第三十八話 大型モンスター討伐
そんなわけで私は、いまだに泣いているアクアさんと眠っているロランさんと、ロランさんを運んでいるノエルさんの四人で、デッドケンタウロスの討伐に来ています。チーム名は魔王と仲間たち、パーティの状況を一言で表すなら、心配。私ならそう判定します。
だって見てくださいよ。このメンバー、魔王の幼女に、泣いている青い髪の中性的な顔の魔王の部下と、眠っている水色の髪の女の子っぽい魔王の部下と、それを運んでいる魔王の部下の紅い髪の青年。
誰がどう見ても、親戚の集まりくらいにしか思えません。
「アクアさん討伐に行くんでしょう?もう泣いてちゃだめですよ。」
傷口に触るのは、やめとこうと判断して、軽くポンポンと手を撫でた。今の私のサイズだと、このくらいの場所にしか届かない。これじゃ、どっちが子供なのか分からないと、呆れながらも、あれ、なんか今の自分大人っぽくなってる。ということを思い、少し高揚感を感じた。
「zzz」
「ロラン、流石にモンスターが来たら起きてね?」
「zzz」
「おきてよ?」
ロランさんは一向に起きる様子は無かった。
何気なく遠くの景色を眺めてたら、何やら変なモンスターを見つけた。茶色い人馬?のようなモンスターだった。髪は茶色くて肌の色は真っ黒、まるで漫画の様なムキムキな上半身、それに加え手には大きな弓を構えてこちらに攻撃を放とうとしていた。
「アクアさん茶色い人と馬が合体したようなモンスターが弓を撃とうとしてます!」
私が必死に叫ぶと、隣でアクアさんとノエルさんが驚きの声を上げた。
「それがデッドケンタウロスだ!」
「ロラン敵が来たよ!起きて!」
「zzz」
「ロラン!!」
私とアクアさんを超えて、デッドケンタウロスの放った弓矢はロランさんを狙っていた。ロランさんに当たる!?私は、思わず硬直くして動けなくなった。
「後で文句言わないでね。」
ノエルさんはチッと舌打ちをすると口から炎を吐き、飛んできた弓矢を燃やし尽くした。こっちにも火の粉が飛んできたけど、アクアさんが水の魔法で防御してくれていた。
「ヒュー!相変わらずすげえなお前のブレス。」
良い物を見たとばかりに上機嫌でアクアさんが茶化す様に言った。
「まあ、これでもドラゴンだからね。」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、ノエルさんは威嚇するように口から炎を吹いた。
その挑発に乗るかのように、デッドケンタウロスがこちらの方向に向かって走ってくるのが見えた。あまりのスピードに煙を巻いている。馬の四本足でズドンッとこっちに猛スピードで近づくと、一段上の地形に居た私たちと同じ段に来るためなのか、およそ二メートルはありそうな場所を走る勢いに乗って、跳びのってきた。
「もしかしていきなりピンチですか?」
至近距離の上、目の前で弓を構えられて、私の心臓はバクバクと高鳴っていました。




