〜エピローグ〜
エピローグは最終話の後日談ではありません。
プロローグ(ノアールとソールの会話)の続きとなります。
「それよりソール。お前が誰かに“責任”を感じるのってどんな時だ?」
「はぁああ~? 何だ、そりゃあ~? お前さっきから質問に一貫性がないぞ」
――お前は“Reincarnation(輪廻転生)”を信じられるか?――
というノアールからの質問に答えた後、また暫く押し黙って何か考え事をしていたノアールからの、全く脈絡のない唐突な質問にソールが戸惑っていると……
「いいから答えろ!」
強い口調でノアールは答えを要求する。
ソールは溜息をつきながら……
「責任ねぇ~。それはあれだろ? そいつに対して何か後ろめたい事がある時だろう? 自分の所為でこいつがこんな事になってしまった、みたいな?」
「じゃあ、自分が逢いたくてたまらなかった……ずっと感謝していた相手にそう言われたら、お前ならどうする?」
「はぁあ〜?」
(ちょ、ちょっと待て! こいつが逢いたくてたまらなかった相手って、まさか!?)
「ひょっとして、お前“初恋の君”に逢えたのか!?」
「い、いや……そういう訳じゃないんだ、が……」
気まずそうに視線を逸らすノアールに
(……で、そのやっと逢えた初恋の君に『責任を感じてる』って言われたって事か? 初恋の君はこいつの命を救った恩人の筈だよなあ~? どういう事だ?)
そこまで考えて、ソールはある事実に思い当たった。
(……って、こいつずっとそれで悩んでたのか? 任務じゃなくて? いや、違うよな。悩んでたのはどう考えたって“SILVER・WOLF”の事だった筈だ。……ってぇ事は)
その時、ノアールの腕時計に内蔵されている通信機の呼び出し音が鳴った。
それはノアールにとっては救いの神だった。
「済まない、ソール」
そう言って足早に部屋を出て行こうとしたノアールを、ソールは呼び止めた。
「急いでるのは分かってる。……が、一つだけいいか?」
「何だ?」
「お前“SILVER・WOLF”の事をどう思ってる?」
「どうって? 俺の任務の“対象”だ」
「本当にそれだけ、か?」
「ああ。他に何があるって言うんだ?」
怪訝そうな顔でソールを見つめるノアールに
「だったらいいが、ノアール“SILVER・WOLF”に深入りするなよ」
「ああ」
何を当たり前の事を言っている?
そう言わんばかりの顔をしながらノアールはソールの部屋を後にする。
その後ろ姿を見送りながらソールは自身の抱いた懸念を必死で振り払おうとしていた。
そんな筈はない。
そんな馬鹿な事がある筈はない!――と。
だが……
「ただ一つ、これだけは言える。“SILVER・WOLF”に肩入れするな! 肩入れすれば傷つくのはノアール、お前自身だ! お前と“SILVER・WOLF”とでは住む世界が違い過ぎる」
――決して共には生きられないのだから!――
~時の道標(みちしるべ)~ 完
次回は「ちょこっとブレイクタイム」です。




