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第七十七話 弟子入り

到着した場所を眺めると、真っ赤な煉瓦でつくられた一軒家が立っていた。屋根も壁も赤の一色。地面はすべて石でできているようだった。


 その家の造りに私たちは思わず顔を見合わせる。


「鍛冶師の家ってこんな感じなの?」


「さあ?」


「初めて入りますから、何とも言えませんね。」


 鍛冶師と言うから、私たちはもっと違うイメージの家を想像していた。なんかこう、如何にも鉄と言う感じの鉄だらけの家を考えていた。それが実物を見たらあら不思議、真っ赤な煉瓦の一軒家がありました。状態である。


「取り敢えず、入ってみますか?」


「う、うん。」

 

「流石に俺たちは入れないから、外で待ってるからな。」


「う、うん。」


 すっかり緊張している美月を、私とアクアさんは苦笑いで見つめた。こんなに緊張していて、大丈夫なんだろうか?


「おい、入るならさっさと入れ。」


私たちが雑談をしていたら、背後から女性にしては少し低めの声が響き、私たちは盛大に驚いた。


「きゃああああああ!?」


「うっわあああああ!?」


「っ!?」


 後ろを振り向くと、依頼書に載っていた鍛冶師の人だと分かったからほっとしたけど、肝心の美月が腰が抜けたみたいで、生まれたての小鹿の様になっていた。


 その様子に私もアクアさんもアチャーと言う顔をした。初対面でこのリアクションは何かと不味い。そう判断したからだ。


「家に、何か用があって来たのではないのか?」


鍛冶師の人がそう言うと美月はハッとして表情を改めると、


「私をあなたの弟子にしてください!」


 美月は生まれたての小鹿のような体制のまま、顔をだけを真剣な表情に切り替えて弟子入りを要求してきた。その光景に私とアクアさんはああ、もうだめだ。と手で顔を覆った。


「プッ!あははははは!」


 美月の言葉に鍛冶師の人が笑い出した。しばらく笑い続けると、目じりに浮かんだ涙を拭い美月を手で持ち上げて立たせた。


「まさか、こんな変な体制で弟子入りをする奴がいるとは。夢にも思わなかったぞ。」


無表情だった顔が笑顔に変わり、嬉しそうに鍛冶師は美月を眺めている。


「だが、弟子入りをするのはかまわない。でも、私の顔を見てから決めるのではなく、私の仕事っぷりを見てから弟子入りを決めてくれ。」


鍛冶師の言葉に美月は顔を真っ赤に染めた。


「っ!?」


 恥ずかしさのあまり、口からは声にならない空気だけが抜けていっている。鍛冶師はそんな美月を眺めると、助け舟を出すかのように呟いた。


「今日これから私は、とある武器を作ろうと思ってる。良かったら見ていくか?」


 美月は、バッと顔を上げると嬉しそうに何度も肯いた。私もアクアさんもどうやら大丈夫そうだと判断し、一旦城に帰ろうと決めた。


「なら私たちはここで、またあとで様子を見に来ますね。」


「しっかり頑張れよ。」


「何だ?お前たちは見ていかないのか?」


「え?」


「は?」


 鍛冶師の一言に私とアクアさんが戸惑いの声を上げる。逆に見ててもいいの?普通こういう弟子入りと言うものには弟子にだけ継承したいから他の者には見せたくない。という考えがあると思う。思わず鍛冶師に視線を向けた。


「遠慮はいらない。どうせ今日は見せるだけだからな。」


「ならご一緒に見学させていただきますね。」


見れるなら見たいです。そう思った私はすぐさま承諾の返事を返した。


「返答早!?」


 ドンだけ見たいんだよ!?とアクアさんはかなり驚いていた。だって、鍛冶師ですよ?武器作るところを見られるんですよ?楽しそうじゃないですか。


私たちは鍛冶師の許可の元、見学をすることになりました。

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