい。"火華"落ち着け」
「ごほんっ。失礼しました。墨染は黒以上の精鋭、何故断るのでしょう」
「ソロでやる」
「墨染に入ろうがソロで構いません。たまに有るグランドファーザーからの指示に従う事以外は自由にして構いません」
雑用、運営資金は指示、つまりファミリーへの依頼と山吹から賄われるらしい。
「あなたはただ所属するだけ。破格の待遇では?」
「その、たまに有る依頼って言うのは?」
「もちろん、ファミリーに依頼された物で適任だと思う者に頼みます。依頼にかかるお金はファミリーが出しますし、少しは給料もでます」
「それが嫌」
「……まあ。考えておいてください。(あまりしつこいのは逆効果ですね)では、また」
称号持ちに迫られると話すだけなら断れない。さすがに、ファミリー入りまで強制するのは、称号持ちは墨染だけじゃないから。反感を買いすぎる。そんなアホな事するのは称号持ちになれない。
面倒。
いや、嬉しい。それだけ評価されている証拠か。
うん。楽しいなあ。
せっかく、ギルドに来たから依頼を見てみる。
・~の素材。血、目玉、内臓、出来るだけ。大銀貨2枚~
・~の素材。肉のみ。小銀貨5枚~
……
ここらは素材関係、7割はこれ。普通に冒険者が狩って来る分では回って来ないのは、高くなるが個人で依頼する。珍しい素材の依頼も有る。
また、肉屋とかは、その日入る物を入った量売りさばくが、いつも同じ品を扱う店、ちょっと良い料理店とかが毎日依頼を上げる事もある。
・~まで護衛。道中の~は~。大銀貨2+別途~
・~まで護衛。道中自己負担。大銀貨5
……
上の2つは同じ行き先だが、1つ目の方が人気らしい、もろもろを考えれば2つ目の方がコスパは良さそうだが。期限は明後日まで募集。
・~を探して。情報、大銅貨1~
・~を生け捕りに。1体、小銀貨3~
・~を殴って。小銀貨1~
・~の調査。ギルド員付き。要相談。
……
その他、1割程。
見ているだけで、面白い。3つ目何かは報復らしい。傷害が犯罪に成らないこの世界らしい。
ん?
・白い悪魔の情報。大銀貨1枚~
おお。
「白い悪魔で定着したのか。まあ、魔物の支配者、悪魔達はダンジョンもそうだが人を弄ぶらしいし」
「……そりゃあ、止めとけ。どうせ神殿の暗部だ」
振り返って見れば、さっきの美丈夫。
「ふ~ん」
「……お前、依頼は受けないと思ったが」
「受けないよ?」
「……そうか。何にせよ神殿は恐ろしい」
「まあ、天使も悪魔も神様の遣いだと思えば、神殿だってねえ」
「……俺は"刺槍"のギーク。一応言っておく、お前に目を付けたのは"隷佳"だ」
"刺槍"はただただ槍に特化した称号持ち。強い。
ゲッ。
「オレはライだ。月って呼ばれているらしい」
「……ああ。俺はお前が墨染に入ってくれると嬉しいが」
「……」
"隷佳"はねえ。
SM女って奴だ。従える魔物は耐久に優れたものばかり。種族的にHPが少ないとか関係無く、全て盾役に成れそう。
どれだけしごいたのか。それでいて、魔物達は、その、"隷佳"を崇拝しているような……
どちらにせよ、墨染に入る気はない。
そう言えば、〈気配感知〉が50に成ってから出来るようになった気配の識別。元々20から気配の大小でどの程度のLvかは分かっていた。それが種族毎に違いが分かるようにはなった。
で、どの気配がどの魔物に当たるのかも分かるように成ったな。
……あっちの魔物が覚えの無い気配する。
うん。希少種に分類される、機系、輝機(紫水晶)。普通の輝機は水晶なのだが、核の色や輝きが違ったりするのは希少種。
核とは言うが、魔石の周囲の層の事。Lvが高いと厚くなる。
希少種見つけやすい。そして、希少種の種類が多い輝機は実は希少種でも結構見つかる。
次は……
〈隠密〉で目標以外を避けて行く。
今度は瑠璃。
別に希少種だからって強いとは限らない。むしろ脆く成って、魔法を使ってきたり。
脆くでも、機系は固いから、まともにやると剣の耐久がなあ。
そう思うと、町は便利。鍛冶師に耐久の回復を頼むか、新しいのを買えば良い。
「ライか!」
「鍛冶のおやじさん。今日もお願い」
「おう。ってまた、もうちっと大事に扱え。1日でこんなに減らす奴は居ないぞ。今日はまた1段と」
まあ、ソロで感知も出来る剣士だから、普通の奴よりは多く魔物狩るし。ギルドに納品分と別に自分用の〈調合〉〈錬金〉素材に。
「ああ。今日は北に行ってきた」
「機系か。何か良いもんでも手に入ったか?」
「今日はアメシストだな」
「おお?アメシストか。色水晶は微妙だなあ。家じゃあ扱えねえ」
「そうか。なら、おとなしくギルド行きか」
「色水晶はまあ、魔道具師に売れるぞ?探すか?」
「いや。たしか前依頼で見た気がするしギルドに」
「ああ。っ。短剣も耐久が。お前〈解体〉ギルドでやって貰えよ。いざと言うときに短剣折れたらどうすんだ」
まあ、〈解体〉以外にも使っているし。
「あはは」
「じゃあ、いつも通り。昨日の。2本を交互に使って毎日鍛冶師に手入れの依頼って贅沢だな」
食事や薬にかけない分、
「金有るし」
「俺も稼げるから良いけどよ」
「……ん」
「おう。まいどあり」
魔物は進化しやすいのと進化しにくいのが有る。
例えば、
小獣→山羊と小獣→羊では、羊の方が進化しやすい。
2対3位で。
極端な物では1%しか進化しないとかも有る。
牛も火牛、風牛、土牛、水牛とか居る。順当に行けばバイソン、光、阻害、闇、回復になるが、稀に熱、空間、向強、時に成る。
宝石の価値は地球と違う。
宝飾にも使われるが、普通に魔物から取れるので、消耗品にも使われる。




