50金
「私が試験について行くギルド員のアンネよ」
「同じく、リーデ」
「同じく、メルトだ。よろしくな」
……3人とも黒一歩手前。強くない?
「……よろしく」
「基本私達は見るだけね。じゃあ、頑張って」
「では、西門から出ます」
「西……。あ、ごめん。集中するから話しかけるなって事なら答えないで良いけど、どうして西?ランク3でもLv高いの入り交じっているけど」
「北の機系、南の鱗系は防御が高く、東は鳥系で空、西の方は獣系で速度の勝負はオレが得意。そしてランク3居る所まで距離が近い」
「ふむ。成る程な」
やっぱり、昨日もそんな事言っていたが魔物を選ぶ所も採点対象か。と言うより判断能力をギルドに計られている。
ギルドで、さすがにこの都市だけで何千と居る冒険者の個々の性格までは管理しきれないが、方向性で分類程度はされているらしい。
「ライ……さん?あなた近いと言うのが一番の理由じゃないでしょうね」
「近いと言うのも大事だろ?今回はランク3と言う目標が有る。それまでに距離が近ければ、目標以外の魔物との戦闘も減り体力等の温存になる」
「……予想外に真面目な答え」
「おお。確かにそうだな。リーデ」
「……ふ。遠くまで歩くのだるいと言う理由もある」
一番の理由だな。
「~。ライさん。もー」
「色々考えているんですねえ」
「ライさん、笑えるのだな」
「メルトさんはオレをどんな風に見ているんだ?」
「確かに、ライさんは話し方もぶっきらぼうだし、硬いし、無表情だから。赤い髪は炎のようなのに全く暖かみの無い金の目」
「受付からの報告でもイケメンでも、あの目は無いって書かれてましたね。誰だって優しくされたり愛されたいですし」
「うむ。意外とユーモアは有るようだ」
「……」
それは困る。印象が悪いのは問題だ。何か有った時に脆い。
「あ。大丈夫ですよ。アンネが言ったのは恋バナの方。冒険者としては冷静だし、ソロでもやっていけそうな優秀な人で噂に」
「うむ。女性の冒険者の方はソロなのは気になるが、ふわふわした男より好感が持てると」
「メルトさん、どうしてそんな事知っているんですか。それと、ライさん。黙ったりしないでください。すみませんって」
「……いや、目が冷たいのはどうやったら変えられるのかと」
「ライさん。目には己の感情が最も出る所だと俺は思う。過去に何か辛い事でも?心を閉ざしているように俺には、」
「門です。ここからは外。私達は口出ししないので、十分警戒してください」
「……ああ」
今さら、ランク1や2に手間取ったりはしない。
「見つけた。あれを殺る」
とっくに感知はしていたけど、今目視で見つけたのはランク3、通称牛。ちょうど良く他の魔物は離れている。
開拓村リゲルが近い。よく行く酒場のチーズはリゲルからの乳だ。
牛は角と蹴り、体当たりに気を付けて、ここの牛はさらに火を使う。角と尾の先、蹄に灯る。
普通にぎりぎりでかわすと普通『火傷』する。燃えては居ないが毛も熱を持って熱い。〈水属性〉少し使う位なら問題ない。剣を含め全身に魔力を纏って〈水属性〉。これで『火傷』と剣の耐久の減りを減らせる。
「……ゃあ!」
「ン"ヴォオオオオオ」
「……ふっ!」
多少は1年で上達したか。〈長剣〉。やっぱり、自分より上のスキルレベルの人に教わると上がりやすい。自分の中であのパーティーに居て剣士が一番役に立った。
「ォォォォォ……」
「ふぅ」
「……」
「オッケーです。凄いですねえ、速度で上回って完封ですか。〈水属性〉使えたんですね」
「〈魔力操作〉も高いな。水を纏う姿は見事だった」
「じゃあ、帰ろう。試験は一応町に着くまでって事になってるから」
町に着いた。
「ライさん。明日の正午位にギルドの5階へ来てください」
「ちゃんと合格だから、朝じゃなく、空いてる時間帯にね」
「今日は休むと良い」
「分かった。それでは」
「ライさんは、今日から金となります。6階受付にて詳細は聞いてください」
「ライさん、ようこそ。6階では、酒場、第四資料室が有ります。~。聞きたい説明はございますか」
