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奪われた体とその結末

 数ヶ月後、私とリベートは勇者パーティーがいるという町に到着した。


「……ようやく追い付いたわね……」


「うん……僕ももうヘトヘトだ……」


 男の体に慣れるまで結構時間がかかった、最初はトイレをするのもリベートにズボンからモノを出してもらっていた。


 今?

 余裕で出来ますが。


 早速、門番のおっさんに勇者パーティーについて訪ねてみる事にした。


「門番さん、ここに勇者パーティーがいると聞いたのですが」


「あ? ああ、勇者パーティーか、いるにはいるが……」


 どうにも歯切れが悪い。

 私は少々恐怖心が沸いて来た。


「一体、何かあったんですか?」


「勇者パーティーは魔王にやられて、今は町の病院にいるよ」




 ダダダダダッ




「ロッカ、待って! 待ってって!!」


「うるっさい! 私の体! 酷いことになってたらマジで許さん!」


 叫び、急いで、町の病院に到着する。

 受付のお姉さんの首をガクガク揺さぶって勇者パーティーの病室を聞き出し、私は部屋へと突入した。


「コラアアアア!!クアンザァァァ!!」


 そこにいたのは全身包帯に巻かれて手足がない私だった。

 え、いえ、ちょっと待って……?


「ロッカ……悪ィ……」


 私が口を開くより先にその包帯人間は謝って来た。


「なによ、それ、そんな体になって!!」


「だめだった、全然、敵わなかったんだ……魔王に……」


「そんな事聞いてないわよ!!」


 怒りでどうにかなってしまいそうだった。

 人の体で、一体何をしてくれているのだろうか!?


「すぐ、返すから、キス、頼むよ……」


 にへっ、と泣いているのか喜んでいるのか、よくわからない顔でそんな事を言ってきた。


「いや、クアンザ、あんた……」


「痛いんだよ、全身が痛いんだ! 早く体を返してくれよ!!」


「これは、ひどい……」


 後ろから追い付いて来たリベートがつぶやいた。


「リベート、お前も来たのか!?」


「うん、クアンザ、でも、今は僕の事よりさっきの台詞は流石に酷いと思わないかい?」


「思わねえよ!! 魔王があんなに残酷でクッソ強い女だと思わなかったんだ! あれは化け物だ!!」


「「それには同意……」」


 声のした方を見ると、同じように全身に包帯を巻いた人だった。

 恐らく勇者パーティーの人達だろう。

 数は3つ。

 勇者パーティーはクアンザを入れて5人だと聞いたけど、あと一人は……


「うん、あれは……勝てない」


 ボソボソ喋る女の子が手拭いと桶を持って現れた。

 どこから?


「リミ~~リンゴ食べたい~~」


「ビネタは、内臓がやられてるから、今は回復魔法だけで我慢して……」


「うう~~」


 リミと呼ばれた女の子は私を振り返って「ごめんなさい」と頭を下げた。


「あなたの事は、……さっきの会話で察した……そこの、ガニ股女には違和感を感じてたから、納得」


「そ、そう……」


 やっぱりか、クアンザ。


「さっきのってスキル……?」


 リベートが興味深そうにリミという女の子に話かけた。


「そう、あれは《踏破転移》……一度でも足を踏んだ事のある場所に転移出来るスキル」


「へぇ。僕の《認識転移》と似てる、と、いうか上位互換……!?」


「認識転移は知ってる。確かに、用途的に踏破転移の方が便利だとは思うけど、認識転移のが使える場面もある」


 と、そこでリミという子は言葉を切って、私をじっと見つめるた。


「な、何……?」


「……うん、可能性が、あるかもしれない」


「可能性?」


「ちょっと、三人で話そう……」


「い、いいけど、僕も……?」




 病院の裏。




「まず、自己紹介します……私は冒険者パーティーの一人、リミ。スキルは《踏破転移》……効果はさっき言った通り。私だけ無事だったのは魔王の超魔法から、うん、……なんとか逃げたから」


「僕はリベート、スキルはさっきの通りで、ロッカとクアンザとは幼なじみ」


「私はロッカ。今の体は男だけど、本当は女。さっき病室にいたクアンザが本来の私の体。スキルで《剣聖》貰ったもんだから、クアンザの《ファーストキス》ってスキルで体を入れ替えられたのよ」


「……うん、そこで、ロッカ、あなたに提案がある」


「提案?」


「魔王の体、奪ってみない?」


「ええっ!? ……いや、そんなの無理でしょ、勇者パーティーが負けるような相手にキスするの?」


「それは、出来る。私と……彼、リベートのスキルがあれば」


「ああ、なるほどぉ!」


 リベートは理解したみたいだけど、私はさっぱりだ。


「君のスキルで魔王の所に行って、僕のスキルでロッカを魔王のとこに飛ばすんだね?」


「正解」


「いやいや、なによ、それ! 私は次キスしたらもう戻れないんじゃ!?」


 そもそも魔王はファーストキスなのだろうか?


「そこは、大丈夫、調査済みだから。それにロッカ、あなたの体の欠損はもう戻らない。戻りたい?」


「そんな事急に言われても……」


「魔王はダイナマイトボディな上、もし体を取ったら色んな魔法も使える」


「え~……」


「今回の襲撃で魔王は正攻法では絶対勝てないと分かったから……決断して、ロッカ」


 決断って言ってもねえ。

 魔王の体になるの? 私が?

 確かに、こんな男の体より魔王とは言え女の体のがいいし、なにより元の体は酷いありさま。

 だったら……


「わかったわ。その案に乗るわ、リミ」


「ふふ、ありがとうロッカ」


「それで、いつ実行するんだい?」


「もちろん、今よ」


 私達3人は早速作戦実行に移った。




 ◇




 闇が支配する魔王城に、その女性は居た。

 圧倒的美貌と豊満な肉体、そして強力な魔力。

 彼女こそ歴代最強の魔王と言われたゼルリアであった。


「ふっふ。妾の圧倒的魔力の前に涙目敗走しよったな、勇者パーティーめ……」


 彼女は数日前の勇者パーティーとの戦いにご満悦であった。


「はぁ、ついに妾の最強魔王伝説が始まるのか……これには妾もうれションしてしまいそうじゃ……」


「いや、うれションて……」


「ーーーー!?」


 彼女の高笑いは何者かに口を塞がれる形で止まってしまう。


「……ごめんね」


「な、なんじゃあ!? 妾のボディがクソのような人間の男にーーーー!?」


 1日にして最強魔王の伝説は終わりを迎えた。




 ◇




「成功したわね……」


「……ぐっじょぶ」


「お疲れ様」


 私達三人は町へと帰還した。


「さて、それじゃ私は村へ帰るわ」


「僕はリミと魔法について語らってから帰るよ」


「ふふ……リベート、今日は朝まで寝かさないわよ」


「……ごちそうさま」


 いつのまにやら仲良くなっていたリベートとリミは宿へと歩いて行く。

 それを見送っていた私は周囲の視線が自分に向いている事に気付いた。


 圧倒的肉体美にレオタードのような衣装。


「うん、これは、目立つわね」


 バサッと翼を広げて空を飛ぶ。

 感覚で理解出来る。

 この体なら何だって出来ると。


「でも、まずは寝たいわね」


 何が出来ようと関係ない、私の幸せはゆっくり寝る事だから。

読んで下さってありがとうございました!

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