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林檎の実と僕の後悔  作者: 穂先ロア
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欲という気持ち悪さ

夕日が沈み辺りが暗くなり始めた十八時。私は佐久間さんと二人電車に揺られていた。隣同士で、座っている為…私は少しばかり緊張していて…ずっと喋れずにいた。ガタンゴトン…と電車の走行音だけが車内に響くだけで後は何も聞こえない…そう思った時に佐久間さんが一つ私に質問を投げかけた。

「あ〜…そいえば前から思っていたんだが…小夏君…君笑顔が素敵だ…そう言われた事は無いかい?」

その質問に私は、恥ずかしさと…どう言おうかとちょっとした困惑で頭が一杯になったが…母親に言われた事を、今でもうる覚えだが…覚えているので言える範囲で言う事にした。

「あー…母に言われてたんです。「侑李は笑顔が良く似合う」って…それを信念にしてるだけですよ。」

そう答えると佐久間さんは、笑顔で言っていた。まるで夜空に浮かぶ朧月のように笑いながら…

「ほう…良い母親じゃないか…そんなお母さんの子だ。そりゃ…小夏君みたいに明るくて…優しい子が出来るわけだ。」

私はその言葉に苦笑しか出せなかった。私は視線を落としながら佐久間さんにこんな言葉を言っていた。

「アハハ…いつか…会えると良いですね。」

そうだ。私は今母親と過ごしていてない。高校卒業する少し前に家を出ていった…そう姉は言っていいる。でもそれを、佐久間さんには言えなかった。だから私は苦笑いで隠した。そうして二人で他愛のない会話をし続けていると…電車のアナウンスが聞こえた。

「次は…朱雀…朱雀。お降りの方は…」

と…どうやらもう目的地に着いてしまうようだ。私は自分には似合わない赤いドレスのスカートを、少しなびかせながら席を立った。

「後五分ぐらいで目的地です。何時でも出れるようにしておきましょ。」

そう言いながら私は佐久間を見つめていた…いや…監視していた…と言った方が正しのかもしれない。でも佐久間さんは…私の予想とは違った。普通なら…こんな色っぽいドレスなんて着ている人なんか…そうそう電車に乗らないはずだ。だから大体の人は私の足元を見ていた。でも…佐久間さんは私の顔から目線を外さなかったのだ。

「ああ…そうだな。そろそろ立っておくか。」

人の目線の向きで人間性を決めていた自分が…なんだか愚かに見えてきた。

「足元とか見ないんですね…」

ボソッと無意識に出た言葉を佐久間さんは聞いていたのかこんな質問をされた。正直聞こえていないと思っていた。

「どうして??」

そんな反応が佐久間さんの口から出ていた。どうやら佐久間さんには聞こえていたらしい。私は焦りながら言葉を紡いだ。

「えっ…えーっと…ほらこんな色っぽい偽りの姿なのに…佐久間さん…顔しか見てないですもん。足元とか…太腿とかも…服の構造上ちょっと見えるのに…って何言ってんだろ…私…」

そう言った後私は視線を落としていた。泣きたくなった。なんでこんな事私がしなくきゃいけないのだろうと…気を落としていた私に、佐久間さんはこう言葉を零した。

「例え偽りの姿でも…君は君だ。外観がそうでも…君は君を出せばいい。それが人としての生き方なんじゃ無いかな?」

その言葉がどれだけ胸に刺さっただろう…私は少しばかり震える身体を抑えながら一つ一つと言葉を口にした。

「ありがとうございます…あの…佐久間さんって…優しいんですね…」

その言葉が出たと同時に私達は目的地に着いていた。


繁華街の駅に着き…駅から出た後私達はそれぞれの場所へ足を向けた。

「と…ここまでですね…ありがとうございました。」

私がそう口にすると佐久間さんは、電車に乗っていた時より少し明るい表情を見せながら私に言った。

「ああ…帰りも一緒に帰れると良いな…また会おう。」

その言葉が聞こえたと同時に私は歩を進ませた。ある程度時間が経った時だろう…繁華街の裏路地に入って行き…ゴミ置き場で立ち止まりこう言葉を告げた。

「……来ましたよ。早くしてください。」

その言葉を言った直後ふくよかな…いや…ふてぶてしい見た目の中年男性が出てきた。その人物は私に近づくなり愚痴のような言葉を吐く。

「遅かったなぁ…小夏。」

身震いをしながら何とかその場を耐える私は…おそらく真っ青な顔色になっている事だろう。この人物は私の職場…いや…元職場のと言った方が良いのかもしれない…の上司だ。遠江先輩が辞めた後から色目を変えて私を見ていた。それに耐えれなくて…私は行かなくなったが…佐久間さんが寝不足で倒れ…自宅に入れていいる所を見られていたのだ。それから…ずっとここに私を呼び出しては…脅迫し…ふしだらな事をしてくる…正直嫌だ。

「……別に…貴方の為に時間を割いてる訳では無いですし…いつまでこんな事をやってるんですか?貴方は自分の立場をお分かりで?」

顔を近づけ…鼻息を当ててきた上司は…私がそう言うなり私の着ている服の後ろに手を置き気持ちが悪くなる言い方でこんな事を言ってきた。

「あれぇ?…ダメじゃないかぁ…俺は君より上の人間なんだよぉ?さぁ…今からお仕置きしなきゃだねぇ…。」

ジィーっ…そう私の着ていたドレスのファスナー開けてきた。

「さぁ…お楽しみは…これからだよ。」

そう言い開けたファスナーに手を入れてきた上司。その感触は正に不快だった。欲というものがまるで身体にまとまりような気持ち悪さを感じた。そして…

「ああ…もう少し…後少しで…」

そう言い開いたファスナーから伸びる手が胸に到達する瞬間だった。 ぴっぴっ!かしゃっ!…そんな音と同時に後ろから明かりが灯った。

「なんだ!?」

上司がそう言い…後ろを振り向いた直後だった。聞き覚えのある声が聞こえる。

「あらら…そんなところで盛んでるんですかね?そういうのは猫だけにして欲しいですよ。」

上司は激昂しながらその声の主の元へ向かった。その後二人の言い争う声が聞こえたが…ある言葉が出てきたと同時に声が複数人に増えた。

「あー…すいませんね。交番が近かったもので…」

その後上司が私の元へ帰ってくる事は無かった。そして私は警察と声の主に保護された。まぁ…声の主が意外な人物だったが…

「大丈夫か!?小夏君!?」

そう証拠になる様な写真を後ろから撮り…上司と言い争いをして…警察に通報した…その声の主は…佐久間さんだった。その後保護された交番で取り調べを受け…帰路に着こうとしたが…その後事を私は覚えていない。

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