黒になるのに、スキルレベル30以上が3つ必要だ。すでに3つ有るが、剣士としては大体〈長剣〉、〈HP回復〉、上昇系自分は〈速度〉の3つを上げる。
〈速度〉は24になったが、〈HP回復〉は20にもなっていない。HPあまり減らないから。別に実は〈魔力操作〉を上げてました。魔剣士です。と言えば、〈HP回復〉じゃなく〈魔力操作〉が30を超えたと言えば良いが。
魔力を纏うとダメージが減ったり、特に属性攻撃、『火傷』とかを防げるので、魔剣士の人もいる。
「大丈夫」
「今回は試験は無し、ですか」
「あはは」
「すみません。連続で上がって来ていると聞いていましたので。期待しています。ライさん」
「……」
何でもいいが、随分噂になっている。
元々、称号持ち。つまり有名になってみようとここまで来た。良い意味での噂ならとても気分が良い。期待しているとはそういう事だろう。
「~♪」
「よう!ご機嫌じゃねえか、クモ。久しぶりだな!」
夜、酒場に来ている。
「ああ。ちょっとな」
「ふ~ん?お前が機嫌良さそうなのは珍しいが、それより聞いたか!」
「なんだ?」
「あの、この都市一のファミリー墨染がとうとう月を落とすってよ」
正式名、墨染の名、はそのまま都市で一番のファミリー、本来は少数精鋭で黒4人、黒約50人の冒険者のみで構成。さらに、称号持ち職人や商人と契約を結び、冒険者付きまではいかないが優先して物資が手に入るそう。
しかも、一番と呼ばれるだけの、下部組織と言うか、傘下のようなものがある。山吹の礎と呼ばれ数百人は居る。
山吹の中から優秀な者が墨染に移るらしく、直接墨染に勧誘されるのはほとんどない。
「落とすって、と言うか月って?」
「そこからかよ!」
「しばらくここにこれてないからな」
「お前が何をしている奴かは聞かないが。月って言うのはな半月程前に青になってから一気に金に上がった奴が居るんだよ。赤い髪に金目の、その印象的な金の目と常に一人な様子から通称月だ」
そんな通り名が。
「ああ。そいつか。それは知って居る。一気に上がるのは珍しいがあの墨染が動く程か?山吹に入れてからでも良いだろうに」
「確かに、どこぞのお坊っちゃんやらはLv上げてから登録して、白の後は一気に上がるけどな、月は正体不明なんだよ。噂では神殿騎士の隠し子だってのが有力だが」
チッ。天満月の奴ら適当な噂流しやがって。
「正体不明ってそんな怪しい奴、」
「怪しいが、実力は確かだ。しかも冒険者としての、受付の評価も良い。称号持ちでもさっと視た程度じゃステータスは分からなかったって。そんなこれから伸びるのが確定してんだ。月も金になった。墨染が本格的に動くのはおかしくない」
「……?いや、何故?墨染は黒以上だろ?」
「ステータス視えねえんだぞ!スキルレベル30超えたのが5つ有っても俺ぁ驚かないな」
「ああ……」
確かに。そこまで勢い良く上がって来たらそのままレベル足りれば黒に上がるか。
「どうした?」
「いや。マスター!ビール2杯とつまみ盛り合わせ1つ!」
「お。サンキュー、クモ。……で、お前は何良いこと有ったんだよ」
「ああ。金を拾ったんだよ」
「拾った?」
「まあ、良いじゃないか。儲け話さ、とびっきり危険な」
実際金に成れば更に危険な依頼も有る。
「……俺はきかねえ。……そ、そうだ、クモ最近ここに来なかったんだよな。あれも知らねえだろ、~」
うん。酒場は本当に良い情報収集場所だ。
深夜。
「じゃあな」
「うおぉぉぉ」
「吐くなよ!」
ささっと隠れて、まあ、クモも有る意味使い捨てだから。
仮面を被る。目の部分のみ空いている、真っ白な仮面。格好いい。あれだ、中二病的な。200歳過ぎても女でも、今の自分は自己顕示欲が有り余っているから、しょうがない。
この世界が食うに困らなくても、魔物が居ても、犯罪者は居る。悪い奴なら、殺しても誰も文句は言わないよ?居なくなって喜ばれる。
「?」無言で小首を傾げてみる。
「し、白い悪魔」
オッケーとか、日本人に通じるならこの世界でも通じる。語源?気にするのは学者位。




