二度目の墓参り
ショッピングモールを後にし…裕二の車に乗り…ある場所に向かっていた。その場所に向かっている最中裕二とこんな話をして笑っていた。
「つい二ヶ月前にしたばかりなのにな。墓参り。」
「ああ…そうだな。まぁ…良いじゃないか?アイツの…祐介の事を一番気にかけていたのは…僕と裕二…君だけなんだから。」
そう会話を繋げた直後…裕二は横目を見て僕に視線を送りこんな反論を口にする。
「いいや!全員で心配してただろうか!?全く…忘れちまったとは…言わせねぇぞ?」
僕のとんでもないブラックジョークにまともに反論してくれる人がまだ居る事にありがたみを持ちながら…僕は微笑み…こんな言葉を口にしていた。
「あはは…冗談だよ…冗談。恭太郎もあの時のメンツなんだ…しっかり覚えてるさ。」
裕二は笑いながらも真剣な表情で…僕の口から出た…変な冗談に対してまた一つ…言葉を零す。
「だよなぁ!?病気なのは分かるが…頼むから…廻?バカにはなるんじゃねぇぞ?」
そんな頼み事のような…裕二の言葉に僕は…なんとも言えない乾いた笑みと…一つの返事しか返せなかった。
「……ああ…善処するさ。」
この時裕二の口から出た…頼み事のような言葉に続いて「お前までおかしくなっちまったら…俺…どうにかなっちっまうからよ…」と小声で呟いていたのを…僕は見逃さなかった。
裕二の運転する車に揺られ…30分は経過した頃だろう。僕ら二人は祐介が眠る霊園に…また訪れていた。辺りは夕暮れで紅く染まりつつある中で僕らは薄暗く不気味な霊園の入り口をくぐる。
「……ふぁ〜…毎度通る時思うが…ココおっかねぇよな…「月下霊園」だったけ?ここ絶対…肝試しとかで来る奴とか普通にいるだろうよ?なぁ…廻?」
そう言い…中に入った裕二に僕は、真面目に反論してから少しからかうかのような発言をしてみた。
「おいおい…一応ココには人が眠ってるんだぞ?もう少し言葉を考えろよ…それに……あんまりそんな事考えてると…本当に見えてしまったらどうするんだ?」
と…こんな僕の発言におそらく裕二は怯えないと思う人も居るだろう。だが…コイツはガタイいい癖して…ホラー耐性は全くと言っていい程…無い。そんな奴が…僕のこの言葉を聞いたらどうなるかは…目に見えていた。
「あっはは…いやぁ〜廻君?馬鹿な冗談はよせ?そ…そんな事…あるわけないだろ?」
平然を装う裕二だが…額や首筋に浮き出てる汗が全てを物語っていたので…もっとからかってやろう…そう思い…しまいにこんな事を僕は口にした。
「あっ…裕二の後ろ…誰か居る…。」
そう言い…後ろを素早く振り返る裕二に僕は「冗談だ。」と伝えると通りゆく後ろが騒がしい。全く…今は冬…そんなモノの時期ではないのに…気にするバカなんだな…とため息をつき口角を上げる。
「おいっ!待てよ廻!今日のお前意地悪だそっ!変な冗談やめろってっ!」
そうこうしているうちに…目的の場所に僕らは着いた。そうして…そこで…覚める事のない眠りについてる友の名を…僕は口にした。
「やぁ…久しぶり…いや…二ヶ月ぶりだな…祐介。」
僕は持ってきたカシスリキュールの瓶のフタをひねりながら…もう居ない友へこんな言葉をかける。
「僕がココに来た…って事はどうゆう事か分かってくれるだろ?お前なら…今日はそれを伝えに来たんだ。だからさ…一緒に飲もうぜ?」
その言葉と同時に「キュポッ」と乾いた音がカシスリキュールの入った瓶から響く。蓋が空いた音だ。僕は裕二に持参したグラスを持ってもらい…そのグラスにカシスリキュールを注いだ。「トプトプトプ…」と音を立て…注ぎ込まれるカシスリキュール…その色は…今の夕焼けとは対照的で…暗い夜を連想させるかのような黒色に染まっていた。僕はそんな酒が注がれたグラスを…友の…祐介の墓にコツンと…接触させてその酒を口にする。なんの変哲のない…友人との…親友との会話を今から楽しむ所だった。
「あれから色々考えたんだ。今の僕に出来ることを…祐介?君は…僕らに書いた手紙にこう書いたよな?「二人とも幸せになってくれ」って…生憎と…残念ながら僕ももう暫く生きたら…そっちに逝く身になってしまった。だから幸せになんかなれない。ごめんな…祐介。」
僕のそんな言葉に返ってくるのは…風で草木が揺れる音と車の走行音だけ…それでも僕は気にせず会話を続ける…いや…はたから見たら独り言のようなものなのだが。
「だけど…琴葉は…琴葉だけには幸せになって欲しい。彼氏であるお前には申し訳ない事を言うが…本当は僕も琴葉が好きだった。でも…僕は君の心の内を聞いた「琴葉の事が好きでさ…」って…だから僕は君に託した。でも…もうそんな君はもう…この世には居ない。僕も本当は琴葉の事を幸せにしてあげたい…でも…もうそれすら叶わないんだ。ガンでさ…全身に転移してて…助かる見込みが無いんだ…でも…それでも…僕がそっち行くまでに琴葉を幸せにしてみるからさ…それまで…見守っててくれないか?今の僕が出来る事を口に出した事は絶対やってみるからさ…頼むな…祐介。」
そう言い終わると…いつの間にか車の走行音は消え…風が草木を揺らす音だけになった。そんな中…僕は残ったカシスリキュールを口に含み…飲み込み…一つ寂しけな声とも捉えられる様な声でこの言葉を口にして…その場を後にした。
「またな…相棒。」
そうして裕二と二人…車に戻った。車に入った瞬間裕二がこんな質問を僕に投げかける。
「伝えたい事は伝えてきたのか?」
僕はその言葉に首を縦に振り…出し切ったかのような笑みを裕二に見せる。そうすると裕二からこんな誘いが来た。
「なぁ?廻?今日飲みに行かね?もちろん…俺が出すからよ…な?」
その誘いに僕は微笑みながらこう返していた。まるで…未練の無いのうな…そんな笑みで。
「そりゃ喜んで!」




