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第五十六話 エルフの王様

「ああ、男だ。」


 見た目とは違って随分男らしい口調だと思った。笑顔で私の問いかけに答えてくれる辺り、優しい性格なのだろうと思う。


「ご苦労だったな。レイラ戻ってよい。」


「はい。」


 そう言うとレイラさんは私に手を振った後、ドアを閉めて部屋から出ていった。そしてエルフの王様は私と向き合うと、微笑みを浮かべた。


「椅子に座るといい、お菓子と紅茶を用意させよう。」


 促されるまま、私は用意されていた椅子に座った。少しすると、エルフの王様が、お菓子と紅茶を用意してくれた。てっきり、メイドさんのような人が持ってくるのかと思ったら、王様が自分で持ってきて驚いた。


「俺の名は、エルメルあんたの名前は?」


急に変わった言葉遣いに私はまた目を丸くさせた。


「さっきまで、レイラがまだ俺の気配を探っていたからな。人前だとあんな感じだが、本来の口調はこっちなんだ。で名前は教えてくれないのか?」


 ニヤリと不敵に笑みを浮かべているエルメルに、私は呆気にとられていた。少しするとハッと正気を取り戻し、半場叫ぶように自分の名前を名乗った。


「つ、躑躅です!」


「そうか、ツツジか!ようこそ!エルフの村へ俺たちエルフはあんたを歓迎する。」


 そう言ってエルメルは、来ていたマントをたなびかせ、ニヤリと笑った。その時、ドアから激しい音と共に、さっき部屋を出ていった、レイラさんが吹っ飛んできた。


「レイラ!?」


「な、何で!?」


 私とエルメルが戸惑いの声を上げる中、ツカツカツカッと激しい足音が響く。私もエルメルも足音の方向をじっと見つめると、激しい怒りのオーラを纏ったアクアさんの姿を見つけた。


「アクアさん!?」


「うっ、」


 冗談抜きで死にかけているレイラさんを見て、一体何をしたらアクアさんを、こんなに怒らせることができるんだろう。と呆れ半分と戸惑いを感じていた。


「おいレイラ!昔の恋人を怒らせて死んだなんて、そんな変な死因、俺は認めないからな!」


「いや、態々言う事ですか!?」


 必死な表情で何を言うのかと思えば、そんな当たり前のことですか!?驚きながらも私はアクアさんをじっと見つめた。


 普段の明るい表情とはまるで別人だった。激しい怒りのせいで私の事すら眼中にないのが分かる。じっとレイラさんを睨みつけたまま、そして瀕死の状態のレイラさんに追い打ちをかけるように、アクアさんが魔法を放った。


「不味い!」


 咄嗟にエルメルがレイラさんを抱えて、攻撃をかわした。


「アクアさん!」


 私も危ない状況だと思い、必死にアクアさんに呼びかける。でも、何の反応も帰ってこなかった。その様子に心の中で舌打ちする。本当に何をどうしたら、ここまで怒ることができるんだろう?


「ごめんなさい、アクアさん。」


 私は、雷魔法の詠唱を始めた。


 あんまり傷を付けたくないので、弱めの術式に設定する。近距離から撃てば打つほど威力があがる。の一つだけを選択する。


「雷よかの者に裁きを!落雷(ライトニング)」


「がああああっ」


 私の魔法は見事アクアさんに命中した。アクアさんがその場に倒れこむと、私は直ぐに駆け寄り心臓が動いているか確認した。アクアさんの胸に耳を当てて、トクンットクンッと音を確認すると、その場に崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ。


「良かった、生きてるよ。」


私は安心し、吐き出す様に呟いた。

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