その9
「六百二十八名です」
主婦に人気と言われていた司会者に、こんな戦争はやめるべきではないかと問われた時、彼女はその数字を発した。
彼女と一緒にスタジオで出演していた、コメンテーターや評論家たちは、誰もその数字の意味を理解していなかった。
「ご存じないんですね?」
夫を失った事実に悲しみ嘆く女性をアップで映そうとしたのか、大写しとなっていた彼女はそれまでの大人しそうな印象からがらりと変わり、不敵な笑みさえ浮かべてそう言った。
「緑の軍隊、そして連邦国防軍は、私達遺族にとても誠実に対応して下さりました。戦闘がどんなふうに起きて、どんな原因で何が起きたのか、一般説明会まで開いて詳細に教えて下さりました。その後、個人的に弓削がどういう風に亡くなり、その後どんな仕打ちをされたのか、どうしてそんなことになったのか、事細かに教えて下さりました。自分達に不利になるようなことまで洗いざらいです。そのうえで、同じことが起きないようにどうしたらいいのか、研究中の案についてもたくさん教えてくれました。細かいことは機密に抵触するらしいので、お答えできませんが、六百二十八名という数字についても、公式発表しているはずです」
「……それは……?」
ただのタレントに過ぎない司会者には、その情報は無かった。
「あなた方は不誠実です」
理沙はばっさりと切り捨てた。
「六百二十八名の捕虜を捕まえたという報道も、一部ではあったというのに、あなた方は殺戮とか、泥沼とか、侵略とかそういう言葉の方がお好きなようで、捕虜なんてどうでもいいのでしょう。ですが、緑の軍隊は今までに戦った相手の八割以上を捕虜として拘束しています。しかも、戦時下と思えないほどの好待遇であると国連の人権高等弁務官も認めているほどです。それが国際的に見ると、異常なことだとご存知ですか?」
共演者たちは、彼女の言葉に戸惑うばかりだった。アメリカ軍が様々な戦場で正当性の無い残虐行為をしていたことは、有名な話だ。捕虜に対する虐待も多かった。
「ということは、今の緑の軍隊の五パーセントの兵士が元捕虜だということも知りませんね。そして、バイドアで弓削と一緒に戦った守備隊員の半分は、元々は現地の敵対していたゲリラだった人です」
「現地の武装勢力を取り込むのは、どこの国でもやることでしょう」
反戦を標榜する評論家の反撃はしかし、理沙によって一笑に付された。
「捕虜が、全員兵士になるわけではありません。むしろ、適性の無い方の方が多いですから、別の職を与えます。緑の軍隊というくらいですから、農家になる人が多いそうです。バスの運転手になる人だっています。料理を作る人もいるかもしれません。建設ラッシュだそうですから、建築技術を学んで職人になる人もいるでしょう。彼らに平和と豊かさを教え、それを愛する心を育み、新しい生活を提供するのが緑の軍隊の任務です。だから、捕虜に対しても自由が保障されているのです」
予想外の猛反撃に司会者は鼻白んだ。
「しかし、今回の事件で、一部の兵士が部隊を扇動し、虐殺行為を行なったということはご存知でしょう?」
「その兵士が直接指揮した部隊が、一番多くの捕虜を捕まえたということも、公式発表されているはずですが?」
その番組を、副島が見たのは路上だった。命令違反、交戦規定に抵触した行為に関する軍事法廷が開かれ、軍内規に従った処分が決定され、二週間の謹慎が明け、ようやく愛との約束を果たせるようになった最初の休みだった、と副島は記憶している。
昼下がりの街頭スクリーンに日本の放送が映し出され、自動翻訳の字幕が表示され、道行くバイドア市民はみなその番組に釘付けになっていた。
最初、副島は愛を連れて立ち去ろうとした。
だが、理沙の言葉に思わず足を止めてしまった。
「どうしたのヤス?」
両親を先の戦いで失ってしまった愛。だが、心待ちにしていたヤスとのデートに喜んでいた彼女は、急に立ち止まった彼を不思議そうに見上げた。
