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第四十一話 付け足す

危険だからと言う理由で、私は魔界のお城でトルテさんとウォルフに挟まれるように話し相手をしてもらっていた。


「トルテさん、強くなるにはどうしたらいいですか?」


 何と無く問いかける。


「強くなる、ですか?」


少し考えるそぶりを見せた後、呟くように言った。


「まず、相手の急所をいかに早く、正確に攻撃できるかという点を極めれば強くなれると思います。」


 これが一番ベストの答えだろうとトルテさんは笑顔で言い放った。


「そうですね。」


その返答に納得と怯えを感じながら誤魔化す様に聞いてみた。


「ウォルフは強くなるにはどうしたらいいと思いますか?」


「私なら、魔力の強化をする。」


どうだ!とばかりに答えるウォルフに追い打ちをかけた。


「魔法が効かない相手だったらどうすればいいですか?」


「そ、それは……」


「……」


ウォルフは思いつかないのか黙ってしまった。


「魔法が効かないのなら効く様な状況を作るか、又は体術で迎え撃つかですね。」


すっかり黙ってしまったウォルフを庇うようにトルテさんが横から話し出した。


「時として魔法と言う物は状況や場所によっては驚異的な能力を発揮します。でも、一個体の生物が出来ること少ないです。ですが、魔法にはある程度条件を付け足すことができるのです。」


「付け足す?」


ファンタジーではあまり聞かない言葉に、目を丸くする。


「例えば、一定時間一つの属性だけを使い続けると、魔法の威力が少しだけあがるとか、一定の位置からしか打てないなどちょっとしたことを付け足せるのです。」


「本当ににちょっとですね。」


「はい、ですが。組み合わせによっては、とても大きな能力を発揮できるようになります。」


 その言葉に私は少しだけ嬉しくなった。もしかしたら、私は私なりに強くなれるのかもしれない。


「トルテさん、ありがとうございました。」


「いえ、お役に立てて何よりです。」


 笑顔のトルテさんに見送られながら、私は自分の部屋に入った。ごそごそと引き出しから紙を取り出すとペンを片手に、付け足す能力をひたすら書き綴った。


 付け足す。私の予想が正しければ、ある一定の法則性にしたがって行けば、失敗することは無いはず。付け足す時の方法は聞かずに出てきてしまったけど、今は私にできることをしたかった。


 色々と考えを書き殴っているとふと思った。まるで料理みたいだと。料理の時もそうだった。どの材料と組み合わせれば美味しくできるか、どれを変えれば良いものになるのか。組み合わせをいくつか考えて、それを作って味見をしていた。


「よし!」


 料理の時の様に、沢山の紙にビッシリと組み合わせを書き込んだ紙を持ってトルテさんのところに向かった。


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