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家族との別れ

 こちらでは初投稿です。のんびりとした異世界モノを読むのが好きで、どうせならと自分でも投稿してみました。よろしくお願いします。


 夢の中を漂うような、微睡む意識。

 ゆっくりと目を開くと、そこに広がるのは見慣れた病院の天井。いつもとは違い、ぼんやりと見えるのは、此方を悲しそうに見つめる家族の姿。


 何かあったのかと起き上がろうとするけれど、身体は鉛のように重く、手足の感覚すらも朧げで。いつもの不快な点滴の感覚すらも今は感じない。


 日に日に眠りが深く、目覚める時間も減っていたけれど、どうやらそろそろお別れの時間らしい。


 最後くらいは大好きな家族の事を焼き付けたいと、自由の効かない身体を何とか傾け……その僕の動きに何やら声が上げるけれど、その声すらも僕の耳には届かない。


 目を真っ赤に泣き腫らして、何かを訴えかけている凛奈姉さん。あんなに、お別れの時は笑顔で見送ってあげると自信たっぷりに言っていたのに、モデルとしての凛々しさが台無しなくらいに、顔をくしゃくしゃにしちゃって。……そんな顔をされたら、お別れしたくないって、未練が残っちゃうよ。


 雄一兄さんは、優しく微笑んで僕を見送ってくれるらしい。僕の治療の為にお医者さんになるって、その言葉の通りに医学部まで卒業したのに、兄さんが治療法を見つけてくれる前に旅立ってしまって、ごめんね。


 父さん、母さんも……姉さんと同じくらい泣き腫らして。笑顔のまま見送ってほしいって言ってたのに、結局約束を守ってくれたのは兄さんだけみたいだ。両親より先に旅立ってしまう、親不孝者で、ごめんなさい。


 学校や仕事の合間に顔を出してくれて、僕に寂しい思いをさせたくないって、みんなの愛情はしっかりと伝わっているから。大丈夫。


 病気のせいで、人生の大半はベッドの上で過ごす事にはなったけれど。優しい家族に沢山愛されて、そんな自慢の家族に見送って貰えるんだから、僕は幸せ者だよね。


 この人生に、少しも不満はないけれど……もしも生まれ変われるのなら……次は自分の足で、綺麗な世界を旅してみたいと、そんな淡い願いを胸に、窓から見える満開の桜を視界に収めながら、僕はゆっくりと瞳を閉じた。

 

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