副島の目は、スクリーンに吸い寄せられていた。
「その兵士は、夫を見捨てた兵士です」
衝撃的な言葉が放たれ、スクリーンに見入っていた人々がざわめき出す。
「怪我したり、亡くなった民間の方々を安全な場所まで送り届けるために、夫が僅かな部下達とともに盾となることを決めたからでした」
物静かな感じの理沙の口から紡がれた、夫の悲壮な覚悟。バイドアの人々は、それに驚き、悲しみを浮かべた。
「そして、再び戦場に戻ったとき、夫の亡骸に対して執拗に繰り返された残虐行為に、――おそらくですが、その方はとても傷付いてしまったのでしょう」
まるで何万キロもかけて彼に対して言葉をかけるために、彼女はテレビにその姿を晒しているのではないかとさえ思えてしまった。
「能力があり、律儀で責任感の強い方だとうかがっています。だから、暴走してしまったのでしょう」
「そんなにひどいことがあったのですか?」
スタジオにいたコメンテーターの一人、元々アイドルだった人気女優が素朴な疑問を投げかけた。
それに、優しい笑みで答える理沙。
「はい。とても公共の電波には乗せられるものではありません」
何も知らない彼女を、不必要に傷つけまいとする理沙の心遣いだった。女優は息を呑んだ。彼女は何かを感じ取ったのだろう。
「もし、勇気と、興味があれば緑の軍隊に問い合わせてください」
この瞬間、緑の軍隊日本事務局、防衛省、総理府など国防軍に関係する国家機関の広報へのあらゆる種類の通信アクセスは、回線がパンクするほどに爆発的に増えた。
だが、次の瞬間、放送が中断し、CMが流れ始めた。不自然な中断であり、そして全世界の視聴者にとっては完全な悪手だった。
今度はテレビ局と関連する機関全てにクレームが殺到、巻き添えをくった他の局まで出る始末だった。
街頭スクリーンを見上げていた市民達も何事かと騒ぎ出した。今、映っているのは、彼らには何の関係も無い日本国内の商品のCMばかりなのだ。
戸惑いが苛立ちに、それが怒りへとボルテージを上げようとしていた。
まずいと思った副島が、愛を守るために広場から去ろうと促したとき、スクリーンに司会者が画面にアップになっていた。
寸前で回避された暴動。ほっとしたのも束の間、今まで緑の軍隊を批判する論調を進めてきた司会者が思わぬ言葉を口にした。
「皆様にお詫びしなければいけません」
関係者に調査して分かったのは、放送が中断したのは、スポンサーの圧力に屈した局の上層部の行動だった。
しかし、それで納得しなかったのは本当のことを知りたいと主張する女優や若い出演者達に、報道方針に疑問を持っていた良識ある記者達やスタッフの反抗が重なり、内乱状態にあったらしい。
結果、スポンサーは以後の契約を一方的に打ち切り、反戦を訴えるだけで何の解決策も見出さない有識者と称する人達は、スタジオから逃げ出すことになった。
この事態に、上層部や番組を企画したプロデューサーも諦め、現場に全てを任せて全ての責任を放棄した。
だが、このときネット全盛の時代になって以来の空前の視聴率を叩きだしたことは、なんとも皮肉なことだろう。
弓削理沙という、したたかな女性の偉大な勝利の瞬間だった。
司会者は、理沙の言葉が多くの公式資料――緑の軍隊に限らず、アメリカ軍や国連の物まで――から裏付けられていることを紹介し、緑の軍隊が派遣された国にとって希望の象徴となっていると話した。
それから、理沙に対する単独インタビューという形式に番組は移り変わっていった。
「申し訳ございません。お話の前に、ひとつ伝えたいことがあります」
理沙は、司会者に一言詫びを入れたが、それに逆らえる者は誰一人その場にいなかった。
「えっと、そちらは今、お昼過ぎでしょうか?」
カメラに正対した彼女は、まるで画面に語りかけて来るかのように言った。
