懐かしの休憩時間
練習開始から三時間が経過した時だろう。まだ僕の部屋からは、エレキギターやドラム…エレキベースやエレキボードの音が響く。裕二は息を切らしながら…恭太郎はストレッチをしながら…琴葉は…眠たい目を擦りながら…僕は、疲れきったメンバーにこう告げた。
「よし…この一回が終わったら…二時間休憩しよう」
そう言い全員気合いを入れまた…楽器を構えた。僕は足でメトロノームのような事をした後一斉に楽器を鳴らし…僕は歌った。
「あれも欲しい!これも欲しい!もっと欲しい!もっともっと欲しいーっ!」
ようやく本領発揮出来るそう思った時だった。
ギュインッ!
そんな音が隣から響く。その音がなった後琴葉が申し訳ない顔で
「すいません!間違えました…」
三時間やってるんだ…無理もない僕はギターをスタンドにかけながら
「ちょっと休憩しよう。紅茶入れてくる…琴葉はアップルパイの準備を」
そう僕が言った後少しだけ落ち込んだ琴葉の声が聴こえた。
「うん…やっとくね…えへへ…」
紅茶を入れ終わり…また部屋に戻ってきた後僕含め四人で休憩時間を過ごした。途中で琴葉が寝てしまったが…僕が琴葉の寝顔を微笑ましく見ていると、裕二はこう言った。
「ホントに彼女じゃねぇの?俺は琴葉ちゃんとおめぇさんお似合いだと思うがね…」
そう言った裕二に僕は静かに微笑んで答えるしか出来なかった。
「あ〜…琴葉は隣の家の子でさ…祐介の…彼女だったから」
そう言った後裕二と恭太郎は二人揃って驚いていた。祐介に彼女がいることを知らなかったみたいだ。祐介はあまり自分の惚気話は、しないからな
「マジか!祐介なんで言っくれなかったん…」
そう裕二が言った後恭太郎も驚いていた。
「そうだったのか…祐介……ま!仕方ないよな」
そう言った後裕二は考え込み僕に、質問してきた。おそらくずっと頭の中で引っかかってたんだろう。
「にしてもよ…琴葉ちゃん…ベース上手くねぇか?祐介が教えてなのか?廻?」
そう裕二が言った後恭太郎も同じ事を言っていた。
「確かに…「初心者です」って言う割に上手いんだよなぁ…」
僕は知らないふりををしてこう言った。
「さぁな…祐介のを見て盗んだんじゃね?」
僕はそう言いアップルパイを口に含んだ。さすがに、1週間前の事を二人には話したくなかった。なぜなら…僕も睡眠時間を削って…琴葉とある事をしていのだから。
時は一週間前まで遡る。琴葉をベーシストとして誘ったと同時に僕らは一週間夜通し練習をしていた。僕の部屋には、エレキギターとエレキベースの音と僕らの話し声だけが響き渡っていた。練習期間中琴葉からこんな質問がきた。
「こんなにも練習をする必要ってあるの?」
その質問に対する回答はこれだった。
「ああ…必要なんだ」
僕はそう言いギターを弾いた。そんな僕に、おそらく琴葉は呆れていたのかもしれない。でもそれほど熱心にやりたかったのだ。ギターもこうやって誰かにエレキベースを教えるのも…夜の七時から夜中の三時までひたすら練習した。実際毎日眠気の中で日中を過ごしていた。それはおそらく琴葉も同じことだろう。だから弾き間違えたり…演奏途中で眠くなるのも無理は無い。
そして今に至る。僕は今休憩時間中に仮眠をとっている琴葉を見て微笑んでいた。そんな僕に裕二は少しニヤついた顔つきで僕にこう言った。
「なぁ…琴葉ちゃんってよォ…祐介の彼女なんだろ?」
僕は裕二に振り返りながらこう言った。
「ああ…そうだ祐介の彼女であり…僕と祐介の幼なじみでもある」
