2:その節はどうも……
月明かりを頼りに平原を歩いていると、
「師匠……野営をして朝を待ちませんか?」
メーディアが珍しく弱音を吐いた。
「なんだメーディア、夜は苦手か?」
「まあ、その……。魔獣たちも活発になりますし」
俺はそれを聞き、ほくそ笑んだ。
「良いんだよぉ~メーデー、宮廷に戻ってもらっても~。宮廷魔導士と言っても、やっぱり女の子が夜道を歩くのは辞めた方がいい。さあさあ、俺のことは気にせず戻りたまえ~。あ、その前に俺の風呂敷袋返してね」
そういうと、「カッチ―ン」と彼女は言って俺を軽蔑するように見た。
そして、持っていた杖を天に向け――。
「時空転術――――『7時間』」
彼女がそう唱えると、時空が歪み――。
天体は急速に動き出し、朝日が俺らを照らした。
「メーデー……。それ使われると、時差ボケきついからしばらくはやめてね」
「以後、夜間の移動にはお気を付けください。さあ師匠、どこに向かいましょう!?」
「とりあえず、北です……」
魔力消費の多い魔法を使うと、テンションがいつもより高くなるメーディアは少し苦手だ。
街にたどり着くまでのあいだ、俺は彼女の半歩後ろを歩いた。
これでは誰の旅だかわからん……。そんなことを思うのだった。
昼になり――。
街に着くと、広場では人だかりが出来ていた。
近くのおばちゃんに聞くと、なんでも大道芸人として最近名を挙げている者が来ているとのこと。
どれどれ――と、人だかりをかき分けて見える所に着き。俺は驚愕した。
そこには元魔王軍幹部のソードマスターであるデュラハンが自分の頭や剣を使い、ジャグリングをしている姿があったのだ。
「あ、魔導士アーク」
「その節はどうも……」
デュラハンの見世物も終わり。
話を聞くと魔王が居なくなり、彼なりに第二の人生を考えた末に辿り着いたのが大道芸人として生きる道だったらしい。
また、彼は肉体が実質ないようなものなので、一日中ジャグリングの練習が出来て見る見る上達しているとの事だ。
「師匠。ほんとに、こやつがあのデュラハンなのですか?」
「だぞー。幹部の中でも唯一魔法が効かなくて、なんとか肉弾戦で倒したんだからな」
「何だその女、アークの弟子か。にしても、あの頃は楽しかったよなー。まさか、身体強化した魔導士に負けるとは思わなかったもんなー」
「そうだなー。俺も魔法が効かないとは思わなかったよー」
そんなことをしゃべりながら――。デュラハンと並んで、空を流れる雲を眺めるのだった。