「私は、あなたのことは三等軍曹という階級しか知りません。軍曹。あなたは一度は感情に任せて力を揮って、いたずらに被害を大きくしてしまったかもしれません。だけど、あなたは夫と同じように、現地の人、敵対するテロリストさえいつかは分かり合えると信じて、愛し、慈しむ心を取り戻してくれました。そして、あなた自身と部下達の手で死ぬかもしれなかった百二十人もの若者達を救った。私はそれが、とても嬉しいです」
戦闘終結間際になって副島小隊は、突如行動を変更した。それまで殺戮の中心だった彼らは、その卓越した技術で民兵達の武器や手足だけを攻撃するようになり、無力化し次々と拘束していった。
いまだ敵兵に対して攻撃しようとしていた味方に向かって、時には殴りかかり、時には銃口を向けてまで、生き残った民兵達の身の安全を追求し始めたのだ。
そのころには、民兵達に残弾が残っていなかったから出来たことでもあったが、その行動に最初は反発していた他の隊も副島達の説得で我に返り、本来の緑の軍隊の姿を取り戻し、結果として六百二十八名の捕虜を捕まえたのである。
その功績が認められ、謹慎と任期終了後の一階級特進権の剥奪、本任期中の俸給ならびに年金権利の返納という現地処分で済み、帰国後の裁判でも執行猶予が認められることになった。
だが、それらのどんな温情よりも、理沙の口にした嬉しいという言葉の方が大きかった。
それはバイドアの人々にとっても同じだったようで、広場は歓喜に包まれた。
「ジェネラル・ユゲ、バンザイ!」
「サージェント・バイドア、バンザイ!」
「グリーン・フォース、バンザイ!」
という一報がソマリアから全世界に発信されたのは、歴史に残っている。
そんな歓喜が渦巻く街の中で、独り力なく跪く副島。
「ヤス?」
愛の問いかけにすら反応できなかった。見上げるスクリーンでは理沙が、出演者の質問にひとつひとつ丁寧に答える姿が映っていたが、もはやその声は歓声に掻き消され届かない。
「どうしたの?泣いてるの?」
問われて初めて、自分が涙をこぼしていることに気付いた副島。尊敬する司令官を失った。同僚や部下を失った。心の中の大切なものも壊してしまった。
それでも守れたものがあった。あの少年であり、仲間であり、歓喜に打ち震えるこの街であり、そして目の前で心配そうに自分を覗き込む黒い肌の少女であった。
「ありがとう……」
なんでそんなことを言ってしまったのか分からない。思いのたけを口にしたら、そうなった。
戸惑う愛を、副島はその両手でそっと抱き締めた。
「ありがとう」
このひとときがあることに。
このよろこびがあることに。
このんうくもりがあることに。
この未来があること、全てに。
「ありがとう」
緑の軍隊は解散の危機を免れた。
それどころか、様々な情報が広がるにつれて少ない予算でのやりくりや、不正規遭遇戦闘に対して脆弱な装備などの問題を多くの人達に知られるようになると、募金が急増し、創設以来最大規模の資金を得た緑の軍隊は、今まで以上に情報開示を行ない、その資金が適正に使われるように配慮した。
世界で有数の戦闘を行ないながら、世界で一番血に汚れず、世界で一番ガラス張りの軍隊と全米誌に報じられたのはこの頃だ。
だが、数年も経てばそんな熱も忘れてしまう。すぐに人々は今まで通りの生活に戻り、緑の軍隊に向いた関心は薄れていく。
それでも、緑の軍隊はその数年間のことを忘れず、その資金を基に組織をより強固に、より装備を充実させ、企業誘致を進め、五十年に亘る栄光の基礎としたのである。
古参の兵士達は、今でもバイドア事件を戒めとして語り、そして続いた数年の黄金期を誇りにしている。
二〇三五年、それまでモガディシュの連邦政府に抵抗していたソマリランドとアル・シャバブは、バイドア政府の仲介によって停戦に合意。
二〇四〇年、緑の軍隊は撤退した。最も難しいと言われたソマリアの政情を安定させた、イラク、アフガニスタン、スーダンに続く緑の軍隊四度目の撤退であった。
