三沢さんちは大喧嘩中でした
こんにちは、尼子詮久です。
前回は隠岐を直轄化して旧隠岐勢力を直臣化と兵農分離して刀狩りをするという壮大な実験をやりました。
ちょっと反発がありましたけれど、『鳥取城の飢え殺し』宜しく、秀吉だけに猿真似をしてやりました。ええ、一揆を起こすような連中には裁きの鉄槌です。
おかげで鬼の孫は鬼畜と言われてます。少しお仕置きしただけですけどね……。
天文4年夏
今年も暑い夏がやってきた!
「そうですね、無駄に暑苦しく戦争経済!って叫んで三沢氏を攻めている殿のせいで余計に暑く感じますわ」
失礼な。
「音程の外れたソレで延々と戦車アニメのエンディングの替え歌を聞かされている身になってくださいまし」
もっと失礼だよ!
「さて……殿、殿が春から軍制改革をして常備軍化した正規軍と新宮党ですけれど……派閥争いをしていますわよ?」
あぁ……あぁ……聞こえない……聞こえない!
「現実逃避はおやめになって」
仕方がないだろう。尼子の先鋒と言えば新宮党、尼子の切り札と言えば新宮党。新宮党は新宮党であって新宮党じゃなきゃ意味がない。
「そんなこと言ってるから、正規軍に不満が出てくるのですよ」
だから今回の三沢氏討伐に正規軍を投入させたのだよ。
「そういえば、山中勝重さんが三沢攻め総大将を志願されてきたそうでしたね」
あぁ、大殿に三沢氏討伐を進言したら暫し待てと言われてね。そしたら彼を連れてきたんだよ。
『若殿!ぜひ某に三沢攻めの総大将をお命じ下され!三沢と言えば、この勝重、再びぎゃふんと言わせて御覧に入れまする!この老骨に最後の御奉公の場を何卒!』
なんて言われてさ……。
「暑苦しい爺ですわね……」
意外なことなんだけれど、大殿が一番乗り気だったんだよね。国久や久幸は連戦だから自重して欲しいと言ってきたのだけれど……。
『儂の目の黒いうちに三沢に引導を渡すのも一興!』
なんて言ってたよ。
「それで、こんなド田舎まで殿がどうして来ているのかしらね?」
あぁ、うん、なんか知らんのだが……攻め込んだのはいいけれど、三沢氏の中で内紛が起きていてねぇ……為幸と為国両方から味方をして欲しいと……。
「罠ね……」
マジで?
「そんな都合良く内紛とかありえませんわ、恐らく山中勝重さんが出張ってきたから仕返しをするつもりよ……」
あぁ、なるほどな……じゃあ、新宮党呼んで挟撃するか。
「自力で何とかなさったら如何かしら……と、言いたいところだけれど、兵力不足ですわね」
一ヶ所に籠城した敵を包囲して潰すつもりだったからね。二ヶ所同時は兵が足りない。
まぁ、為幸に味方すると返事を出して時間稼ぎして、横田を占拠している為国を先に潰すことにしよう。