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勇者に封印された魔王なんだが、封印が解けて目覚めたら海面が上昇していて領土が小島しかなかった。これはもう海賊を狩るしか——ないのか!?  作者: 小椋正雪
第十章:縦海の大海戦

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第二四一話:追討戦、開始!

 どんなに周到に用意し、圧倒的な兵力差を確保できたとしても、戦況というものはひっくり返ることがある。

 俺自身の経験談だが、戦略を三回連続で誤ると、それは起こりうる。

 すなわち、

・勇者という存在を軽視し

・既存の戦略・戦術を見直さず

・最終決戦を回避しようとしなかった

 我ながら情けない話だが、このうちどれかひとつでも対策していれば、我が魔王軍は戦況をひっくり返されることはなかった。

 では、今回のタリオン軍はというと、

・空を飛べるという特性に対し、対策されることへの対応を怠っていた

・こちらが荷電粒子砲に対策している場合の対応を怠っていた

・自分たちの優位性を覆されると思っていなかった

 といったところであろうか。

 あれだけいた白の七八の量産型とおぼしき機動甲冑も、それがもたらす荷電粒子砲の槍衾も、対策されてしまえばその真価を発揮することは出来ず、唯一完全に凌駕していたはずの航空戦力も、決戦前に俺達にさらしてしまうという愚を犯した上に、こちらが同等の戦力を保持するかもしれないという想定と、その対策を怠っていた。

 何より一番の問題は、俺が犯した愚と同じく()()()()()()()()()()()()()

 青の〇一〇の行動全般が、良い例だ。

 だが、それが少し引っかかっている、俺である。

 タリオンほどのものが、俺と同じ愚を犯すであろうか。

 たしかに、人間に対し俺よりも憎悪が深かったタリオンである。

 しかし同時に、俺よりも洞察力に優れ、魔力はともかくその使い方に関しては、俺よりも一日の長があるタリオンではなかったか?

 どのみち、それを確かめに行かなくてはならないだろう。


「全艦隊、被害の状況を」


 クリスの指示をアリスが通信機で伝える。


「全艦隊から返答来ました。小破5、中破3、大破0です。各艦隊の内訳は――」


 アリスの報告に、クリスは、一度だけ頷いた。


「全艦隊に通達、これより追討戦に移ります」


 ここで退いて、タリオンの軍を再建させるつもりはない。

 それがクリスの、そして船団アリスの艦隊総司令官としての意思であった。


『そりゃあいいんだけどよ』


 通信機から直接、エミルの声が響く


「あいつら、どうすんだ」


 ……んん?



■ ■ ■



「そもそも」


 機動要塞『シトラス』の小会議室で、リョウコが眉間にしわを寄せて訊く。


「彼らの扱いはその――捕虜なんですか。それとも、鹵獲になるんですか」


 俺が封印される前も鹵獲という概念はあった。

 むしろ、魔王軍の機動甲冑がよく鹵獲されたものだ。

 それらは魔力がないと動かないため、人間は蒸気機関を無理矢理組み込んで動かしていたのを思い出す。

 なお、あの忌々しい勇者は気合いとかいうもので動かしていた。

 気合いとはなんだ! 気合いとは!

 ――閑話休題。


「捕虜……だろうな」


 俺の発言に、全員が安心したように息をついた。

 鹵獲である場合、あれを動かせといわれたら困るであろうことがひとつ。

 もうひとつは、雷光号や紅雷号四姉妹の待遇を考慮してのことだろう。

 現に各元帥の後に控えている四姉妹は、どこか嬉しそうであった。


「んじゃ、ふんじばってるあいつら、どうするん?」


 と、ニーゴが訊く。

 その場で擱座した青の〇一〇、そして一度墜落して再浮上した際に包囲された青の〇〇六は現在、機動要塞『シトラス』の船渠に武装解除の上、錨に使う大鎖(おおぐさり)――いうまでもないが、雷光号や紅雷号四姉妹と同じ素材のもの。でないと引きちぎられるので――でぐるぐる巻きにされていた。


「捕虜とするならば、拘束をある程度緩める必要があるが――」


 席を立ちながら、俺。


「まずは、会話をしてみるか」


 彼らが今の立場に甘んじられるか。

 そして、タリオンの本拠地の場所を話せるか。

 できれば、残存兵力などの情報も得たいが――。

 それにはまず、対話が必要である。

 タリオンに仕えている以上、彼らも一筋縄ではいかないだろう。

 うまくいくと、いいのだが……。


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