そのモットー、
”撤退とは、すなわち人類の滅亡あるいは地域の安定である”
を体現した見事な勝利だった。
副島はバイドア事件後も緑の軍隊に参加しつづけ、四度参戦し、幾多の戦闘で死者を出さずに事態を収拾し続ける凄腕の普通科兵士として名を馳せていく。
彼がバイドア事件の英雄、サージェント・バイドアと呼ばれる謎の兵士であったことが明かされたのは、本報告書が初めてである。
この事件を契機にして、二人の人物が新たな段階に踏み出すことになった。
一人は、ライール伍長。今は、緑の軍隊本部直轄部隊派遣中核軍団の中隊長ライール・ソエジマ少佐である。
「本当は、最初に出逢ったコックの名前が良かったんだが、彼の名前は最後まで知ることが出来なくて、自分が姓を名乗ろうと思ったときには、もう調べることが出来なくなってしまったんだ。緑の軍隊はそういうことにはうるさいからね。そして、バイドア事件で理想的な兵士に出逢ったわけだ。彼とは四歳しか違わないが、兵士として戦士として最も尊敬する人だよ。ただ、人間的にはいじり甲斐のある面白い人だけどね」
副島の友人として、彼はそう語る。
そして、もう一人が愛だった。
両親を失った彼女は、帰国する副島から離れることを拒んだ。
「正直悩んだが、なんとか英語は話せるし、うちの両親も元気だったからなんとかなるだろうと日本に連れて帰ることになりました。やっぱり環境が変わって大変だったらしく、学校でもいじめとかもあったみたいです。ゆくゆくは帰化も考えていました」
だが、愛――愛・ハディーヤ・ハッダートの考えは副島とは違った。当時を振り返る三十八歳の三児の母親となった彼女は、アフリカの太陽のように陽気に笑う。
「ヤスは分かっていなかったと思いますけど、私は必死だったんです。初恋の人と引き離されてたまるかって。だから、養子縁組は絶対嫌だったし、帰化も絶対しませんでした」
小中高と日本で副島家のもとで通い、副島本人の休暇のたびにデートをせがんでいた彼女が、猛アタックを開始したのは十六歳の時。
「だって、結婚出来るじゃないですか」
なんともあっけらかんとしている。それともバイドア事件という苦難を乗り越えた故のしたたかさか。
副島の両親を味方に付けるために、家の手伝いは率先して行ない、学校で受けたさまざまな嫌がらせも、自らの手で克服し、たくましく成長した彼女。
しかし、それを頑として拒んだ副島康。
「妹とか娘とか思っていた相手からプロポーズですよ。びっくりしますよ」
「それでも、私は彼のお嫁さんになりたかったんです。だってあの大変な時に、私を無理矢理引き離すんじゃなくて、きちんと一人の人間として扱ってくれたことが嬉しかったんです。そんな大人は初めてでした。この人のお嫁さんになるしかないって。――その律儀すぎるところが、玉に瑕でもあるんですけど」
ようやく、名を愛・ハディーヤ・副島と改めたのは、彼女が二十二歳の時、大学を卒業し、その大学において職員としての採用が決まった時だった。
副島は三十九歳だった。軍人としては、遅い結婚だった。
「その年まで結婚しないからですよ。その気があったんじゃないんですか?」
ライールは笑いながら問いかけたことがあった。それに対し、憮然と答えた副島。
「だって、愛が諦めるまでは悪いじゃないか」
この一言を聞いて笑い出さない人は少ない。
それゆえに、コールサインをゲンジなどと変更されて笑いものにされることが多くなってしまった。
そんな副島が弓削理沙、事件後旧姓に戻った高井理沙と会うことが出来なかった理由は、彼がバイドア事件の時に内通者の存在を感じていたからだ。
「アル・シャバブが、あまりにもこちらの内情を知っているような行動でした。いくら国際テロネットワークと繋がりがあるといっても、防衛網の脆弱な地点や、こちらの絶対射殺ラインも知っていた。交戦規定を知っていたとしか思えません」
