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邂逅

「おら、おら、どきやがれ!!あいつは、あの野郎はどこだ!!」


時ならぬ声に私は耳を疑った。そして、声の主をおった。そこには私と変わらぬ歳と思われる招かれざる客がいた。


今は祝宴の真っ最中、久し振りの戦勝祝いである。


戦勝祝いといっても、国家間の争いではない。

この弱小国家にそのような余力があるわけがない。


今日は我が国と周辺国家を荒らし回ってた「宇宙海賊」を撃滅できた記念の宴なのだ。


この「宇宙海賊」、御大層にも「キング・オブ・パイレーツ」等と、頭の悪い名を名乗っていたが、こやつらは周辺国家の脆弱さと連携の薄さを利用して、散々航路を荒らし回ってくれた。確かに一撃離脱の力だけはキングクラスかもしれなかった。


しかし、我が国のみならず周辺国家も血眼で探索したのだが、かなり狡猾なやつらでなかなか本拠地が見つからない。そのため、対処療法しか行えず、どの国も臍を噛む思いであったのだ。

しかし、偶然にも我が国の一領主が幹部の通信を傍受、幹部のアジトから本拠地を割り出すことに成功した、と報告が上がってきた。報告によれば、幸か不幸か、本拠地は我が国の領内にあるという。こうなれば、全力を持ってこれを叩きのめし、憂慮を除かんと、国家をあげて掃討作戦を敢行することとなった。なるべく隠密を徹底していた事もあり、一部の反撃はあったものの、海賊共のほとんどが反撃することができず、結果は完勝に近いものであった。

―しかし、あの領主、かなり評判悪いのに、今回は一番手柄だったな―


宇宙海賊の持っていた財産は、「持ち主が分かる物は返さねばならないが、その他の物は海賊を討伐した者達が総取りしてよい」との国家間で決めたルールが存在する。


しかも今回の海賊共は、かなり暴れ回っていたらしい。我々弱小国家の物のみならず、大商人だったり、大国の重鎮の物も混じっていたからだ。どうやら、周辺の大国の交易ルートまで襲っていたようである。そのような品物はかなりの警戒をしているはずだから、通常なら狙わないものなのに。それを知ったとき、かなりきな臭い何かがありそうな感覚を覚えたが…。


ともかく流石にそういった物は、自主的に返納して大国や大商人の覚えを目出たくする必要がある。そういったコネも増える上、更にその分を差し引いても、今回の分取り品は国庫が一息つける程となったのだ。


このような大勝利は、私が産まれてから初めての事だと言われた。いつもは国家間の鍔迫り合いやら、大国の横暴に泣かされて及々とした雰囲気の中で過ごしている者達も、今日ばかりは無礼講だと羽目を外していた。皆が慶びに満ち溢れている、良い祝宴であった。今会場は幸せに酔い潰れている者ばかり、死屍累々の有り様であった。


そんななか闖入者(ちんにゅうしゃ)は、場の雰囲気なぞ物ともせず、辛うじて生き延びている酔客たちや護衛の間を抜けてくる。屈んでかわし、翔びこえながら、たまには投げ飛ばしたりと、見事な体術を見せながら、確実にこちらへ近づいてきている。それにしても見事だな、ほとんど誰も傷つけていない。どうやら、場を乱すのが目的では無さそうだ。


その闖入者に興味を惹かれ見ていると、どうも一番手柄のあの領主の元に向かっているらしい。領主め、何やら顔がひきつってるぞ。あ、逃げ出そうと腰を挙げようとして、転んでるぞ。あの必死の姿、あの領主(バカ)今度はなにを仕出かしたんだ!?


あ、そうこう見ていると、あいつと目が合った。何て野心に満ちた目をしているんだ。で、一体奴(闖入者)は何者なんだ?



(闖入者視点)

俺は今とても冷静だ。人間怒れば怒るほど冷静になるってのは、本当だったんだな。向かってくる相手を見て、避ける、跳ぶ、投げる、全部簡単にできちまう。


俺はやっとで、今正にあの領主を見つけることができた。あの野郎、絶対ただじゃおかねぇ!どうせこんな騒動巻き起こしたんだ、処刑は決定的だろうよ。何がなんでもあいつを巻き込んで、同じ目に会わせてやらなきゃ、俺のために戦ってくれた奴らに申し訳がたたねぇ。


ええぃ、もう邪魔すんなよ!あいつ以外誰も手を出す気なんかねえよ。とはいっても、そりゃ止めようとするか。ここでは俺が犯罪者だもんな。


でもあと少し、もう少しであいつの首根っこ捕まえられそうなんだ!頼むから、皆どいてくれ!!


その時ふと、こちらを見ているハンサム野郎と目があった。いい格好をしたそいつは、とても興味深そうに笑っていやがる。そう、そしてそいつは、俺を見て蔑んだ顔をしてなかったんだ。



この二人の邂逅が、星星に動乱を巻き起こすきっかけとなるとは、この時は二人を含め誰も知る由もない事であった。時に、星歴388年4月6日の出来事である。


☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆

これより、星星の間の物語は幕を明け、歴史が綴られることとなる。さあ、物語の始まり始まり――





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