憂鬱なニュース
「○月○日、○○県○○市に隕石が落下する」
そうニュースで騒がれるようになったのがつい最近の事。
毎日のように近隣市民に避難するよう注意勧告がなされていた。
俺が住んでいる所は○○県○○市からかなり離れていて被害が予想される区域ではない為、自分には関係のない他人事として報道を眺めていたが、その重々しい雰囲気にうんざりしていた。
「もうすぐ隕石が落ちてくるんでしょ?なんかあったら怖いよね」
「ね〜怖いよね。でもこの辺りは安全みたいだし、気にすることないんじゃん?」
通学途中の電車でも教室でも毎日この話題を耳にした。
中には隕石の影響で学校が休みになるんじゃないかと冗談半分で騒いでいる連中もいる。
「おはよう」
友達の倉田がいつものように話しかけてきた。
「おはよう。なんか元気ないじゃん」
「そう?あーでもちょっと疲れてるかも。今親戚一家がウチに来てて。」
「親戚?こんな時期に?法事とか?」
「いや、違くて、○○市に住んでる親戚が避難してきたの。」
「あー……」
「滅多に帰って来ない親戚でさ、ウチのばあちゃんめっちゃ張り切ってんの。家中てんやわんやで全然落ち着かなくてさ」
小さい子の面倒を見させられたり、やたら親に叱られたりで肩身が狭いなどと、疲れた風に愚痴をこぼす倉田を慰めているうちに、担任が教室に入ってきた。
それを見たクラスメイトは各々の席に着き、朝のホームルームのチャイムを待つ。
チャイムが鳴ると、いつものように担任が連絡事項を告げると共に、不謹慎だからあまり隕石について騒がないよう注意を付け加えるのが最近の一連の流れとなっている。
そして、それ以降はいつも通りの授業が始まり、いつも通り放課後を迎えた。
自転車組の友人達に別れを告げ、校門を後にし、俺は駅行きのバス停に向かう。
「淳」
慣れたように呼ぶ声のする方を振り返ると、彼女——ゆきがこちらに向かって歩いてきているのが見える。
ゆきは肩まで伸びた少し色素の薄い髪を耳にかけて、反対の手をこちらに振りながら早足で俺の隣まで来ると、少し不満そうに俺を見上げた。
「おつかれ」
「先に行っちゃうなんてひどい」
「ごめんて、暑いから早く帰りたくて」
「置いていく気だったの?ひど!」
「駅で合流すりゃいいじゃん」
「ひーどーいー!」
むくれているゆきをなだめているうちにバスが来て、俺たちは涼しい車内に乗り込んだ。