交戦規定は、それぞれの軍隊が設定した戦闘におけるルールである。アメリカ軍が満足に遵守出来なかった事実が明るみに出て以来、法治国家、民主国家ではその拘束力は強くなる傾向があり、大きく逸脱すれば法廷に引きずり出されることもある。
それだけに逆に言えば、敵対勢力からは秘匿されるべきものである。ルールの裏を突かれることもあり得るからだ。
「第一に疑ったのは民間軍事請負企業。ついで元軍属を含めた軍人。特殊防犯課の肩書は非常に有用でした」
副島が、磯垣海司によって招聘された時に提示した条件、それがバイドア事件の内通者を調べることだった。磯垣はそれを了承し、副島に司法警察員の権限を与えている。
副島が最初に行ったのは、防衛省や各地の地方協力本部、そして各PMCの退職者の情報を収集することだった。
日本におけるPMCの発展は、緑の軍隊と不可分ではない。農業復興事業地域内の生産量が過剰になれば、他地域とのとの通商は不可欠だ。しかし、緑の軍隊が常にそうした通商ラインを警護してくれるわけではない。
そこで日本経団連は、日本最大のPMC――ライジングサンセキュリティを設立。緑の軍隊の補助的な行動を独自に開始。これを機に、多くの日系PMCが誕生して、今では警護業務のみにとどまらず、各国軍向けの新兵器テストを行なうなど事業を拡大し続けている。
二〇五四年には、日系PMCの派遣する警備員は八万六千人とも言われている。
そんなPMCは、日本連邦政府から限定的な武力行使を認められたが、緑の軍隊において唯一の絶対課税対象事業である。
「PMCはテロの温床にもなりやすいですからね。炎の杜の連中も何人かは元PMCでしたから」
日本史上最強最悪のテロ組織、炎の杜。元々は二〇二二年に勃発した朝鮮統一戦争とそれに続く、国際的世論の後押しによる対外派遣部隊、機動展開軍の設立に反対する反戦学生運動であったが、その行動は次第にエスカレートし、日本各地でテロ活動を行なうようになった。
世界各地に散った潜在的構成員達が、PMCで訓練を受け、活躍し、帰国するとテロを起こすという悪循環を作り上げ、反日本連邦国防軍、反緑の軍隊を掲げ武力闘争を行なっていた。
例の内通者は、元緑の軍隊経験者で退役後にPMCで炎の杜から接触を受けた者であると、副島は突き止めた。
「私がベイランドシティのスラムで隠れ住んでいた彼を見つけたとき、彼は心底怯えていました。私のことも知っていて、復讐に来たと思っていたのでしょう」
だが、彼にはそのつもりは皆無だった。既に、専守防衛の異名を戴いていた彼は、怯え震える銃口をものともせず、ただ一言伝えたかっただけなのだ。
内通者が、炎の杜に家族を人質に取られ、事件後心身を病んだ彼は家族からも見放されたことも突き止めていた。
彼も、戦争という大きすぎる渦の被害者でしかない。
「あなたのおかげで緑の軍隊は、最高の軍隊になった。ありがとう」
副島が告げたのはそれだけ。
二日後、男は自首した。しかし、日本連邦政府と緑の軍隊は、彼に対する判断をバイドア自治政府に一任した。
二〇五二年。バイドア事件から二十年の時が過ぎていた。
彼は現在、バイドア自治政府の職員となり、日夜ソマリアの人々のために身を粉にして働いているという。
そして、ようやく副島は妻の愛とともに、弓削巧の遺族と、あの時の三等軍曹として対面することが出来た。
愛の素性を知った高井沙織元大尉からは、白い目で見られながらであったが。
以上にて、過去編第1弾終了です。
本作は、今後も時々過去に戻ったりしますが、ご容赦ください。
参考文献
マーク・ボウデン ブラックホークダウン 早川書房
床井雅美 軍用銃辞典 並木書房
イカロスMOOK 戦闘機年鑑
wikipedia上にて多くの知識を披露していただいた方々
ナマの軍事的知識を教えてくれた15年来の友人に感謝します。




