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「待て!……索敵、新人!」
「う、ん!」
鳥系ランク4の風視鳥。
ここらはまだ、ランク3のしか出ないが、風視鳥はその名の通り、遠くから自分達をみつけ、風を操り、高い速度で強襲して来た鳥だ。
普段は安全をとり、ランク3程度を安定して狩るが向こうから来たので仕方がない。
本当に速度が高いので、盾が上手く機能せず後衛組も迂闊に動けない。だから、2人で何とか翼を傷つける。
「はっはっは!飛べなければこっちの物だ!うお!」
「何やってんのバカ!風使って来るって分かるでしょう!」
「……油断するな!」
「ランク4が来たから、この辺りのランク3は逃げた」
「じゃあ、もう帰る?あっちも終わったし」
「……よし!この鳥め!……」
「そうだな」
別に安定しているのは良いことだと思うけど、ランク4だって言うのに緊張感と言うか。不測の事態って言うのが起こったらこのパーティーじゃあ、すぐ壊滅しそう。
今回ので、渋い顔をしているのは、盾、回復、索敵。それも、渋い顔はしているけど何も言わない。俺達が気を付けているから良いかとでも思っているのか。
チッ。だから、盾と回復、索敵以外は銀なんだよ。
盾と回復は黒、索敵は金。
鳥は自分が居なくても何とかなっただろう。但し、今回に限って言えば、最初の攻撃が防げなかったら位置的に火が殺られていたな。バフが無くなって一番困るのは盾だろうに。
こんなパーティー早く抜けたい。どうしてこれが教育係に?
ライはどうして対策しないのかとか考えているが、普通そこまで緊張感は維持出来ない。冒険者は魔物と戦う以上いつでも死ぬ準備は出来ている。実際結構死んでいる。だから、ランクの高い魔物と偶然出会っても運が悪かった、で済んでしまう。
対策としてランク高いのと戦闘して技術を身に付けると言えば、どうして危険を回避するのにさらに危険な事をするのか、という事になる。
死ぬのが嫌だからって、ライみたいにレベル上げに魔物と戦闘に明け暮れるとか逆に危険だろうが。って話。
まあ、称号持ちはそんな頭おかしいのばっかりだが。
閑話休題
「俺達は買い出し行って来る」
「じゃあ私と回復のと新人君で、ファミリーの薬師に依頼しておくね」
「ああ。今回は予想外の事があって消耗したからな。明日は休みだ」
「はーい」
「さて、新人君。行こう」
「うん」
「私を忘れないでください」
「忘れて無いよ」
「もう。薬部屋は覚えました?新人君」
「うん。2階階段のすぐ左。2階は生産部屋と会議室が集まって居る」
「そうそう。回復はこう見えて方向音痴だから、ファミリーに入ったばかりの頃いつも違う部屋に入るんだ。だから、薬の管理含めた回復役の癖に関係ない私も薬の管理の手伝いするはめに」
「?一人が一手に回復するより別の人が薬は管理する方がいざというとき安全では?」
「もちろん、私が動けない事態は有るので薬は全員が持ちます」
「ただの数量管理だな。だが、新人君。もし回復役が死んだら普通のパーティーはまず全滅だ。運良くその場で助かっても町に帰るまでにはHPは尽きる。だから、一番薬を持つのは死なせてはいけない回復役になる」
「回復役を2人にすれば?」
「2人になったら2人守らなければならないだろ。それに、回復量は間に合って居る」
「〈回復属性〉は〈水属性〉を20まで上げて得られるもので、他のスキルはこれまで上げていません。こう言っては何ですが、新人君の剣士と同レベルの水属性魔法使いでやっと回復役としての始まりなんです」
「……」
そう言えば、そうだな。
〈長剣〉は21。〈水属性〉を20までか。
勿論技術は有っても、身体能力が違う魔物相手に力負けしたりしないよう〈筋力〉や〈持久力〉とかも上げるからその剣士と魔法使いはLvも違うだろうけど。
比較的、MPを無駄遣い出来る職人も20まで上げるのに10年。最初は水属性魔法使いとして冒険者するなら訓練なんかにMPは使えないだろう。外でMP切れはシャレにならない。
「一時は回復は薬で良いだろうと言い切った冒険者が多かったらしいが、やはり高Lvに成るほど薬は高いし、戦闘中の回復にも向かない。飲まないといけないからな」
「それの時は、後が大変だったらしいです。先ほども言いましたが、回復役になるのも時間がかかるので、必要だと分かってから人数が足りなくて」
「へえ」
「着いたぞ」
「やっぱり新人君は薬部屋は苦手ですか」
「独特な臭いはするけどねえ」
「……」
昔薬師だった経験が有るから、むしろ興味津々なのだが、こう。自分の薬の方が効果高いのに!って思ってしまう。
「ああ。好きに持って行きな!」
ファミリー内なので信用されているのかこちらも見ないで言う薬師達。薬は棚のインベントリバッグに入っていて、金額表を見て欲しい分とってお金を置いていく。
「部位欠損のLv30以上を追加で。今日はランク4の風視鳥が手に入ったのだけど」
「ランク4か、血だけ置いていけ。薬と代金は品を見て後で持っていく。今は、薬都の新薬の実物の解析とレシピの実験で忙しい」
「グランドマザーが"効薬"のを手に入れてくれたんだ!」
「今度こそ回復魔法使いはお役目ごめんだ!」
「変わりに〈回復属性〉は薬師の必須属性になるな」
3人居る冒険者付き薬師が口々に答える。
……弟子のか……
「ふん!本職の〈回復属性〉をきっちり上げてきたのに薬師が勝てるわけないでしょ!」
まあ、タイミングと回復時間の融通がきかないだけで総回復量は薬の方が勝るけど。
冒険者は危険も有るから最初が辛い。けど、一生自分に合った魔物と戦えるのでLvの成長は自分次第で続く。
職人はとりあえず何か作って売れば生活出来るので最初の方は努力次第。しかし、後々高Lv素材はなかなか手に入らないのでそこで成長は止まる。
商人、貴族は教養、〈話術〉〈契約〉、鑑定系。
特に鑑定系は高Lvな人や物を見れば上がるので、運とか出会いとかを大事にしよう。
この後、冒険者ギルドに魔物の残りを売る。
冒険者ギルドは依頼も有るけど、魔物を売るのが一般的。