そう返答しながらまた琴葉の方へ振り返りながら裕二に言った。
「それがどうした?なんか変にニヤついた顔して…」
そんな事を言った僕に対し裕二は微笑みながら僕にこう言ったいや…助言したと言った方が正しい。
「んならよ…二人だけで旅行とか行ってきたらどうだ?祐介も多分だけどよぉ…二人で楽しんでるとこを見て微笑んでいると思うぜ!」
そんな裕二の言葉に僕はまるで否定的な意見を言った。
「生憎と…僕はただの幼なじみでしかない。琴葉にとっては…祐介は幼なじみであり彼女なんだよ。僕では無い。」
そう言った僕に二人はこう言ってくれた。特に裕二はバカにでかい声で
「んなこった言ってよぉ…後悔しても遅せぇんだぜ?だからいいんじゃねぇか!な?行ってこいよ!」
恭太郎は裕二と違い静かにこう言った。
「確かに琴葉君にとっては…幼なじみだろうけど…今は君も特別な存在なんじゃないかな」
僕はそんな二人に僕は溜息をつきをつきながらこう言った。
「……考えておくよ」
次の日橋の上で景色を眺めながら写真を撮っていた。車が通るたび橋は小さく軋むその音がまるで一つの歌を奏でるように聞こえた。
「綺麗な景色だ…うん…周りの音も美しい」
そんな言葉を零した後後ろから僕の名前を呼ぶ声がした。
「おーい!迴」
聞き覚えのある声に僕は振り向きながら声をかけてきた相手に向かい
「おはよう…裕二…恭太郎」
僕は二人に笑みを浮かべながら二人に返答した。その後僕達は橋の上で会話をする。裕二は僕達のバンドについて提案してきた。
「なぁ…俺らこのままじゃ「名無しのバンド」じゃねぇか?」
そう考えると確かに名無しのバンドになる。確かにこのままだと素っ気ないバンドだと後になった時に名が残らない。僕はその時に口に含もうとしたアップルパイを見返してこう言った。
「あ…そいえば…林檎の実の花言葉って…「後悔」と「誘惑」じゃなかったけ?」
僕がそう言葉を零すと裕二も恭太郎もキョトンとした顔をしながら僕に質問してきた。
「あー…いきなりどうしたんだよ?」
「そうだよ…廻らしくないじゃないか」
その二人の返答に僕は一間置きまた言葉を放つ。まるで二人なら分かってくれるかのように
「まだ分からない?」
そう言った後二人はハッと息を飲むように僕に言った。
「まさか……お前」
「確かに…僕らはパフォーマンスも売りにした。だけど「後悔」は当てはまらない。」
恭太郎がその言葉を零した直後裕二は溜息をつきながら恭太郎に言っていた。
「違ぇ…アイツは「後悔」ってのは自分に当てはめるつもりみてぇだ。」
そう裕二が説明すると恭太郎も納得した表情をした。そりゃこのメンバーなら…誰でも戸惑うだろう。僕は二人を説得した。こんな名前が良いと。
「TheApple humanって名前良くないか?確かにこれじゃ…ただ皆に僕のエゴを押し付けてるようなもんだが…」
そう言って僕はまたアップルパイを口に含んだ。その後に裕二が返答をしてきた。
「いいじゃねぇか!な?恭太郎」
裕二は満面の笑みを浮かべてその言葉を零す。それにつられ恭太郎も
「まぁ…廻が決めたことだから……ホント良いセンスしてるよ」
そう言い裕二と恭太郎は僕の家に向かうことを僕に告げた。
「道具とかの準備…先にしてるぜ」
そうだこれから練習をしなくてはならない。でもその前に僕は行くところがある。
「スーパー行って夕飯の材料買わないとな」
そう言いその場を後にした。しかしなんだろう…嫌な予感がする…気のせいだと良いが




