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無双なんて望んでないのに、なぜか怖がられている!? 【いつの間にか魔王よりもヤバい旦那と言われていた件について】  作者: 大野半兵衛


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第28話 一一歳の帰還

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 第28話 一一歳の帰還

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 朝になって、遠くまで見渡せるようになった。僕は尖塔の上に短距離転移で移動した。

 この尖塔は昔造られた防衛拠点か何かのようで、今は使われている気配はない。そんなボロい尖塔の上から、周囲を見渡す。


「どうやら皇都の郊外のようだな」


 西側に皇都が見える。あまり遠くなくてよかった。

 とはいえ、皇都へ向かうには川を渡る必要がある。船はいくつか見えるが、どれも随分と使われてないような危うさを感じる古さだった。それに、僕は船に触ったことさえないので、流れの速い川に流されかねない。

 川幅は二〇〇メートルほどあり、僕の短距離転移では届かないか……。


「ま、連続転移すればいいんだけどね」


 さっそく短距離転移を連続で使用する。

 空中に現れては落下する前にまた転移。そうやって川を越えた。


 今の僕はSSレアの魔套まとうライファンを羽織っており、誰にも見られることはない。昨夜の寒さに耐えられなかったので、ガチャから具現化させたものだ。

 魔套ライファンを羽織っていると、拉致加害者たちが目の前にいても、僕のことを認識できないだろう。

 おかげで、技能や魔法陣をどれだけ使っても、誰かに見咎められることはない。

 短距離転移は魔力消費が激しいので、皇都までは走ってていく。毎日行っているランニングクエストだと思えばいい。

 城門で検問がされていたけど、こっそり通過。不法侵入じゃないですよ。だって、僕は合法的に外に出たわけじゃないからね。外に出てないのだから、入る記録も必要ないよね?

 それに、貴族の子弟の誘拐は醜聞に関わる。家に迷惑をかけないためにも、僕はこっそり屋敷に帰るべきなのだ。


 屋敷に辿り着いた。ランニングクエストもクリアできたし、無事に家に帰りつくこともできた。よきかな、よきかな。

 いきなり姿を現すと、門番さんが驚くだろうから、物陰で魔套ライファンを脱いでアイテムボックスに収納。


「で、デルク坊ちゃま!」

「恥ずかしながら、戻って参りました」


 僕は頭をかきながら、門番に挨拶した。

 すぐに屋敷内に入り、皆に囲まれた。


「デルク、今までどこにいっていたのよ!」


 母ウィスナーラに抱きつかれた。


「そうよ、デルク。心配したんだからね」


 姉のスピカも抱きついてきた。


「それが気づいたら郊外のボロ家にいまして、誰かに拉致されたようです」

「拉致って、どういうことなの!?」

「僕もよく分からないのだけど、拉致されて目隠しとかされて軟禁されていたんだけど、いきなり放置されてしまったんだ。殺されるかと思っていただけに、拍子抜けしちゃった。アハハハ」

「「笑い事じゃない!」」


 母と姉に怒鳴られてしまった。


「あ、はい……」


 それからは二人にこんこんと説教を受け、それが終わるとパテリアス兄上の事情聴取になった。


「―――そんなわけで、僕にもよく分からないのです」

「そうか……。おそらくだが、それは皇帝陛下が関わっておられるのだろう」

「皇帝陛下が?」

「今朝、城が再び崩落した」

「はい?」


 あの城、外から見たらすごく豪華で立派だけど、手抜き工事物件か? 一国の顔ともいえる城を手抜き工事した業者は……あ、建設後もう何十年も経過しているから、斬首されることはないか。しらんけど。


「今は情報が錯綜しており、何が真実かは分からないが、おそらくフィーリア嬢がやったのだろう」


 うん、そんな気はしてました。工事業者は悪くないよね。


「それって、僕が拉致されたからですか?」

「そう考えれば、城が崩落した理由に説明がつく」


 つまり皇帝かその周辺の人が主犯かなー。


「なんで皇帝は僕を拉致させたのですかね?」

「デルクを確保すれば、フィーデリア嬢を押えることができる。そう考えたのかもしれないな」

「お、おぅ……それでまた城が崩落していたら、意味ないですね」


 その後、兄パテアスはゲルミナス家に使者を出して、僕の無事を伝えた。

 そこからフィーデリアに僕の情報が伝わるまで、半日以上かかったようだが、夕方にはフィーデリアが屋敷に訪ねてきた。


「デルク!」


 フィーデリアが飛びついてきた。


「はしたないですよ、お嬢様」

「今はいいの」


 侍女のサビーネさんが窘めるが、フィーデリアは僕の胸に顔を埋めたままだ。


「あぁぁぁ、デルクー。デルクの匂いだわ」

「いや、臭いを嗅がないでよ!?」

「デルクの匂いは私のエネルギー源」

「どんな臭いだよ、それ!?」


 クンカクンカと臭いを嗅ぐのは、本当に止めて。


「デルク、怪我はない?」

「うん、首の後ろを殴られて、ちょっと擦りむいただけだよ」

「怪我をしたの!?」

「打ち身と掠り傷だから、大したことないよ」

「あいつら……」

「ちょ、フィーデリア! その魔力を抑えて!」

「あ、ごめん」


 僕はフィーデリアの魔力になんとか耐えられるけど、部屋の中のものがしっちゃかめっちゃかになるから、抑えてね。マジで。




 拉致騒動があった三日後、学園は冬季休暇に入った。

 すぐに冬季休暇になるため僕は学園を休んでいたが、フィーデリアも学園を休んで毎日屋敷にやってきた。


 国については……、城の再建が始まった。何度も崩落していることで、縁起が悪いから別に城を築いたほうがいいのでは、と言う人もいるらしい。

 それってフィーデリアを怒らせなければ、なんの問題もないのでわざわざ税金を使って新しい城を築く必要はないと、僕は思いますよ。

 そんな中、皇帝が病気療養のため、退位することが発表された。まだ即位して半年もたってないけど、それにフィーデリアが関わっていると僕は思っている。

 新しい皇帝が即位したのは、それからすぐのことだった。前皇帝の弟のトリアリック様が皇帝になられた。


 あと、前皇帝がまだ退位していない頃の話だけど、うちに使者がやってきた。


「デルク・ナグラー殿には大変な迷惑をかけた。ここに心から詫びるものであり、アルフィール湖畔に土地を与える。これは領地ではないが、いかなる者からも干渉を受けることのない権利を、デルク・ナグラーに与えるものである」


 よく分からないけど、僕はアルフィール湖畔に土地をもらうことになったようだ。

 アルフィール湖は皇都にほど近い観光地で、魔導列車の駅もあったはずだ。

 ちなみに署名者は皇帝の代理として弟のトリアリック様のものだった。



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