第四十七話 奇襲
「退きやがれ!この羽虫どもが!」
そう叫び、ルイは容赦なく魔法を打ち込んでいった。
「性懲りもなく、魔族が攻めて来たのか。」
金色の短い髪の青年の姿をした天使が、ルイを迎え撃つように出てきた。
「悪いが、あんたみたいな雑魚に構ってる暇はないんだよ!」
ルイは咆えるように言うと、広範囲の雷魔法を発動させた。
「くたばれ!」
バリバリバリッと巨大な轟音を響かせ、金髪の天使の姿を消した。
「やったのかしら?」
さっきの魔法でいくらか怒りが晴れたのか通常の口調に戻っていた。
「それが本来の口調なのか?変わってるな、まるでオカマみたいだ。」
無傷で、しかも涼しい口調で話す天使に、ルイは驚きに目を見張りながらも、皮肉を言った。
「せめて、ニューハーフって呼んでくれないかしら?」
少し息を乱しながら、ルイは魔法を撃つために構える。
「また、魔法か?だが、生憎だな。俺は生まれつき魔法が効きにくい体質なんだ。」
「そう、なら。」
ルイは、天使の背後に回ると、後頭部に蹴りを入れた。一瞬の事に、天使は反応できず、蹴りの反動で壁に叩きつけられる。
口から血を流す天使を眺めると、ルイは満足げに呟いた。
「確かに魔法よりも、こっちの方が効果あるみたいね。」
天使はフッと笑みを浮かべる。そして腰に差してあった剣を抜くとルイに突き付けた。
「我が名は、ウリエル。あんたの名は?」
「ルイ。」
お互いに名乗ると、何処か楽しそうな表情で、お互いに戦い始めた。ルイが拳を放つとウリエルが剣のきれない部分で叩く様に弾く。
「意外ね。切らないの?」
「俺は剣で叩く方が性に合っている。」
「どうせ叩くのなら、ハンマーとか、もっと使いやすい武器を選びなさいよ!」
ルイは、横から衝撃を与えて、剣を折った。
「!?」
ルイが剣を折ると、ウリエルは驚き、そして直ぐに笑い始めた。
「フッ、名をルイと言ったな。あんた強いな。」
そう言うと、ウリエルは折れた剣を捨て、拳を構えた。
「へえあんた、肉弾戦も出来るの?」
嬉しそうにルイが問いかける。その問いにウリエルも笑顔で返答する。
「いや、全然できない。」
「ちょっと、カッコつけといてそれは無いでしょう!?」
「隙ありっ!」
驚いて、体勢を崩したルイに追い打ちをかけるように、足を引っ掛ける。体勢を崩したルイはその場に転び丁度開いていた穴に落ちたのだった。
「ふざけんじゃないわよ~!」
「あっ!」
落ちていくルイを眺めうっかりと言った表情でウリエルが呟いた。
「こんなところに、穴なんて開いてたんだな。」
さっきまで嬉しそうに戦っていたとは、思えない発言だった。
「ルイ、おとりご苦労様。」
「トルテのやつ、このあたしに囮をやらせるなんて、絶対に許さないわ!」
悔しそうに、ルイがキーッと叫ぶ。
「でも、罰が軽くて良かったんじゃない?ある意味ルイにとっては、屈辱的かもしれないけど、」
「かもじゃなくて、この状況が既に屈辱的なのよ!」
ひたすら喚き続けるルイをロランが必死に抑えていた。
「でも、囮と言っても少なかったから、あっちの方がヤバいかもしれないわね。」
ルイにとってトルテは憎き存在と言えるのに、この時ばかりは珍しく心配する素振りを見せていた。




