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つながり  作者: しゃもん
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6.すき間-狭間と聖_襲撃

 狭間が睡眠をたっぷりとってから起き上がると、すでに外は真っ暗になっていた。


 もう夜か。


 王の護衛任務についてから、なぜか昼夜が逆転した生活が続いていた。


 だが、また護衛任務に行くしかない。


 自然とため息を吐いていた。


 なんでこうも毎日毎日、王の寝室を見張っているのか。


 最初の任務時に、この護衛は側妃のうちの一人でも子を生せば解任になると約束されたが、なんでか王にはなかなか子が出来なかった。


 ふと気がつけば十年の歳月が過ぎていた。


 その間に、二人の兄は結婚し自分にはもう何十人もの甥がいる。


 それなのに、いまだ自分は一人だ。


 この世界は前世とは違い、この年ではもう行き遅れと言われてしまう。


 父と兄二人に訴えて見たが武門の誉だから気にするなと、逆に名誉に思えと説教を喰らった。


 狭間は名誉よりも自分の子供が欲しかった。


 だが今更何を言っても、すべては手遅れ。


 もう誰も自分を初婚で貰ってくれるものはいないだろう。


 良くて見目麗しい男の後妻か、父ほど年の離れた男の後妻か、そんな条件のものしか残っていないだろう。


 はぁ。


 いっそ兄たちの屋敷に仕えている武官を力づくで奪って見るのもある意味いいかもしれない。


 子さえ孕んでしまえばこっちのものだ。


 誰が一番魔力が強かっただろうか。


 狭間はそんなことをつらつらと思考しながら、王の寝室に向かった。


 途中、いきなり大きな魔力を肌に感じて、そこで妄想を中断させられた。


 一応確認の為、魔力を感じた近くに転移してみた。


 そこは第一側妃が住んでいる部屋の前だった。


 魔方陣はすでに展開されていて、今にも魔法が完成する寸前だった。


 狭間は王の護衛であって、第一側妃の護衛ではない。


 このままこの状態を見過ごしても、問題はないだろう。


 そんなことを考えていた自分の隣を第一側妃の護衛である聖が駆け抜けて行った。


 馬鹿な男は魔方陣が閉じようとしている中に飛び込でいく。


 チッ。


 狭間は舌打ちすると飛び込んで行った聖の後に続くと、自分の防御魔法を最大で展開して、彼女もそこに飛び込んだ。


 目の前に聖の筋肉質な背中が見えた。


 防御魔法を展開しながら彼の後ろから抱き付いた。


 聖の体を狭間が展開した防御魔法が覆う。


 これで完成した転移魔法の外部干渉から彼を守れるはずだ。


 くそっ。


 予想したより大量の魔力を持って行かれる。


 一体、何人の魔法使いを使っているんだ?


 一瞬、魔力の使い過ぎで眩暈が襲った。


 当然だな。


 完成まじかの魔方陣に干渉したのだから・・・。


 転移魔法が終了して周囲が見えるようになると、そこには武器を手に持った男たちが取り囲んでいた。


 魔法使いも数十人はいる。


 まずい。


 こんな状態で魔法を打ち合うのなんか正気の沙汰じゃない。


 逃げようと思ったが、予想以上に魔力を使っていて、立ち上がろうとしたが立ち上がることさえ出来なかった。


 そんな狭間に背中を向けていた聖は何を思ったのか、自分が羽織っていた魔法防御のマントを脱ぐと彼女にかけ、地面に頽れている主の所に駆けて行った。


 阿保だな。


 見ていると今度も同じように上着を脱いで、主に着せかけていた。


 二重にアホだ。


 どこにこれだけの魔法使いがいる中、防御魔法が織り込まれている服を脱ぐ奴がいるんだ。


 ああ、目の前にいたか。


 くそっ、なんでこんなものに巻き込まれるんだ。


 狭間は思わず指を噛みしめた。


 そこから真っ赤な血が伝う。


 このまま行くと目の前にいる第一側妃と彼女の護衛もとろも闇に葬られる。


 わかっていながら勝手に動いた自分の馬鹿さ加減に唸った。


 仕方ない。


 狭間は第一側妃を庇って斬りかかってくる男たちと剣を交えようとしているアホな護衛を見てから、自分の左腕を見た。


 足を失うより生活に支障はないか。


 そんなことを呟いてから、自分にも剣で向かってくる男たちのを睨み付けた。


 すぐに腕に描いた魔方陣が発動し、体を魔力が覆う。


 それを魔力に還元すると、周囲にいる敵に向けて放つ。


 狭間の魔法は、第一側妃と彼女の護衛である聖の二人を器用に避けながら、その場にいた全員を消し炭に変えていった。


 魔法が消えると辺りには静寂が訪れた。


「すごいな。」

 聖からそんな言葉が漏れた。


「そりゃ、”対価の魔法”だからな。」


「対価の魔法?」

 狭間は頷いてから空に向け、救援要請の魔法を放った。


 これで城から誰か来るだろう。


 グラリと体が揺れた。


 使い過ぎたか。


 第一側妃と彼女の護衛がいる前で、狭間は意識を手放してその場に頽れた。


 聖は頽れた狭間に駆け寄った。


 また自分は助けられた。


 これで何十回目だろうか。


 聖は狭間を抱き起そうとして、違和感に気がついた。


 彼女の左腕を見た。


 肘から先が消失していた。


 彼女は先程なんて言った。


 ”対価の魔法”とか言わなかったか。


 まさか、彼女が対価にしたものって・・・。


 聖は、自分の主を地面に横たえたまま、狭間を抱きしめ続けた。

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