龍乃牙編 4
幽霊の彼女は私にしか見えていないようだ。
地縛霊だったのを私に憑かせるようにして、連れていけるようにした。
そもそも、彼女は名前を忘れているようで、何者かすらわからないようだ。
ということもあって、私は一緒になって探していたりする。
もちろん、授業がないときだ。
今日は、彼女がいた手野駅前の広場にやって来ての話だ。
不審がられないように、私はイヤホンをして、誰かと携帯で話しながらしているようにしている。
「それで、どこから来たかって覚えてる?」
「覚えてない…」
なんども同じ質問をしているから、それは分かっている。
「じゃあ、とりあえずここで何を感じる」
迷子になったら原点に戻る。
私が昔、迷子によくなっていたから学んだことだ。
「うーん。誰かを待っている感じかな」
「待ってる?」
「そう、待ってる。誰かわからないけど、待っていたような気がする」
その想いが、彼女を地縛霊と変えさせたのだろう。
とはいうものの、何を待っていたかがわからないと、話は進まない。
この市内や駅前をウロウロしてていると、手野グループ本社ビル群へといた。
駅から卍の方向に伸びる8つの高架通路は、少しだけ曲がっていた。
その第3ビルと第4ビルの間に、その祠はあった。




