連邦国との国境へ。
大変お待たせしました。
いよいよ連邦国へ攻め入るノアたち。
ぜひお読みください!
王都ゼルフェリアの南門。
朝日が城壁を黄金色に染めていた。
城門の前には、多くの人々が集まっている。
騎士団、冒険者、補給部隊、そして、ノアたち。
全員が揃っていた。
ユウトは剣の柄を軽く叩く・
「準備はいいか?」
「もちろん」
ノアは短く答え、その隣でオルフェリアが緊張した面持ちで立っている。
初めての敵国、初めての本格的な遠征、それでも瞳に迷いはなかった。
「オルちゃん」
「はいっ」
「怖くなったら後ろに下がるんだよ」
ノアが言う。
だが、オルフェリアは首を横に振った。
「下がりません」
予想外の返答だった。
「わたくしも戦います」
ノアは驚いた顔をした後、小さく笑った。
「そう」
その様子を見ていたユウトも微笑んだ。
「姫様も成長したな」
「もう子供ではありません」
オルフェリアが胸を張る。
その言葉に周囲から笑いが漏れた。
やがて城門の上からラッパが鳴り響く。
出発の合図だった。
フウカが地図を確認する。
「国境までは三日」
「途中で二度野営します」
リアナの肩とナツメの肩には、ハヤブサがそれぞれ乗っている。
ナツメの肩に乗っているハヤブサ君が、大きく羽を広げた。
連絡役として同行していた。
リアナが荷物を確認し、フィオナとエリナも頷く。
ゴルドは大盾を背負い直し、セリナは剣を肩に担ぐ。
セレスティアの三人は緊張した面持ちで、じっとノアを見つめていた。
「いよいよだ」
ノアは城門の向こうを見つめる。
その先にあるのは連邦国。
そして自らの復讐。
誰かに命じられた戦いではない、自分で選んだ道だ。
刀の柄を握る。
静かに息を吐いた。
「行こう!」
その一言で全員が動き出す。
王都の門を抜ける。
復讐の旅が、今始まった。
王都ゼルフェリアを出発して二日。
一行は街道を南へ進み、連邦国との国境を目指していた。
先頭を進むのはノア率いる勇者パーティー。
ノア、ユウト、ナディア、ウキ、ゴルド、リアナ、フィオナ、エリナ、オルフェリア、そしてフウカ。
その後ろにセリナ率いるローズスパイラルの4人と新人のセレスティアの3人。
少数精鋭の部隊だ。
その約2キロ後方に王都から派遣された騎士団が街道を進軍している。
万が一先遣隊が敵と遭遇しても、本体がすぐに援護に迎える距離だった。
「本体との距離およそ2キロです」
フウカが地図を確認しながら告げる。
「この速度なら日没前には野営地に到着します」
「さすがフウちゃん」とノアが笑う。
フウカは少しだけ目を丸くした。
「その呼び方定着したのですね」
「嫌だった?」
「いえ、悪くありません・・・」
ウキがその横で吹き出した。
「フウちゃん、ちょっと照れてるっす!」
「照れてません!」
「耳が赤いっすよ!
「気のせいです!」
一同から笑いが漏れる。
張り詰めた空気が、少しだけ和らいだ。
日が傾き、辺りが茜色に染まり始めた頃、一行は川辺で野営の準備を始めた。
焚き火に火が入り、香ばしい匂いがあたりに漂う。
オルフェリアは興味深そうに炎を見つめていた。
「野営というのは初めてです」
「王宮じゃ経験できないからな」
ユウトが笑いながら肉を焼く。
ノアが焼きあがった肉の串を差し出した。
「ほら」
「ありがとうございます、お姉さま」
一口食べたオルフェリアは、思わず笑みをこぼした。
「とてもおいしいです」
「王宮の料理よりも?」
セリナの問いにオルフェリアは少し考える。
「味は違います。でも、皆さんと食べるこちらの方が好きです」
その言葉に、しぜんと笑い声が広がった。
ハヤブサが空から舞い降り、ノアの肩へ止まる。
次にオルフェリア、ユウトと飛び移り、最後はウキの頭へ着地した。
「だからぁオイラの頭は止まり木じゃないっすよおぉー!」
再び笑いが起こる。
戦いの前だからこそ、この穏やかな時間は何よりも貴重だった。
三日目の夕刻。
フウカが足を止めた。
「ノア殿」
「どうした?」
「国境までおよそ一時間です」
全員の表情が引き締まる。
そこへハヤブサが勢いよく舞い降りた。
足には小さな革筒が括り付けられている。
フウカが素早く書状を取り出し、目を通した。
「・・・来ました」
「例の指揮官か?」
ユウトが覗き込む。
フウカが静かに頷いた。
「予定通りです。西側の守備隊は移動を開始。東側の開会は手薄になっています」
ノアは書状を受け取り、小さく笑った。
「ちゃんと役目を果たしたみたいだな」
「裏切る気はなかったようですね」
「違うよ」
ノアは首を横に振る。
「生き残る道を選んだだけだよ」
その一言に、誰も異議はなかった。
ノアは刀の柄に手を添える。
「今夜国境を越えるよ」
静かな声だった。
だが、その瞳には復讐の炎が宿っていた。
勇者パーティーは先行し、その後方で王国騎士団が夜の訪れを待っている。
復讐のために進む者。
王国を守るために進む者。
二つの部隊は、それぞれの使命を胸に、静かに連邦国へと牙を剥けようとしていた。
お読みいただきまして、ありがとうございます。




